2015/02/24 特集

ダメージを残さないクレーム回避&対処術

料理やドリンクの提供スピードから異物混入まで、来店客からのクレームはできれば避けたいもの。人不足になる時期は特に注意が必要だ。クレームを未然に防ぐ方法、出てしまった際の対処法を飲食のプロに聞く。

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料理やドリンクの提供スピードから異物混入まで、来店客からのクレームはできれば避けたいもの。繁忙期やスタッフが入れ替わって"人不足"になる時期は、特に注意が必要だ。クレームを未然に防ぐ方法、出てしまった際の対処法を、コンサルタントの白岩大樹氏に聞いた。

アップ・トレンド・クリエイツ代表 白岩大樹氏
1976年熊本生まれ。中央大学卒業後、板前として「なだ万」に勤務。2000年より「牛角」のスーパーバイザーを務め、2004年より、OGMコンサルティングにて集客コンサルタントとして活躍。2009年アップ・トレンド・クリエイツ設立。「汗を流すコンサルタント」として飲食店アルバイトを専門にコンサルティングを展開中。現場を直接動かすスタイルで数々の収益向上を実現している。

2015年の春、歓送迎会シーズンは"人不足"の深刻化が予想され、クレームが発生しやすい状況に!

「人不足」と「クレーム発生」、「売上低下」は密接な関係に

クレームには大小様々な種類があるが、些細な事例でも軽視は禁物。アップ・トレンド・クリエイツ代表の白岩大樹氏は「初期対応を間違えると、二次クレームに発展してダメージが大きくなります」と話す。「最初のクレームが主に『物への怒り』なのに対し、二次クレームは『人への怒り』になる」という理由からだ。店側の対応のまずさで、小さな不満が、対応したスタッフや店自体への怒りになる例は、しばしば見られることだ。「一次=マッチの火、二次=キャンプファイヤーくらいの違いがあります。まず、そのことを肝に銘じるべき」と、語気を強める。

飲食店でのクレームは、年中いつでも起こりうるが、「年度末は特に注意が必要」と白岩氏。なぜなら、「多くの店で"人不足"が深刻化しているからです。例年、年度末はスタッフの入れ替わりが激しく、ただでさえオペレーションが不安定になりがち。今年度はそれに折からの人不足が加わって、クレームがより起きやすい状態にあります」と分析する。しかも、年度末は、歓送迎会シーズンに当たり、人不足が忙しさに拍車をかける可能性も高い。

「もちろん、人不足ではない店もありますし、人員は例年より少ないけれど、様々な努力で"人満足"の状態に持っていくことができている店もあります。しかし、人不足がクレーム発生の可能性を高くする確率は、かなり大きいと見なければいけません」(白岩氏)。

そして"負の連鎖"が始まる。まず、人不足によって来店客に目が行き届かなくなり、顧客満足度が下がってクレームが発生しやすくなる。それを放置すると、サイレントクレームになり、客足が遠のいて売上が落ちる。すると、スタッフのシフト削減が必要になり、スタッフの潜在的な不満が増幅し、モチベーションは低下。一方、店長は増えた業務をさばくのに手一杯で、スタッフ育成やコミュニケーションもおろそかになり、スタッフの士気の低下に歯止めがかけられない。結果、辞めるスタッフが増え、ますます人不足が進行し、売上が下がる。まさに悪循環だ。

「クレームが増える背景には、スタッフの潜在的な不満があるのです」と白岩氏。潜在的不満を抱えたスタッフは、客からのクレームを受けると、その事実を店長に報告しなくなるのだ。「こうなると、クレームに気がつくこともできない店になり、知らない間にネットで悪評が広がっていたということになりかねません」。もはや、一刻の猶予もない事態だ。

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