宇都宮「自家製麺 オオモリ製作所」居酒屋から業態転換。月商800万円超の多店舗展開術

栃木・宇都宮の「自家製麺 オオモリ製作所 宇都宮本店」は、居酒屋からの業態転換で月商800万円超を達成。茨城の名店「特級鶏蕎麦 龍介」のプロデュースによる話題性を武器に、現在は「豚のオオモリ製作所」など5店舗を展開する。自社工場での製麺内製化、居酒屋のホスピタリティを活かした接客、SNSとGBP活用によって集客を最大化している。

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新業態参入でコロナ禍の危機を突破

ロードサイドに位置する「オオモリ製作所 宇都宮本店」。広々とした共用駐車場があり、車での来店客が多い

2020年、有限会社大森商事が運営していた居酒屋3店舗は、大きな岐路に立たされた。郊外店ならではの宴会需要がコロナ禍によって消滅。売上は以前の3分の1まで減少し、赤字が続く極限状態に陥った。意を決した代表取締役社長の大森 裕介 氏は、未経験のラーメン業態の立ち上げに踏み切る。

2021年1月、宇都宮大学近くのロードサイドに「自家製麺 オオモリ製作所 宇都宮本店」をオープン。店は茨城県の超人気ラーメン店「特級鶏蕎麦 龍介」プロデュースとして話題となり、緊急事態宣言中にもかかわらず連日300人超が来店する大盛況のスタートとなった。オープン2カ月目で早くも成功を確信した大森氏は、同年7月に2号店、10月には3号店をオープンさせた。

現在は居酒屋だった2店舗もラーメン店に業態変更し、宇都宮市内で豚専門ラーメン店「豚のオオモリ製作所」2店舗を含む計5店舗を展開している。

低温調理のレアチャーシューや味玉が乗った「上鶏つけそば」(1,480円)。一杯に丸鶏5羽を使用する濃厚な鶏白湯スープが特徴
  • 清湯スープが自慢の「上鶏そば」(1,280円)。国産鶏ガラの優しい味わいが人気
  • 豪快に混ぜて食べる「まぜそば」(950円)。無料の追い飯が付く

「上鶏つけそば」(1,480円)、「上鶏そば」(1,280円)、「まぜそば」(950円)などが人気の宇都宮本店の客単価は1,240円で、月商は平均800万円超。学生からビジネス層、ファミリーまで幅広い客層が訪れる。居酒屋からの業態変更の経緯や人気の秘けつ、今後の展望などについて、大森氏に話を聞いた。

【店舗Data】
自家製麺 オオモリ製作所 宇都宮本店
業態:ラーメン
席数:59席
客単価平均:1,240円
客層:学生からビジネス層、ファミリーまで。男女比は5.5対4.5
住  所:栃木県宇都宮市峰4-23-14
アクセス:JR宇都宮駅東口より車で7分
営業時間:11:00~15:00(L.O.14:30)、17:30~21:00(L.O.20:45)
定休日 :無休
https://r.gnavi.co.jp/jduuj3ze0000/

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繁盛へと導いた、3つのポイント

【POINT1:新規参入】 居酒屋からラーメン店への鮮やかな業態転換
【POINT2:メニュー】「自家製麺」を武器にした商品力とブランド構築
【POINT3:集客】地域のクチコミ力+SNSの力で集客力をさらに強化に

【POINT1:新規参入】居酒屋からラーメン店への鮮やかな業態転換

店舗は国道123号線(石井街道)沿いにあり、遠くからでも目立つ大看板がお客様をいざなう

2020年1月、大森氏は居酒屋の開業のため、物件2つ新たに契約した。しかしその直後に既存の居酒屋3店舗がコロナ禍の煽りを受け、 宴会需要が消失。売上は以前の3分の1にまで激減し、月に300万円もの赤字が続く、極限状態に陥った。

経営基盤の立て直しと従業員の雇用を守るため、大森氏は「酒類提供」に依存しない「食事」主体の業態転換こそが急務であると決断する。 専務を務める実弟・雅貴氏の「ラーメン店は客足が落ちていない」という一言も後押しとなり、契約物件をラーメン店として開業することに決めた。

  • 地元の工芸作家が手掛けたスタイリッシュな店内、女性客にも好評
  • 店奥の小上がり席では、グループや子連れでもゆったりと食事を楽しめる
  • 食券制を採用することで、オーダー取りや会計の省力化を図る
  • 配膳ロボットを導入して効率的なオペレーションを実現

