定食メインの非アルコール業態で、「がブリチキン。」に新たな価値を~株式会社ブルームダイニングサービス 代表取締役社長 杉村明紀氏

愛知・名古屋を中心に「がブリチキン。」などを展開する株式会社ブルームダイニングサービス。2021年7月に創業者の加藤弘康氏からバトンを受け継いだ代表取締役社長・杉村明紀氏に、今後の戦略などを聞いた。

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2022.8.2

目次
親族が経営する飲食企業から誘いを受けて飲食業へ
株式会社力の源ホールディングスで「一風堂」など国内事業を統括
新天地・ブルームダイニングサービスで非アルコール業態を立ち上げ、社長に就任
組織改編に努めつつ、フードコート業態とテイクアウト専門店を軸に出店予定
「リーダー×一問一答」&「COMPANY DATA」

「からあげ、定食、丼 がブリチキン。」を中心に、定食メインの業態を出店していく計画です

 愛知・名古屋を中心に「がブリチキン。」などを展開する株式会社ブルームダイニングサービス。2021年7月に、創業者の加藤弘康氏からバトンを受け継いで代表取締役に就任した杉村明紀氏は、株式会社力の源ホールディングスなどで実績を積んできた名古屋出身の43歳。主力ブランド「がブリチキン。」を定食が売りの非アルコール業態にリニューアルし、テイクアウトニーズにも応えるなど、新たな業態開発や組織改革を進める新しいリーダーに、これまでの歩みと今後の戦略を聞いた。

――まず、飲食業界に入ったきっかけを教えてください。

 もともと飲食業に全く興味はなく、大学卒業後は物流の会社に就職しました。転機となったのは26歳のとき。親族が経営する飲食企業に後継者がいないという理由で、私に白羽の矢が立ち、入社することになったんです。東海3県で約100店舗を展開する年商60億円の会社で、入社後は現場で一から経験を積むことに。店舗での接客や調理に始まり、路面のレストランや商業施設のフードコートの店舗、テイクアウト専門店などで店長を経験。その後もエリアマネージャーとしてマネジメント業務を行ったり、購買業務、開発業務などを担当し、勤務が終わった後は学校に通ってさまざまなことを学びました。当時は大変でしたが、今振り返れば濃密な時間で、よい経験だったと思います。最終的にはCOO(最高執行責任者)として経営全般に携わるようになりました。

1979年1月、愛知県生まれ。大学を卒業後、物流系の企業に就職。その後、親族が経営する愛知の飲食企業で調理、接客からマネジメント業務、購買業務、開発業務などを経てCOOに。2012年に株式会社力の源ホールディングスに入社し、専務取締役として「一風堂」など国内事業を統括。2020年8月に株式会社ブルームダイニングサービスに専務取締役として入社し、2021年7月に代表取締役社長に就任

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――その後、株式会社力の源ホールディングスでご活躍されていますね。

 30歳を過ぎたころから「自分の力でゼロから頑張ってみたい」という思いが強くなり、転職を考えるように。そこで出合ったのが、当時未上場だった現在の株式会社力の源ホールディングスでした。後に社長に就任することになる清宮俊之さんが、当時人事部長を務めており、「今後はグローバルに展開していきたい」といった会社の方向性を聞く中で、「自分がどこまでできるか試してみたい」と思い、入社を決意しました。

 力の源ホールディングスには、2012年から9年間お世話になり、「一風堂」など国内事業全般に携わりながら、新規事業の立ち上げ、M&A、海外企業とのジョイントベンチャーの設立などを経験しました。一風堂のフードコート専門業態「IPPUDO RAMEN EXPRESS」の開発や、アメリカ生まれのチャイニーズレストラン「パンダエクスプレス」の日本法人の責任者なども担当しました。創業者の河原成美(しげみ)さんは「変わらないために、変わり続ける」という経営哲学をお持ちでしたが、この考え方は、今でも私の行動指針の1つになっています。また、清宮さんがよく使っていた言葉で「過去と他人は変わらない。自分と未来は変えられる」という言葉も大切にしています。

――そんな中で、株式会社ブルームダイニングサービスに転職された理由は何でしょうか。

 簡単に言えば、新しい挑戦がしたくなったから。できれば投資ファンド会社と一緒に仕事がしてみたいと考えていたところ、株式会社ブルームダイニングサービスの加藤弘康社長(現会長)と、その大株主であるファンドのジャパン・インダストリアル・ソリューションズ株式会社と接点を持つことができました。加藤さんは良い意味で“人たらし”なタイプ。とにかく人柄がすばらしくて、考え方にも強く共感し、会社の将来にも大きな可能性を感じたのが入社を決めた理由です。コロナ禍真っただ中の2020年8月に専務として入社しました。

 当社の主力業態「がブリチキン。」は、2011年2月に名古屋市で1号店を出店以来、10年で70店舗以上を国内・海外で展開する「からあげ」「骨付鳥」「漬け込みハイボール」が名物の居酒屋・バル業態です。ただ、コロナ禍で大きな打撃を受けており、非アルコール業態の開発をはじめとした大胆な改革が急務だったことから、これまでの経験を活かして経営マネジメント全般に関わることになりました。まず3カ月かけて社内の課題を洗い出し、3カ年の中期経営計画を構築し直しました。そして、従来の外食に加え、中食、内食の3つの市場に向けたビジネス展開を立案し、新規業態の出店、外販事業の促進などにも取り組んでいきました。また、2021年5月には、「ららぽーと名古屋みなとアクルス」に非アルコール業態の「からあげ、定食、丼 がブリチキン。」の1号店をオープン。月商1,000万円を達成するなど、滑り出しはとても順調です。

