倉敷名物を体験へ!「ぶっかけ庵 ふるいち」の観光特化戦略
2023年11月、倉敷美観地区に誕生した「倉敷うどん ぶっかけ庵 ふるいち」。倉敷市バス専用駐車場の北隣という団体観光客にも立ち寄りやすい立地にあり、旅行会社のツアー予約も多く舞い込んでいる。客層の約7割が国内観光客、約3割が中国・韓国・台湾を中心とした外国人観光客で、女性が全体の約6割を占める。
既存店の客単価が約700円であるのに対し、「ぶっかけ庵 ふるいち」ではやや高めの価格設定により1,000~2,000円、平均月商は800~900万円。オープン当初こそ認知度アップに苦労したものの、着実に知名度を高めた結果、直近の来店者数は前年比で1.7倍に増加した(2026年7月現在)。
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美観地区の入り口に位置する「倉敷うどん ぶっかけ庵 ふるいち」。倉敷観光の食事処として最適なロケーションと広さを持つ -
店頭のA型看板には、4カ国語の表記でメニューとお土産情報を掲載。国内外からの集客とスムーズな販売を促進している
「創業から71年、『ぶっかけうどん』を始めて56年目です。ありがたいことに今では倉敷のソウルフードと言われるまでになりました」と栗坂氏は振り返る。創業店である倉敷駅前の「仲店」を軸に、倉敷市内を中心にロードサイドや大型商業施設、JR岡山駅新幹線上りホーム(23、24番)など、出店エリアを広げてきた。現在は岡山県内に12店舗、大阪府内に1店舗を構え、地元に深く根ざした店舗運営を続けている。
倉敷うどんぶっかけ庵ふるいち
業態:うどん店
座席:80席(テーブル、カウンター)
客単価:1,000~2,000円
客層:10~60代、国内観光客、インバウンド(主に中国、韓国、台湾)、国内外比7:3
アクセス:JR倉敷駅より徒歩10分
営業時間:11:00~19:00
定休日 :無し(不定休)
https://r.gnavi.co.jp/ee4y0nrd0000/
https://bukkake-an.com/
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繁盛へと導いた、3つのポイント
目次
【POINT1】旅の思い出に残る、上質な食体験を提供
【POINT2】インバウンドを取り込むメニュー設計
【POINT3】うどん天下一決定戦の優勝で全国区の知名度に
【POINT1】旅の思い出に残る、上質な食体験を提供
「ぶっかけうどん」は昭和45年(1970年)、代表取締役会長の古市 了一 氏が12歳の時に、創業者の父・古市 博 氏から麻雀中に食べやすい工夫を命じられ、ざるうどんにタレと具をかけて出したことが始まりである。「これは、うまい!」とメニュー化され、改良を重ねて現在の形になった。長年にわたり地元客に愛され、現在では「倉敷うどんといえば、ふるいちのぶっかけ」と、日常食としてのポジションを確立している。
「次なる挑戦として『真の倉敷名物を目指そう』とビジョンを掲げる中で、やはり倉敷観光の中心である美観地区に店舗を構えることが必要だと。それを実現できたのが2023年です」と栗坂氏は語る。
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1階通路には、ふるいちの歴史をパネルで紹介している -
「ぶっかけうどん」が倉敷名物になるまでが一目でわかる
観光客に特化した「ぶっかけ庵 ふるいち」は、従来のセルフサービススタイルの店舗とは一線を画す。ふるいちの味をさらに進化させ、品質と味にこだわり抜いたうどんを郷土の備前焼の器でいただく”極上のぶっかけうどん”を、高級感のある落ち着いた店内で、フルサービスで提供する。
「ふるいちは、QSC(クオリティー、サービス、クレンリネス)に加えて、おもてなしを含めたH(ホスピタリティー)を大切にしています」と栗坂氏は力を込める。食べておいしい体験はもちろん、接客や店の雰囲気も含めて、旅の思い出や懐かしさを感じる食体験を重視している。
【POINT2】 インバウンドを取り込むメニュー設計
「ぶっかけ庵 ふるいち」のメニュー設計は、外国人観光客を意識している。天ぷらが好き、日本に来たら和牛が食べたい、といったニーズに合わせて開発したのが、「海老の天ぷら盛り合わせぶっかけうどん」や「牛しゃぶしゃぶ肉ぶっかけうどん」だ。
「最初は、既存店で提供している『肉ぶっかけうどん』のお肉を和牛に変更した商品にしようと考えたのですが、なんか違うなと。食べておいしい体験という部分でいうと、お客様自身でしゃぶしゃぶをしていただくスタイルの方が喜んでもらえると考え、開発に至りました」と栗坂氏は明かす。
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写真付で内容が分かりやすいメニュー表。温と冷の「食べ比べセット」もある -
メニューは、日本語、英語、韓国語、中国語の4カ国語で説明
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【POINT3】うどん天下一決定戦の優勝で全国区の知名度に
ふるいちの「ぶっかけうどん」は、今では全国区の知名度を持つ。そのきっかけは、2016年と2017年に開催された日本最大級のうどんイベント「うどん天下一決定戦」である。全国のご当地うどんが集結する同大会において、ふるいちの「ぶっかけうどん」は2年連続で全国優勝の栄冠に輝いた。
全国のうどん好きの心をつかんだその特徴は、専用の小麦を使用したモチモチ食感の麺と、絶妙にマッチする甘辛いタレにある。「ぶっかけ庵 ふるいち」では圧力釜を用いて茹で上げることで、そのモチモチ感をさらに際立たせている。昆布・カツオ・しょう油・シイタケなど、素材や産地にまでこだわり抜いた特製ダレは、最後まで飲み干せると評判だ。
さらに、国際的な品評機関「モンドセレクション」においても、8年連続で優秀品質最高金賞を受賞(2026年時点)。圧倒的なおいしさに加え、確かな品質と信頼を国内外へ証明している。
今後の急務は、訪日観光客が増加する中、ムスリム(イスラム教徒)に対するハラールへの対応だ。「せっかく倉敷に来たのに、ハラールに対応してるお店がなければがっかりするでしょうし、お困りになることでしょう。そこで、当社が率先して対応していこうと、現在メニューの開発を進めています」と栗坂氏。
加えて海外展開も視野に入れる。まずは物販展開から開始し、バンコクの商業施設で開催されるポップアップイベントに出店する予定だ。その先の本格的な海外進出も見据えた挑戦である。一方で既存店についても、直近で5店舗のリニューアルを順次完了させたばかり。「倉敷ご当地グルメとして、変わらず注力していきます」と意気込む。
倉敷の日常食として親しまれてきたソウルフード「ぶっかけうどん」。その伝統の味を守りつつ、時代の変化に合わせた柔軟な進化と果敢な挑戦を続けるふるいちの歩みは、地元ファンのみならず、国内外の多くの人々を魅了していくはずだ。
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