ラーメン業態は未経験だったが、居酒屋で培ったホスピタリティは武器になると考えたいう、大森氏。約50坪の店内には半個室の小上がり席を備え、ファミリーなどのグループ客にも対応できるよう配慮した。「おいしいと評判のラーメン店には接客が多少悪くても行列ができます。おいしさと接客、両方を兼ね備えれば強いと考えて業態転換に踏み切りました」(大森氏)。

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【POINT2:メニュー】「自家製麺」を武器にした商品力とブランド構築

麺を丁寧に確認する大森氏。湿度が高い時期は水滴が麺に付着しやすくなるため、エアコンのドライ運転など細やかな管理が欠かせない
スープとの絡みが良いちぢれ麺は、混ぜそば用の麺をベースに、店舗で一手間加えて仕上げる

決断を下してからの動きは迅速だった。大森氏は環境衛生資材の仕入れ先から茨城県の有名店「特級鶏蕎麦 龍介」の情報を入手すると店舗まで足を運び、「龍介つけ蕎麦」を実食。「栃木と言えば「佐野ラーメン」だが、ここまで濃厚な鶏白湯は、栃木ではなかなか食べられない」とほれ込んだ。

「龍介」は麺やスープの販売とともにプロデュース業も手がけており、大森氏はオーナーの浅野 明仁 氏を師事する。

開業するにあたって200万円の製麺機を導入し、6種類の小麦をブレンドした強いコシのある自家製麺を製造した大森氏。半年後にはさらなる自家製麺へのこだわりの追求と、濃厚な鶏白湯スープの再現に向け、自社工場の体制も整えた。現在、麺は店舗ごとに使い分け、つけ麺用・ラーメン用・まぜそば用など常時3、4種類を製造している。

こうしてオオモリ製作所は居酒屋経営で培った効率的な運営ノウハウを土台に、専業店の製麺技術、圧倒的な商品力を掛け合わせることで独自の強みを生み出し、別ブランドの豚専門ラーメン店「豚のオオモリ製作所」を立ち上げるまでに進化を遂げていった。

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【POINT3:集客】地域のクチコミ力+SNSの力で集客力をさらに強化

2026年2月から始めた公式LINEアカウント。来店促進のためのポイントカード機能などを活用して、リピーター獲得につなげている

「自家製麺 オオモリ製作所 宇都宮本店」集客の鍵となったのは、プロデュース元である「龍介」の知名度を最大限に活用した情報戦略だ。 オープン前、「龍介」公式X(旧Twitter)で宇都宮への出店を告知したところ、瞬く間に1万件以上の反応を獲得。 この拡散力が起爆剤となり、オープン初日から連日300人以上が来店する爆発的なスタートを切った。

そして現在のオオモリ製作所の躍進を支えるのは、地域に住むラーメン好きや店のファンによるクチコミによる拡散だ。Googleビジネスプロフィールのクチコミには「おいしい」「接客がいい」などの熱いクチコミが投稿され、高得点をキープし続けている。

しかし、多店舗展開を加速させる大森氏には、新たな懸念もある。自身が現場を離れる時間が増えることで、客と接する機会が減り関係が希薄になるのではないかという点だ。

そこで大森氏は「守りの施策」として2026年2月からLINE公式アカウントをスタートさせた。これは単なる宣伝ツールではなく、大森氏の思いやこだわりを直接顧客に届けることで地域客との接点を維持し、集客力をさらに強化することが目的だ。「今後はリピーター限定の情報発信や新規顧客の獲得に向け、地元フォロワー3万人規模のインフルエンサーとの連携も視野に入れています」(大森氏)。

顧客満足度の向上と再訪率アップを狙い、先月から本格始動したLINE公式アカウント。リピーター限定の情報発信で「ファン」の定着を図る

本店のオープンから丸5年が経過した現在、宇都宮市にはラーメン店が増加して、"ラーメン戦国時代"の様相(ようそう)を呈してきた。

「お客様に喜んでもらいたいという思いは変わらずありますが、やはり時代に合わせて変化していかないといけない」と大森氏は言い、5店舗のうち「オオモリ製作所 鶴田店」を「肉のオオモリ製作所」にリニューアルして2026年春よりスタミナ系のラーメンを提供する。

さらに小山市エリアへの出店も視野に入れるなど、着々と次の準備を進めてさらなる売上アップを図る予定だ。

有限会社大森商事 代表取締役社長 大森 裕介 氏
専門学校在学中に家業の居酒屋を手伝い、飲食の道へ。主に商品開発を務める実弟・雅貴氏とともに現場に立ち、約10年で売上を3.5倍に伸ばした。2017年秋に父の跡を継ぎ、大森商事の3代目社長に就任。コロナ禍の2021年1月、居酒屋から業態転換してラーメン店「オオモリ製作所」を開業。多店舗展開を進めている。

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