 こうした動きの中、2021年7月1日付で代表取締役に就任しました。当社はこれまで居酒屋業態で成長してきましたが、コロナ禍で非アルコール業態の重要性が高まる中、前職で非アルコール業態の展開やブランド戦略などで経験を積んできた私に経営のハンドリングを任せていただくことになったと、新しい挑戦への期待感と責任を感じました。

 社長就任後、10~12月に、商業施設のフードコートに「からあげ、定食、丼 がブリチキン。」を3店舗出店し、今後も定食メインの店舗を順次出店していく計画です。さらに、「がブリチキン。」のキッチンカーも好調が続いています。現在、FCで7台が稼働しており、1台の最高月商は150万円ほど。一般的な個人経営のキッチンカーに比べて良い売上を達成しています。

2021年5月、「ららぽーと名古屋みなとアクルス」にオープンした「からあげ、定食、丼 がブリチキン。」。主力ブランド「がブリチキン。」の非アルコール業態で、コロナ禍で高まる食事需要の獲得を狙った業態
  • 「からあげ、定食、丼 がブリチキン。」の人気メニュー「金賞受賞からあげ定食」(759円)。からあげグランプリ®10年連続金賞受賞中の秘伝のタレを使用した「もも肉」のからあげが人気
  • からあげ専門のキッチンカー(FCのみ)も展開。「骨なしももからあげ」(2個300円~)などを販売しており、売上も好調

――新規業態の開発と同時に人材育成の見直しもされたそうですね。

 当社の良いところは社風。本当に元気で、素直で、明るい人たちが多い。ただ、非アルコール業態の経験がない人がほとんどなので、その部分のレクチャーが必要でした。また、特定の幹部にすべてを相談するような属人的な仕事のやり方をあらためるため、これまでのワークフローを見直し、人ではなく組織に業務が紐づくように組織改編を行いました。今後の活躍が期待されるメンバーを集めて「人財教育プロジェクト」を立ち上げたのも新たな試みの1つ。OJTだけでなくOFF-JT(Off-the-Job Trainingの略称。日常の仕事を通じて教育を行うOJTに対し、職場や通常の業務から離れ、特別に時間や場所を取って行う教育・学習のこと)も取り入れながら人財育成の強化を図っていきたいと考えています。

――今後の展望をお聞かせください。

 まず、2022年3月16日に大曽根駅にテイクアウト専門店「からあげ専門 がブリチキン。ミュープラット大曽根駅店」を出店予定です。また、4月に「ららぽーと磐田」内にフードコート業態の店舗を、東京・板橋にレストラン業態の店舗をオープンします。居酒屋・バル業態については、リブランディングを図り、専用のテイクアウト窓口を設けた店舗へと順次リニューアルしていく考えです。先行してオープンした三重県桑名市のFC店舗では、売上の3割近くをテイクアウトで稼ぎ出すなど、とても良い滑り出しを見せています。

 中期経営計画の2年目にあたる2022年度は、直営16店・FC14店舗、そして最終年となる2023年度には、約60店舗の出店を計画しています。コロナの状況が落ち着けば、主力ブランドは居酒屋・バル業態ですが、今後の成長のカギを握るのはフードコート業態とテイクアウト専門店だと見ており、新規出店もこちらを中心に考えています。

 当社では「関わるすべての人、すべての街に幸せの花を咲かせる」という経営理念を掲げていますが、社員の皆さんに幸せを感じてもらうためには、業界最高水準の給与を確保し、多様な働き方を選択できる会社であるべきだと思います。そのためにも、夜だけでなく昼でも働くことができる非アルコール業態を伸ばし、この会社をさらに成長させていきたい。一方で、当社では以前から加藤会長がよく語っている「ビックな会社ではなく、ナイスな会社になろう」という合言葉も大切にしています。決して会社を大きくすることだけに目を奪われるのではなく、これからも地域に貢献しながら、「がブリチキン。」のファンをさらに増やしていきたいと思います。

リーダー×一問一答

■経営者として一番大切にしていること
1)3つの要素を実行できるか≒①財務諸表が読めるか ②先見性があるか ③ビジョンを描けるか
2)創業者以外の2代目以降、請け負うプロ経営者として企業理念を理解し体現できているか

■愛読の雑誌や書籍、Webサイト
雑誌:PRESIDENT
Web:日経MJ、東洋経済、フードリンクニュース

■日課、習慣
毎朝の天気、気温をチェック⇒ニュースのチェック⇒メールのチェック⇒スケジュールのチェックが朝のルーティン

■今一番興味があること
クラウドファンディングを利用しての後継者育成や廃業問題のある事業再生

■座右の銘
「頑張るでなく結果を出す。結果が出なければその努力は0に等しい」(恩師)
「過去と他人は変わらない。自身と未来は変えられる」(エリックバーン/精神科医)

■尊敬している人
尊敬している人は身近に多いので絞るのは難しいのですが、近年で言えば「一風堂」の創業者である河原成美さん

■最近、注目している店舗・業態
株式会社スパイスワークス(代表取締役社長・下遠野亘氏)。「スシンジュク」の出店やスシローグループの新業態「杉玉」の開発を担っており、今の業界のトレンドを発信している会社さんだと思います

■COMPANY DATA
株式会社ブルームダイニングサービス
愛知県名古屋市中村区名駅三丁目12番10号GS名駅ビル
https://www.bloom-ds.com/
設立:2006年
ブランド・店舗数:6業態・約80店舗
従業員数:450人(アルバイト・パート含む)

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