飲食店経営が安定する9つの戦略と店舗運営改善法

競合が多い、集客が難しいなど、飲食店経営には悩みがつきものです。経営がうまくいく店・いかない店の例を見ながら、経営が安定しない原因とその解決策、繁盛店になるために取り組むべき9つの戦略を解説します。

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初回公開日:2022.6.16

経営を見直して「行きたい店」になる!コスト管理で利益確保を

飲食店の開業は比較的参入障壁が低い一方で、競合が多く経営は簡単ではありません。初期投資は小規模店舗でも500~1,000万円が相場で、物件取得・内装・設備・人件費が主な費用。独立後の年収は業態や立地により差があり、平均では300〜500万円程度といわれています。収益安定までの期間が長く、資金繰りと損益分岐点の把握が生死を分ける要因となります。

飲食店を経営していると、「競合店が多い」「日々の集客が難しい」「利益がなかなか上がらない」「スタッフが確保できない」など、さまざまな課題に直面するはずです。多くの飲食店がひしめく今の時代、“おいしいものを提供すれば客は集まる”という考えだけでは成功するのは難しいです。経営を安定させ、多くの人が訪れる繁盛店にするには、どのような点に注意して運営すればよいのでしょう。経営がうまくいく店、うまくいかない店の特徴を上げながら、経営不振の原因とその解決策を紹介します。

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目次
飲食店経営がうまくいく店うまくいかない店の違い
経営不振の原因対策
 1.競合が多い→コンセプトに基づく差別化
 2.利益が出ない→価格ではなく価値で勝負
 3.売上が頭打ち→店の外で売上創出
 4.長時間労働→営業時間短縮DX化
 5.在庫管理の不備→出数予測に注力
 6.人材不足→労働環境の改善
 7.MEOの強化およびSNSでの集客戦略
 8.リピーター施策を強化する
 9.経営者は今後のビジョンを明示し、共有を

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飲食店経営がうまくいく店とうまくいかない店の違い

経営がうまくいく飲食店に共通しているのは、コンセプトがしっかりしている点です。「自宅のようにゆったりと過ごせる居心地のいい居酒屋」「本格的なアジア料理が手軽に楽しめる」など、明確なコンセプトがあればターゲットが絞りやすく、効果的に集客できるはずです。また、そういった店ほど顧客情報や来店客の動きを分析し、“どんな客層に向け、どう売るのが効果的か”を常に模索しています。「常連客を呼び込むための新メニューを開発する」など、積極的に新たな施策を打ち出し、売上につなげているのです。

また、経営の知識を備え、数値管理(計数管理)をすることも重要です。例えば、飲食店で重要な指標である「FLRコスト」。「FLR」は、「Food(食材費)」「Labor(人件費)」「Rent(家賃)」の頭文字を取ったもので、飲食店にかかる三大コストと言われます。このFLR比率は、

FLR比率=(食材費+人件費+家賃)÷売上×100

で求められるが、数値が70%未満になるように意識して店舗運営を行いましょう。売上を追うだけでなく、コスト管理を徹底して利益もしっかり確保することが重要です。

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一方で、経営がうまくいかない店にも共通点はあります。「リサーチ不足で店舗運営が行き当たりばったり」「スタッフの手が足りず、料理の提供が遅れたり、十分な接客ができていない」「料理の質ばかりにこだわりコスト管理を怠っている」「肝心の集客がおろそかになっている」などがあげられます。数値管理、人材確保、販促など、さまざまな方面で戦略を立て、支持される店づくりをすることが大切です。

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経営不振の原因と対策

1.競合が多い→コンセプトに基づく差別化

飲食店は「食品衛生責任者」の資格があれば開業できるので、参入障壁は非常に低く、日々多くの店がオープンしています。駅前や繁華街であれば、近隣に競合店がひしめいている状況も珍しくありません。さらにスーパーマーケットやコンビニなども惣菜やドリンク類が充実しており、小売店も競合といえます。そんな中から選ばれる店になるには、しっかりとした差別化が必要です。

集客が伸び悩んでいるようであれば、下記の順で店づくりをチェックするとよいでしょう。

①自店のコンセプトを明確に打ち出しているか
②コンセプトがメニューやサービスを含め、店づくりに反映できているか
③競合や客層を踏まえ、自店が周辺エリアの状況やニーズに合致しているか
④情報発信が的確にできているか


コンセプトは、店づくりをする上で最も重要な部分です。コンセプトが明確であれば、どんな店で、どんな人に来てもらいたいのか、どんなメニューやサービスを提供するのかなどが自ずと決まっていき、自店の魅力をしっかり打ち出すことができるはずです。

また、仮にコンセプトが明確だったとしても、経営的な問題にぶつかることはあります。例えば、オープン当初は「会社帰りのビジネス層が気軽に立ち寄れる店」がコンセプトだったが、「大手企業が移転した」「在宅勤務が進み、出勤する人が減った」などの理由で、エリアの人の流れが変わったり、客層が変化していることがあります。定期的に自店の周辺エリアの商圏調査を行い、コンセプトとの相性をチェックするのもポイントです。

