もつ鍋がそのまま餃子に変身!人気爆発で夏の売上に貢献し定番のメニューに成長
【東京・中野】唐兵衛
試行錯誤の努力を経て完成!「この味」を求めるファン多数
牛タン専門店「唐兵衛」が、集客が厳しくなる夏場対策として3年前に考案したのが「もつ鍋餃子」だ。もつ鍋の具とスープを餃子の皮で包み、香ばしく焼き上げた一品で、今では“夏対策”にとどまらず、通年の人気メニューに成長。来店客のほとんどが1組1皿(4個)は注文し、1人1皿注文するグループも珍しくない。
「当店は牛タンの専門店。定番のタン塩焼きのほかに、タンしゃぶやタンの天ぷらなど25種類以上のオリジナルな牛タン料理が売りです」と語るのは、女将の唐﨑悦子氏。実は店が軌道に乗り始めたオープン翌年の2001年に「事件」があった。日本でBSE問題(牛海綿状脳症にかかった牛が見つかり、牛肉消費量が数年間、大幅に減少した)が起こり、客足が遠のいてしまったのだ。そのときに生まれたのが、もつ鍋だった。牛タンの仕入れ先である宮城県の業者から、良質の「黒毛和牛の生白もつ」を仕入れることに成功。折からのもつ鍋ブームにも後押しされて、牛タン料理に次ぐ店の看板メニューとして定着した。
ところが、もつ鍋の本場・福岡と違って、東京では夏場のもつ鍋は敬遠されがち。夏でももつ鍋を食べてもらう方法を考えていたとき、博多にはもつを餃子に入れる「もつ餃子」があると聞いた。そこで思いついたのが、もつだけでなく、もつ鍋そのものを餃子にすることで、他店にはないオリジナルな一品を作ることだった。
「難しかったのは、スープごと餃子の具にすること。包むことはできても、焼いているうちに中身が爆発し、スープが外に出てしまうのです」と唐﨑氏。餃子のあんの量や形状など細かい調整を重ねた末に、もつ鍋の具とスープを無理なく包み込む方法を発見した。こうして、食べると餃子の中からもつ鍋のスープがあふれ出る、小籠包のような「もつ鍋餃子」が完成。もつ鍋そのものの味が餃子の皮と絶妙のハーモニーを生み出すとともに、ビールとの相性も抜群で、年を経るごとにファンが増加している。
さらに唐兵衛では、「もつ鍋餃子」誕生の翌夏に、さらなる夏の集客対策として「もつ鍋つけ麺」も開発。冷たい麺を、熱々のもつ鍋につけて食べる料理だ。もつ鍋のスープとよくからまる相性のいい麺を選び出すとともに、スープの味をつけ麺に合うように微調整。約1カ月間、毎日試食して、ようやく目指す味ができあがった。割スープとして自家製テールスープと小ライスを添えた「もつ鍋つけ麺」は、ランチメニューとして人気を博し、来店頻度のアップにも貢献。ディナーでもシメのほか、食事として「もつ鍋つけ麺」を食べにくる客も少なくない。
唐兵衛では、こうした新メニューをぐるなびで前面に打ち出すとともに、店内ポスターなどでも強力にアピール。「もつ鍋餃子」については、コピーライターに依頼して本格的な販促POPも作成したほどだ。「今年は原点の牛タンを使った“夏の新メニュー”を仕かけます」と語る唐﨑氏。持ち前の企画力を発揮して、さらなる店のファン作りを狙っている。