店舗の生産性を可視化し、安定した利益を生み出す経営の判断基準
限られた店舗スペースの中でどれだけの成果を上げられているかを知ることは、健全な飲食店経営の第一歩です。家賃に対する売上のバランスを評価するうえで、坪月商は非常に実用的なモノサシとなります。この指標を正しく活用するための基礎知識に加え、計画時やリニューアル時に知っておきたい計算手順、目標達成に向けた運用の工夫を優しく紐解きます。
目次
1. 店舗の生産性を測る「坪月商」の基本概念
坪月商とは?飲食店経営で最重視される理由
この指標を把握することで見えてくる店舗の課題
2. 正確な計画の土台となる坪数の算出方法
面積から坪数を導き出す基本の計算手順
算出時に気をつけたい厨房と客席の面積バランス
3. 業態や営業スタイルから見る坪月商の目安
飲食店が目指したい一般的な基準値
業態ごとの特性と数値の変動
4. 面積あたりの成果を高める具体的な営業の工夫
5. まとめ
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1. 店舗の生産性を測る「坪月商」の基本概念
坪月商とは?飲食店経営で最重視される理由
坪月商とは、店舗の「1坪(約3.3平方メートル)あたり、1カ月でどれだけの売上を上げられたか」を示す経営指標です。飲食店の売上規模は、店舗の広さや席数に大きく左右されるため、単純な月商の金額だけでは、その物件のポテンシャルを正しく評価することができません。
家賃という大きな固定費に対して、スペースをどれだけ効率的に活用できているかを数値化することで、現在の営業スタイルが適正であるかを客観的に判断するための材料となります。
この指標を把握することで見えてくる店舗の課題
毎月の総売上だけを見ていると、店舗のキャパシティに対して無理な営業をしているのか、あるいはまだ余裕があるのかが見えにくくなります。
坪月商を算出することで、「席の稼働率は高いが客単価が低すぎる」「店舗は広いが活用されていないスペースが多く、面積あたりの生産性が落ちている」といった、現場の具体的な課題が明確になります。現在の状況を把握し、次の一手を打つための土台として活用できます。
2. 正確な計画の土台となる坪数の算出方法
面積から坪数を導き出す基本の計算手順
物件の広さを正確に把握することは、坪月商を算出するための前提条件です。一般的に物件の契約書には、面積が「平方メートル(平米)」で記載されていることが多いため、これを坪数に変換する必要があります。
具体的な坪数の算出方法は、店舗の総面積(平方メートル)に「0.3025」を掛ける、もしくは「3.3057」で割ることで導き出せます。例えば、総面積が50平方メートルの物件の場合、50に0.3025を掛けると、約15.1坪という正確な広さを割り出すことが可能となります。
算出時に気をつけたい厨房と客席の面積バランス
坪数を計算する際は、店舗全体の面積だけでなく、「客席スペース」と「厨房スペース」の比率を意識することも大切です。飲食店の業態によって異なりますが、一般的には全体に対して厨房が3割、客席が7割程度が標準的なバランスとされています。
厨房が広すぎると客席数が減り、面積あたりの生産性が下がりやすくなります。逆に狭すぎるとキッチンの動線が崩れて提供スピードが低下するため、バランスを考慮した設計が必要です。
3. 業態や営業スタイルから見る坪月商の目安
飲食店が目指したい一般的な基準値
一般的に、飲食業界において健全な経営を維持するための坪月商の目安は「15~20万円」程度と言われています。これを超える水準を維持できている店舗は、スペースの活用効率が非常に高く、利益を確保しやすい状態と言えます。
ただし、この数値は一律ではなく、店舗の立地や営業時間、客単価、さらには家賃の設定比率によっても適正値は変化します。自店の家賃に対して売上が見合っているかという視点が何よりも重要です。
文章化された計画書は、スタッフと目指す姿を共有するツールになります。理念や基準が明確になると現場も迷わず動きやすくなります。共通の目標に向かう一体感が生まれ、職場の居心地が良くなることで定着率の改善につながります。
業態ごとの特性と数値の変動
店舗の営業スタイルや回転率によって、目安となる坪月商の傾向は大きく異なります。
・回転率重視の業態(ラーメン・牛丼など)
客単価は比較的低めですが、短い滞在時間で多くのお客様が入れ替わるため、坪月商が30~40万円を超える高い水準に達することも珍しくありません。
・客単価重視の業態(高級料亭・専門バルなど)
お客様の滞在時間が長いため回転率は下がりますが、1回あたりの客単価を高く設定することで、坪月商15万円前後でも十分に利益を確保できる構造を構築できます。
現状の数値だけに捉われず、自店の業態特性に合わせた目標設定を行うことが持続可能な経営のポイントです。
4. 面積あたりの成果を高める具体的な営業の工夫
限られた空間のなかで生産性を向上させ、坪月商を引き上げるための効果的なアプローチをご紹介します。
・デッドスペースの徹底的な見直し
店内の動線を確認し、活用されていない角のスペースや広すぎる通路がないか検証します。2人掛けのテーブルを効率的に配置し直す、あるいはカウンター席を微調整するだけで、キッチンの負荷を増やさずに客席数を増やせる場合があります。
・テイクアウトやデリバリーの導入による外販の拡大
坪月商は店内の席数に縛られがちですが、物販や持ち帰りメニューを強化することで、店舗の面積そのものを変えずに売上の上限を引き上げることが可能となります。限られた厨房設備を着回し、席数以上の売上を創出する有効な選択肢となります。
メニューの価格改定や時間帯別の特別プランの設定も、現場の動線を複雑にすることなく全体の数値を底上げするための一助となります。
5. まとめ
坪月商とは、飲食店が持続可能で安定した経営を行うための現在の立ち位置を教えてくれる重要な指標です。正確な坪数の算出方法を理解し、自店の業態に見合った目安と照らし合わせることで、家賃に対するリスクや改善すべきポイントが明確に浮き彫りになります。
難しく捉えすぎず、まずは自店の契約書を確認して正確な数値を割り出す小さな一歩から、これからのより良い店舗運営の計画を始めてみてはいかがでしょうか。
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