更新日:2022.6.6
売上増を狙ってテイクアウトを行う店は多いが、道行く人や地域住民や働いている人になかなか認知されず、思うように売上が上がらないと思う店も多いだろう。そこで、“店頭販促のプロ”である中村心氏に、店頭でのテイクアウトの効果的なアピール方法を聞くとともに、A看板などを用いた店頭ボードの活用法や書き方のポイントなどを教えてもらった。
【ノウハウ】低コストで効果の高い店頭販促。人手がかからない効率性も魅力
店頭でテイクアウトをアピールするコツ
・自店に興味のない人をどう引き付けるかが重要
・「ブレーキ・アピール・キャリー」の3つの要素を盛り込み訴求力アップ
・店頭のボードには食欲をそそる写真や説明書きをを入れる
・通りを行き交う人の目線に立ち、離れた位置から見え方を確認
・こんな書き方、していませんか?やりがちNG例
自店に興味のない人をどう引き付けるかが重要
現在、イートインと並ぶ収益の柱作りとして、テイクアウトに注力する飲食店は多い。一方で、その販促方法については手探りで、あまり真剣に考えていないというケースもあるのではないだろうか。店頭販促のコンサルティングを行っている中村心氏は、「テイクアウトを店頭で効果的にアピールできている店は、まだまだ少ないと感じます」と語る。「よく見かけるのは、『テイクアウトできます』という表示だけを出して、詳細が分からないケース。特に新規のお客様にとってみれば、どんなメニューがあるのか分からないため、立ち寄りづらくなります」(中村氏)。看板やファサードなどから消費者が受ける印象は大きく、テイクアウトの利用にも影響する。だからこそ、ただ単に「テイクアウトできます」という張り紙を出したり、商品を並べるだけでなく、「店頭をフル活用して魅力的に見せる工夫が不可欠」と中村氏は訴える。
ホームページやSNSで詳細を告知する方法も有効だが、これらは万能なわけではなく、店のアカウントの既存フォロワーなど、限られた人にしか情報が届きづらいという欠点も。また、「電話番号などを店頭に表示しているから、分からないことがあれば問い合わせてくれるだろう」と、客側のアクションに期待することも避けるべきだという。中村氏は、「実際に問い合わせてくれる人もいますが、そうしたお客様はごく一部。大多数の人はそこまでの労力を割きません。“自分の店は、自身が思うほどお客様に知られてはいないし、興味を持たれていない”という前提に立って、販促を考え直す必要があります」と話す。
具体的なツールとしては、看板やタペストリー、ボード、のぼりなどがあり、いずれも、いったん設置すれば継続して効果を発揮し、人手がかからない効率の良さがある。「例えば人の行き来が多い通りに面した窓際に販促物を置けば、営業時間内だけでなく24時間365日、道行く人にアピールできます」(中村氏)。また、人と人との接触なしに、商品のアピールや情報のアナウンスができる点は、コロナ禍の現状にも適している。
各種ツールの中で、テイクアウトのアピール用に中村氏が勧めるのは、A型看板に代表される店頭ボードだ。導入や運用のコストが比較的安く、少し工夫することで高い効果が期待できるため、初心者でも取り入れやすいことがその理由。加えて、自由に書いたり消したりできるため、例えば自治体の要請で営業時間や定休日に急な変更があった場合も、臨機応変に対応して最新の情報を発信できる。これは印刷物にはない店頭ボードならではのメリットだ。「店頭は、お客様と店の最初の接点。手書きの店頭ボードを使えば、人の温もりやお店の個性も伝わるため、お客様への“歓迎の意思”を示すことができます。その示し方次第で、テイクアウトの売上も大きく変わってきます」と中村氏は話す。
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「ブレーキ・アピール・キャリー」の3つの要素を盛り込み訴求力アップ
想定ターゲットに合わせ、情報を絞り込むことが重要
販促ツールとして高い効果が期待できる店頭ボード。では、そこにどのような情報を盛り込めばよいのだろうか。まずは基本的な考え方を押さえておきたい。ボードに必ず盛り込むべきものとして、中村氏は「ブレーキ要素」「アピール要素」「キャリー要素」という3つの要素を挙げる。
1つ目の「ブレーキ要素」は、道行く人の目や足を止めさせる、最も目立たせたい要素のことで、例えば「テイクアウトできます」といった一言がこれに当たる。2つ目の「アピール要素」は、商品やサービスの魅力を伝え、購買意欲を喚起する要素。どのようなテイクアウト商品があるかや、それぞれの特徴が分かる情報のことを指す。そして最後の「キャリー要素」は、消費者が持つであろう不安や疑問を解消し、利用しやすい印象を抱かせるための要素。例として、「待ち時間なしでお渡しできます」「事前に予約できます」といった案内や、電話番号・営業時間・定休日などの情報が該当する。「『気軽にお立ち寄りください』といったメッセージも、親しみやすい印象を与えるキャリー要素の一つです」(中村氏)。
注意したいのは、3つの要素として具体的にどのような文言が適しているのかは、店によって異なること。「だからこそ、店頭ボードを作る上では、まず自店のターゲットを明確にイメージすることが大切です。その上で、ターゲットに響く自店のテイクアウト商品は何なのか、ターゲットが知りたい情報はどのようなものなのかを考え、三つの要素に分類して落とし込むようにしましょう」と中村氏はアドバイスする。「例えばターゲットが近隣のオフィスで働く20~50代の女性で、ヘルシー志向の人が多いならば、カロリーや塩分量といった情報をアピール要素として表示するのも一案です」(中村氏)。
