2011/08/02 特集

客と近づく!お店の印象度も上がる!料理教室成功の法則(3ページ目)

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成功の法則

料理教室を入口に交流を深め、高級店の敷居の高さを払拭

東京・麻布 東麻布 万歴龍呼堂

懇切丁寧に教える石塚料理長の話に聞き入る参加者。カウンターでの臨場感を大事にするため、少人数制で行なう

料理長と客の親睦を通じて、より身近で愛される店へ

『ミシュランガイド』で一つ星を獲得し、旬の素材を活かした日本料理が高い評価を得ている万歴龍呼堂。今年3月から、石塚規料理長による〝家庭でできる日本料理のコツ〟を伝授する料理教室を開始した。

「女性客ならではの口コミ効果を期待して、当店でも料理教室を始めたいと思っていたところ、タイミングよくお客様からのご要望があったんです」と石塚氏は振り返る。

料理教室は毎月第2木曜日に開催。参加費は実食を含めて1人1万円。定員は8名で、昼12時から約2時間、長さ8メートルの赤松材のカウンター越しに参加者と向き合い、石塚氏が自らレクチャーする。

1回の料理教室で教える品数は、なんと10品以上。家庭で再現できるメニューと季節感をコンセプトに、前菜からメイン、ご飯もの、甘味まで網羅。本格的な出汁の取り方から家庭での簡単なアレンジ調理法まで、一つひとつ丁寧に実演する。

「すべてをこの場でお作りいただくことは時間的に難しいですが、毎回前菜の盛り付けだけは必ずやっていただき、バランスや配置など、日本料理の盛り付けの重要ポイントを理解できる内容にしています」。

スムーズな進行のために、夜の懐石で使用する食材を極力活用し、アイドルタイムを利用しての下準備を欠かさない。取材当日は深緑を意識した涼しげな前菜3品のほか、旬の鰹のたたき、梅酢を使ってさっぱり仕上げた米沢豚の梅角煮など、季節感溢れるメニュー。参加者からも「覚えた料理は夫にも好評です」「お店の雰囲気も含めて毎回楽しみ」などと絶賛の声が聞かれた。

「毎回、その月の旬の素材を使った料理を心掛けています。また、例えばお孫さんがいる方には、子どもにも食べやすいアレンジ法を教えるなど、その方に合わせて役立つ情報を伝えられるよう心がけています」。

ミシュランの星付きレストランというと、どうしても敷居の高さを感じさせてしまうが、「そのイメージを払拭する意図もあります」と石塚氏。「一人ひとりと密接なコミュニケーションを図れることが料理教室の魅力。当店は接待利用が多く、7割が男性客なのですが、料理教室を通じて女性の方々にも入りやすさや親しみを感じていただき、新たな客層の開拓ができればと考えています」。今後は「ぐるなびクッキング」も活用し、より広い年齢層へもアプローチしていく予定だ。

石塚料理長から極意を学びながら、参加者自身が箸を持って前菜3種を盛り付けていく
取材当日の「前菜3種」。初夏にぴったりの涼やかなメニューが並ぶ
店のオリジナル料理の作り方も惜しみなく教え、試食してもらう。写真は「フォアグラ丸」

初夏の料理教室の内容(7月14日開催時)

開催形式

デモンストレーション

参加人数

8名

費用

10,000円(税込)

時間

12:00~14:00

【メニュー】

前菜3種(深緑3種)
順才・小柱・鯵 みどり酢和え、焼茄子若布和え、高野豆腐海老ずんだ和え
かつをたたき
フォアグラ丸
米沢一番豚梅角煮
鰻飯(茶漬け出汁)
甘味 紅茶プリン、甘いさつまいも、レモンジュレ

参加者に配布するレシピは、季節感のある色の表紙をつけて、見た目にもきれいな冊子として作成
料理長
石塚 規高校卒業後、「紀尾井町 福田家」で修業。その後、銀座「むなかた」などで活躍。2009年、同店の料理長に就任。
東麻布 万歴龍呼堂
東京都港区東麻布2-33-5
http://r.gnavi.co.jp/gag1500/麻布十番駅から徒歩5分の立地に2001年オープン。赤松のカウンター席、地階の半個室(2~4名用)など、洗練された空間で本格和食を提供する。

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