CASE STUDY 飲食店の禁煙化
【神奈川・藤沢】まつだ家
客層が拡大し売上もアップ。人材募集でも好影響あり
神奈川県の藤沢駅至近にある「まつだ家」。カウンター席や掘りごたつの座敷席、半個室を備え、店内は全席禁煙。新鮮な海の幸と朝採りの鎌倉野菜、厳選した日本酒が売りの人気店だ。
いまでこそ全席禁煙だが、2011年のオープン時は全席喫煙可。来店客は40代以上のビジネス層が中心で、その半数以上がたばこを吸い、店主の髙橋章芳氏を含め、従業員も全員喫煙者だったという。しかし、禁煙の機運が高まるなか、非喫煙客から「料理はおいしいのに、たばこの煙が気になる」といった声が増え、入店直後に「たばこ臭い」と帰る人もいた。「吸わない人も気持ちよく食事を楽しめる店に」と考えた髙橋氏は、2014年初めに簡易的な分煙に着手。予約時や入口で喫煙の有無を聞き、なるべく喫煙者と非喫煙者が分かれるように席を振り分けた。だが、仕切りがないため煙が流れ、期待した効果はあまり得られなかった。そこで、社会的風潮も踏まえ、「思い切って禁煙にしよう」と決意。しかし、急に全面禁煙にすると常連の喫煙者が一気に離れると考え、まず、2014年夏にファミリーの多い土・日曜日と祝日のみを禁煙に。トラブルや拒否反応もなく、売上への影響も少なかった。
その後、2016年初めに平日の空間分煙を実施。10名を収容できる半個室だった空間に扉を設置。また、格子窓も板でふさぎ、喫煙可能な完全個室にし、ほかを禁煙席にした。それでも、個室を開ける際に煙や臭いが漏れて近くの席から苦情が出たり、さらには個室以外で喫煙できなくなったことで大口の宴会も減少。最盛期の70%にまで売上が落ちた月もあった。「専門家に相談しなかったこともあり、分煙としては対策が不十分だったと思います」と、髙橋氏は当時を振り返る。
そこで1年後、完全禁煙化に向けてたばこの臭いが染みついたエアコン5台を交換。2017年の元日から全席禁煙に踏み切った。分煙をしていた期間に喫煙しない常連が増えたこともあり、スムーズに移行。全席喫煙可能だった時代からの常連客が2割減った代わりに、女性が3割増加した。また、一人客も増えたため、一人用メニューを充実させて好評を得ている。「完全禁煙後は回転率も上がりました。以前は、食事後の一服などで、滞在時間が延びていたのかも」と髙橋氏。労働環境改善のために営業時間を短縮したにもかかわらず、新規客の獲得や回転率の上昇により客数は増加。売上も前年同月比110%前後で推移している。
人材募集にも全面禁煙の情報を掲載したところ、応募者が増加。「“快適に働ける店”と感じてもらえたのかもしれません。現在、多くのスタッフが非喫煙者で、定着率も上がりました」(髙橋氏)と、思わぬ効果を感じている。
神奈川県藤沢市南藤沢20-17門倉ビル6 B1
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