逆に、ターゲットを広げ過ぎ、情報をあれもこれも盛り込んだ店頭ボードは、分かりにくいものになりがちだ。「“アピールポイントをたくさん書いておけば、そのどれかが見る人の興味に引っかかるはず”と考える人は多いのですが、これは誤解。情報を多く提示すればするほど、それぞれのアピール力は下がってしまいます」(中村氏)。店頭ボードの効果を高めるためにも、想定するターゲットに合わせて、伝える情報を絞り込むプロセスが重要になる。
店頭のボードには食欲をそそる写真や説明書きをを入れる
商品の魅力を簡潔に伝えるキャッチコピーも効果大
ターゲットに合わせた「ブレーキ・アピール・キャリー」の各要素の内容が決まったら、ボード作りに挑戦してみよう。レイアウトの基本的な考え方として、人の目線は上から下に動くため、最上段にブレーキ要素を目立つように配置。その下にアピール要素としてメニューを書き込み、最後にキャリー要素のメッセージなどを加える。
ポイントは、アピール要素であるメニューの書き方。たくさんの種類をずらりと羅列するのではなく、おすすめの2~3品に絞り大きく紹介した方が、それがフックとなって目を留めてもらいやすくなる。このとき、メニューに写真を添えることは、必須ともいえるほど重要だ。「おいしそうな料理の写真はそれだけで強力なアピール要素となり、これは飲食店ならではの武器。写真はB5サイズ以上の大きさにすると視認性が高まります」と中村氏。必ずしもボードの枠内に写真を収める必要はなく、フレームから一部がはみ出るように配置するのも効果的。限られた筆記スペースの有効利用にもつながる。料理の形に写真を切り抜いて貼り付けるのも、店頭ボードの雰囲気に変化が出て良いという。写真はラミネート加工し、雨や汚れに備えたい。
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メニュー名、価格に加え、料理の売りやこだわりを1~2行で分かりやすく書き添えることもおすすめだ。例えばハンバーグなら、『黒毛和牛100%でうま味たっぷり&ジューシー』など、食材や味の特色に触れた一文は食欲をそそり、購買意欲も喚起できる。ターゲットの客層に合わせた『ボリューム満点』『カロリー控えめでヘルシー』などのワードもアピール要素として効果的だ。単なるメニュー紹介ではなく、「商品の魅力を伝えるキャッチコピー」として作成しよう。
店頭ボードのさらなる活用アイデアとして、小さなプラスチックケースを取り付け、そこにメニュー一覧や予約方法を記載したチラシを入れておく方法もある。「店頭ボードを見た人が、スーパーでの買い物帰りや他店で食事をした後などに、『テイクアウト商品に興味は持ったものの、今は買えない』という状況はよくあります。チラシを手にとってもらうことで先々の利用につながります」と中村氏は提案する。
テイクアウト用店頭ボードのモデル例
訴求効果の高い店頭ボードの例を、中村氏に提示いただいた。2例とも「ブレーキ・アピール・キャリー」の三つの要素が盛り込まれ、情報が整理され、かつメリハリがあるため分かりやすい。
モデルケースその1
テイクアウト容器に入った料理の写真や、メニューのバリエーションを記載すると、より分かりやすく親切な印象。
モデルケースその2
おすすめの1品だけを大きく書くのもインパクトがあり効果的。「なぜイチオシなのか」が伝わるキャッチコピーや説明を添えよう。
店頭ボードを上手に書くコツ&注意点
通りを行き交う人の目線に立ち、離れた位置から見え方を確認
あらかじめ内容を決めて下書きすると完成度が向上
では、実際に店頭ボードを書く際のコツを紹介しよう。まず、どのような文章をどう配置するか、一度メモ用紙に下書きをすることが大事。いきなりボードに直接書き始め、書きながら考えていると、全体のバランスが悪くなりがちだ。また、ボードに一度書いたものをきれいに消すには少々手間がかかるので、なるべく書き直さずに済むようにしたい。下書きの段階で、文字の大小やラインを引く箇所など、メリハリも意識しよう。
筆記用具にはボード専用のマーカーを使う。文字の色は、ブラックボードの場合、最も読みやすい白が基本。「白にプラスして、黄、ピンク、オレンジなどのマーカーがあれば、強調したい文字の色を変えたり、白字に異なる色のラインを引けるなど、表現の幅が広がります。ただし、使う色は多くとも3色程度に抑えた方が全体としてまとまりが出ます」(中村氏)。完成したボードを店頭に設置したら、10メートルほど離れた場所から歩いてみて見え方を確認する。また視認性に加えて、通行の邪魔にならないように置くなど、歩く人の視点に立って配慮したい。
「センスに自信がないからとボード作りをためらう方も多いのですが、店頭ボードに才能は関係ありません」と中村氏。基本知識を踏まえて、実践を重ねることが上達への近道となる。工夫次第で効果が上がる店頭ボードをぜひ、テイクアウトの販促に活用したい。
Case Study こんな書き方、していませんか?やりがちNG例
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