目次
・スタイリッシュな空間と独創的な料理、少人数で利用しやすいメニュー構成がヒットの要因に
・【POINT1】大衆的な“町中華”とは一線を画す空間で女性の支持を獲得
・【POINT2】独創的な料理がInstagramで話題に。大皿ではなく少人数向けに提供するスタイルも好評
・【POINT3】スパイシーな料理によく合うナチュラルワインも売りに
スタイリッシュな空間と独創的な料理、少人数で利用しやすいメニュー構成がヒットの要因に
東京都目黒区鷹番2-20-4 学大十字街ビル2F
https://r.gnavi.co.jp/1rw6shv50000/
東京・学芸大学駅から徒歩2分。小さい飲食店が集まる学大十字街の一角にある5階建てビルの2階にある「farm studio #203」。空中階でありながら、スタイリッシュな空間で提供する中国料理が女性を中心に好評。昼は行列ができ、週末の夜は予約で満席になっており、6.7坪、わずか10席の小さな店ながら、2021年10~12月の3カ月連続で坪月商68万円を記録した人気店だ。
オーナーの濱田利彦氏は、「銀座アスター」で10年間修業した後、リゾートホテル勤務を経て独立。一人で運営していくのに適した物件を探し求めて、現在の場所に辿り着いた。「6.7坪のサイズ感は店を1人で切り盛りするのにちょうどよい広さ。周辺に小さな個人店が多く、1人、もしくは少人数で飲み歩くニーズの受け皿になっているエリアだったので、私がやりたい店のスタイルに合うと考え、即契約しました」と、濱田氏は振り返る。
店がある学大十字街は飲食店が集まっていることもあり、人通りは比較的多いが、店舗は空中階ということもあり静かに落ち着いて食事できる雰囲気。営業時間は12~14時、17~23時で、客単価は昼が2,000円、夜が4,000~5,000円。オープン当初の客層は30~50代がメインだったが、現在はInstagramのインフルエンサーに紹介されたこともあり20代が多く来店しており、全体の約7割が女性だという。
【POINT1】大衆的な“町中華”とは一線を画す空間で女性の支持を獲得
特徴の1つが空間。いわゆる“町の中国料理店”とは一線を画するスタイリッシュな作りで、女性が1人でも来店しやすい雰囲気。「店名の『#203』は、この物件の部屋番号。私の家に遊びに来てもらっているようなフランクな雰囲気にしたいと思い、この名前にしました」と濱田氏。キッチンで調理する様子が間近で見られる臨場感と、肩ひじ張らずに食事と会話が楽しめるカジュアルさが受け、リピーターの獲得やSNSへの投稿が増える要因の1つになった。
【POINT2】独創的な料理が話題に。大皿ではなく少人数向けに提供するスタイルも好評
メニューで大切にしているのは、中国料理の概念にこだわらない“意外性”。例えば、「detox salada(デトックスサラダ)」(1,430円)は、約30種の野菜やフルーツ、豆、ナッツなどを混ぜ合わせた、食感が楽しいリッチなサラダ。「中国料理店では生野菜がなかなか食べられません。色彩豊かなサラダで野菜をたっぷり食べてほしいと開発しました」(濱田氏)。山椒をたっぷり使ってスパイシーに仕上げた「黒毛和牛の四川麻婆豆腐」(1,870円)は、夜の営業では100%の注文率を誇る看板メニュー。プラス550円で、カキやシマチョウのほか冬季限定で白子をトッピングすることも可能。どのトッピングも辛みの強い麻婆豆腐のマイルドなアクセントとして好評で、特に提供時期の限られている白子は熱烈なファンを生んでいる。
そのほか、「ラム串焼き」(1本990円)や土・日曜日限定の北京ダック(1ピース700円)などの一品料理からご飯・麺類、デザートまで約40品をラインナップ。オリジナルの餃子(250円)や焼売(250~450円)は1ピースからオーダーでき、1人や少人数で来店した人の「少しずつ、いろいろ楽しみたい」というニーズに応え、好評を得ている。
夜は、約半数の人がコースをオーダー。全7品の「おまかせフルコース」(6,600円)、全3品の「おまかせショートコース」(3,300円)の2種類を用意している。「中国料理は、大皿で提供するイメージがあるせいか、年配のお客様などは食べ切れるか心配される方もいらっしゃいますが、当店では適度な量にして、足りない場合は追加で単品をオーダーしていただくスタイルにしています」と濱田氏。ここでも餃子や焼売などを1個からオーダーできるメリットが生き、「おまかせショートコース」に加えて、気になる料理をいくつか追加オーダーする人も多いという。
【POINT3】スパイシーな料理に合うナチュラルワインも売りに
アルコールは中国料理で定番の紹興酒のほか、ナチュラルワインを12種ラインナップ。「スパイスが強い料理が多いため、濃厚でうま味成分が凝縮されているナチュラルワイン、特にオレンジワインとの組み合わせが好評です」(濱田氏)。そのほか、スタンダードなワインやビール、中国茶なども取りそろえている。
オープン以来、販促はほとんどしてこなかったが、「飲食店が集まるエリアだったこともあり、内装工事の段階から『新しい店ができるらしい』と周囲から注目され、宣伝効果がありました」と濱田氏。口コミやSNSでの情報拡散により、徐々に認知が広がっていき、オープンから今日までノーゲストの日は1日もないという。当初から続けているInstagramでは、「気兼ねなく楽しんでほしい」というコンセプト通りに、あまり来店を促すような投稿はせず、店の日常やまかないの写真などを毎日アップしていた。店のファンが増えるのに比例するように、フォロワーも増えていき、現在5,000人以上を獲得している。
こうして、平均月商400万円を達成する人気店に成長。最初は1人だけで切り盛りしていた濱田氏だが、オペレーションが回らなくなってきたことから2020年の秋からスタッフを2名採用し、よりスムーズで行き届いた接客を実現している。「今後は発酵食材や発酵調味料を開発して、よりひと手間かけたうま味を追求して他店との差別化を図りたい」(濱田氏)と、さらに上質な料理とサービスを追求していく。
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