①~③までやっても問題点が出てこなかった場合は、④に着手し、誰に、どんな方法・内容で発信するかを検討しましょう。さらに、④まで実践しても効果が出ない場合は、集客力が低い原因が違うところにあると考えましょう。

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2.利益が出ない→価格ではなく価値で勝負

大衆的な業態であれば、消費者からは“安くておいしいメニュー”が求められる傾向にあります。しかし、価格競争では大手チェーンに勝つことは難しく、無理に安さと質の両方を追求しようとすると利益が出せず、不安定な経営に陥ってしまいます。

そこで重要なのが、価格だけではない魅力を打ち出すことです。つまり、「行く価値のある店」になるということ。

「行く価値のある店」になるためには、

①食べたいと思わせる目玉メニュー
②QSCの向上


の2つが重要です。

①の目玉メニューは、店のコンセプトやターゲット層に合わせて考えるとよいでしょう。一般的にメニューの原価率は30%程度が目安ですが、あえて目玉メニューは顧客満足度に注力し、豪華さやインパクトを重視して高原価のメニューにしてもよいでしょう。その場合は、ほかのメニューで原価率を調整する必要があります。

②のQSCは、飲食店の基本中の基本ともいえるもので、「Quality(クオリティ=品質)」「Service(サービス)」「Cleanliness(クレンリネス=清潔さ)」の3つです。料理のおいしさのほか、盛り付けや提供温度などに配慮したり、丁寧な接客、清潔さを意識し、「どんな店なら快適なのか」をしっかり考えてそれぞれのレベルアップを追求していくことが安定した経営への近道といえます。

飲食店は食材費や人件費にコストがかかるため、利益が確保しにくい業種です。コストを意識せずに漫然と営業しているだけではなかなか利益は上がりません。

利益率は、

利益率=利益(売上から費用を差し引いた額)÷売上高×100%

で算出できます。一般的に安定的な経営のためには、利益率10%程度が目安だと言われています。また、「FLR」について上でまとめましたが、食材費(Food=F)と人件費(L=Labor)は、2つを合わせて「FLコスト」と呼ばれていて、飲食店ではこの「FL比率」も重要です。

FL比率=(食材費 + 人件費)÷ 売上高

で求められ、50~60%に収めることが利益につながる目安だと言われています。

では、利益を確保するにはどのようにしたらよいのでしょうか。まずは、変動が大きい食材費から見直すことが大切です。在庫管理を徹底して、仕込みは多すぎないか、賞味・消費期限切れなどで廃棄している食材はないかなどをチェックしたい(詳しくは「在庫管理が難しい」を参照)。また、絶対に譲れない“こだわりの食材”以外は、安価な食材への変更や仕入れ先の見直し、仕入れ価格の交渉などを行うのも一案です。

また、原価率を低く設定した高利益メニューを作ることも有効です。居酒屋メニューなら、フライドポテトや餃子、枝豆、レモンサワー、ハイボールなどは高利益メニューとしてあげられます。例えば、フライドポテトにオリジナルの「アンチョビソース」「パクチーソース」をかけて提供するといったかたちで、付加価値や魅力を高めて単価を上げたり、注文率アップを狙うのも一案です。こうした高利益メニューは、メニューブックやPOPでも大きくアピールして注文につなげていくことも大切です。

さらに、人件費を見直しましょう。来客数が少なくスタッフが手持ち無沙汰な曜日・時間帯があればシフトを変えたり、オープン前の仕込み業務や閉店後の業務を見直して効率化を進めるといった対策が有効です。

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3.売上が頭打ち→店の外で売上創出を

飲食店の毎月の売上高は、

売上高=席数×回転率×客単価×営業日数

で算出できます。売上は物理的に席数が限られているので、どうしても売上に上限があります。回転率や客単価を上げたとしても限度があり、客が満席で入れない場合の機会損失もあります。そのため、さらなる売上を求めて近隣に2店舗目、3店舗目と出店したいと考える経営者も多いですが、店舗を増やさずともテイクアウトやデリバリー、ECサイトでの通販など、+αの売上アップを図る方法もあります。

テイクアウトやデリバリー、ECの需要は高くなっており、参入する飲食店も増えています。従来の厨房やスタッフを使って対応できることも多いため、大きなコストを掛けずに始められるのも魅力です。手掛ける際には、テイクアウトやデリバリーであれば「時間が経ってもおいしい」「持ち運びしやすい」、ECであれば「自宅で簡単に調理できる」など、利用シーンに合わせたメニューを開発しましょう。

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4.長時間労働→営業時間短縮やDX化

飲食店は労働時間が長く、昼も夜も営業する店であれば、仕込みから営業終了後の片付けまで、スタッフは多くの時間を拘束されることになります。こうした長時間労働や業務量の多さは、飲食店の不人気と深刻な人手不足を招いてきました。しかし最近では深夜営業をやめ、昼飲みやランチタイムに力を入れることでスタッフの労働時間が減り、以前よりも売上がアップしたケースも増えています。

