目次
・満足感が高く、手土産としても喜ばれる商品に。さまざまな販促で認知を高め、10~70代を獲得
・【POINT1】惣菜系とスイーツ系のサンドイッチを、毎日20種以上ラインナップ
・【POINT2】こだわりのプリンで、リピーター獲得施策を展開
・【POINT3】鮮やかな色使いの外内観やチラシ配布が、認知度アップや集客に効果を発揮
満足感が高く、手土産としても喜ばれる商品に。さまざまな販促で認知を高め、10~70代を獲得
群馬県前橋市天川大島町3-36-5
群馬・前橋の住宅街に2021年2月オープンした「サンドイッチとプリンのお店TOMOJI前橋店」。もともと洋風居酒屋「地中海マルシェSole Sole」として営業していた店舗を、事業再構築の一環としてリニューアルした。具材をたっぷりと挟んだ色とりどりの5層のサンドイッチを看板に、10~70代を取り込み、テイクアウトを中心に1週間に1,300個以上を販売する。
オーナーの樺澤大輝氏は「以前から中食への進出は念頭にあり、コロナ禍をきっかけに本格的にテイクアウトを軸にした業態へ変更しました」と振り返る。
テイクアウトの主力商品を考える上で重視したのが、「日常的に食べる食品で、手土産としても喜ばれるもの」(樺澤氏)。外食のように目の前の客に喜んでもらうだけでなく、離れた場所で受け取った人が笑顔になる光景を思い浮かべた。サンドイッチやおにぎりが候補にあがったが、これまで洋食を手掛けてきた経験とノウハウ、樺澤氏が影響を受けた祖父が若かりし頃にパン屋を手がけたことなど、自らの原点と強みが生きるサンドイッチを選択。差別化を図るためにさまざまなサンドイッチ店を視察して試行錯誤を重ねた結果、パンを3枚使い、具材は2層にしたボリュームのある5層のオリジナルサンドイッチを展開することに決めた。
【POINT1】惣菜系とスイーツ系のサンドイッチを、毎日20種以上ラインナップ
サンドイッチのラインナップは、惣菜系とスイーツ系を合わせて常時20種類以上用意する。使用する野菜・果物は季節に合わせて変更するが、どれもたっぷりと具材を挟むのが特徴。
人気メニューは「海老とアボカドのコブサラダ」と「自家製ローストビーフの生ドレ」(どちらも594円)。「野菜は種類ごとに別々に味付けしてマリネしています。それぞれの素材をしっかり感じられること、時間が経ってもおいしく食べられることを念頭に調理しています」と樺澤氏は語る。
同時にサンドイッチのフィルムの包み方にも工夫を凝らし、「食べるときに具材が崩れないよう、フィルムを少しずつ剥がしながら食べられるように包み方も考えました。食べ方のシートも同封して、手や口周りを汚さずに最後まで楽しんでもらえるようにしました」と樺澤氏は話す。
一方で、「5層のサンドイッチはフィルムで包むのを含め、生産性が上がりにくいのが課題」(樺澤氏)。調理工程で丁寧さと熟練が求められるため、オリジナル性は高いが、完成までに時間がかかるという。そこで、クロワッサン、コッペパン、ベーグルなどのサンドイッチもラインナップすることで生産性を高めるとともに、バリエーションを増やし選べる楽しさも提案している。
【POINT2】こだわりのプリンで、リピーター獲得施策を展開
店名にも表されているとおり、サンドイッチと並び「プリン」(464円)も看板商品の1つ。居酒屋時代に好評だった商品をブラッシュアップさせ、砂糖を天然のてんさい糖に替えて価値を高め、瓶には店名の由来となった樺澤氏の祖父をモデルにしたイラストを描いた。「インテリアとして家で飾ってもらえるようなデザインにしました」(樺澤氏)。
そして、プリンの空き瓶5個とプリン1個を交換するサービスを実施。瓶を家で保管することで店を思い出してもらえるように工夫するとともに再来店につなげるほか、ポイントカードでも来店3回でプリン1個をサービスするなど、さまざまなリピート施策を実施している。
【POINT3】鮮やかな色使いの外内観やチラシ配布が、認知度アップや集客に効果を発揮
外観・内観は「コロナの暗い気持ちを吹き飛ばしたかった」(樺澤氏)と、ピンクや黄色など鮮やかな色を基調に。また、窓には大きくさまざまなサンドイッチの写真を貼ったところ、前を通る人や近隣住民の認知が高まった。
また、Instagramで新商品などを発信するとともに、地元新聞で折り込みチラシを配布。また、曜日変わりでイベントを実施し、サンドイッチを3個購入するとくじを引ける「くじ引きDAY」や、来店スタンプが2倍になる「ポイント2倍DAY」などを設定。こうした情報もInstagramなどで発信し、お得感をアピールして来店につなげている。
イートインでは、サンドイッチにドリンクやサラダなどをセットにした「TOMOJIランチセット」(好みのサンドイッチに+495円)やドリンクをセットにした「おしゃべりセット」(好みのサンドイッチに+220円)などのセットメニューを用意。さらなる利用を促すため、2022年3月からは「パスタランチ」(1,100円~)を開始した。「店内利用を増やし、飲食店ならではの心のこもった接客をしたいと考えています。お客様とのコミュニケーションがスタッフのやりがいにつながってほしい」と樺澤氏は語る。
こうしたさまざまな取り組みが好走し、サンドイッチは惣菜系が平日100個、週末200個、スイーツ系は平日50個、週末100個、プリンは週に600個売り上げ、月商は350万円に届く。客層は地元の高校生から年配層まで幅広く、居酒屋時代の常連に加え、新たな客層の開拓に成功している。
2022年2月にはパンとサンドイッチの店「Bread & Sandwich TOMOJI」を群馬・伊勢崎市にオープン。グループ全体で使用しているパンを全てこの新店で焼いたものに変更してブランド力を高めるとともに、「サンドイッチとプリンのお店TOMOJI」のFC化も視野に入れて業態の磨き込みに取り組む予定だ。