また、業務のデジタル化(DX化)を進めて効率化し、負担を軽くすることも労働時間の短縮に有効。オンライン予約を導入し予約業務の負担を軽減したり、モバイルオーダーやPOSレジを導入して注文・会計の手間を減らすことなどが効果的でしょう。また、顧客情報の管理をデジタル化したことで、業務の負担が減っただけでなく、顧客の情報がスタッフ間で共有でき、さらにきめ細やかな接客ができるようになったというケースもあります。

さらに、飲食店のDX推進において、マニュアルの整備と人材育成フローの構築は欠かせません。属人的な教育ではなく、接客・調理・レジ操作などの業務を細分化し、動画や手順書で標準化することで、新人でも即戦力化が可能になります。育成フローは「採用→初期研修→現場OJT→評価→定着支援」のステップで設計し、デジタルチェックリストやEラーニングを導入することで効率化と教育品質の均一化が図れます。こういった取り組みは、離職率の低下とサービス品質の安定にも寄与するはずです。

5.在庫管理の不備→出数予測に注力

在庫管理は、仕入れや売上に直結し、店舗の利益を左右する大事な業務です。しかし、料理長に任せきりだったり、管理が大雑把だったりと、在庫をきちんと把握できていない店も少なくありません。食材を少なく発注すると在庫切れとなり、せっかくの注文を断らざるを得ず、機会損失につながってしまいます。逆に食材を多く発注しすぎると、腐らせたり消費期限切れを起こして食品ロスにつながるだけでなく、古い食材を使うことになれば料理の質が下がりかねません。適切な在庫管理を行うことで、機会損失と食品ロス、どちらも最小限に抑えることが店舗の利益を上げるためにも重要です。

そのために大事なのは、在庫の把握をしっかり行うこと。1日1回、仕入れ量と在庫数、賞味・消費期限は欠かさずチェックし、棚卸も月1回行いましょう。また、天候や曜日、予約状況、イベント情報を確認して、客数やメニューの出数を予測して仕入れ量を変更するなど、臨機応変に対応しましょう。食材の受発注や在庫を一元管理できるツールもあるので、活用するとよいでしょう。

6.人材不足→労働環境の改善

飲食店にとって、人材確保は大きな悩みの1つです。不規則な勤務形態、長時間勤務、給与の低さなどにより、飲食業が仕事として避けられる傾向にあります。

人材を確保し、長く働いてもらうためには、勤務時間をフレキシブルに決められたり、完全週休2日制や福利厚生を充実させるなど、働きやすい環境を整えることが重要。そしてスタッフ募集時にはこれらのアピールをするほか、面接の時には給与体系や昇給の基準についてしっかり伝えておきましょう。採用後は研修を行い、育成にも力を入れましょう。昔のような「見て覚える」やり方ではなかなかスタッフは定着しません。「この店で働きたい」と思ってもらえるようにサポートすることが大切です。

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7.MEOの強化およびSNSでの集客戦略

来店経路の多様化が進む中で、Googleマップ上の店舗情報最適化(MEO)やSNSの活用は集客に直結します。MEOでは営業時間・メニュー・写真・口コミ返信を定期的に更新し、検索順位と信頼性を向上させましょう。SNSではInstagramやTikTokでのビジュアル投稿やリール動画、LINE公式アカウントでのクーポン配信などが有効です。ユーザー参加型の投稿キャンペーンやストーリー活用も認知拡大に効果的。媒体ごとに役割を明確にし、一貫性のある発信が鍵となります。

8.リピーター施策を強化する

新規集客以上に重要なのがリピーターの獲得で、安定的な経営を支えるのもお店のファンです。スタンプカードやLINEポイント、アプリ連携による来店履歴管理は有効なツールですが、真の差別化は“人”にあります。常連客の名前を覚える、記念日対応、手書きのメッセージや割引券の同封など、アナログな接客が顧客の心に響くはずです。また、SNSでの名前呼びや返信も効果的です。「仕組み」と「心配り」の両輪を上手に回すことで、自然とリピート率が高まり、固定客の口コミによる集客にもつながる好循環が生まれるでしょう。

9.経営者は今後のビジョンを明示し、共有を

飲食店経営で最も大切なのは、「どんな店にしたいか」「今後どのようにしていきたいか」という明確かつ具体的なビジョンを持ち、それをスタッフにも共有することです。5年後、10年後の方向性を示すビジョンがないと、スタッフもなかなかついてきてくれません。特にこれという目標がない経営者も、スタッフと共に同じ方向を目指して進めるように、今後の方針をまとめておきましょう。そしてしっかりと計数管理を行い、売上と利益率の向上に努めることも大切です。顧客にとって、またスタッフにとって“魅力ある店とは何か”を追求していけば、おのずとやることは見えてくるはずです。

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