暑い夏がやってくると、食欲が落ち、体力が落ちてしまうことも、しばしば。そんな夏に向けて、スパイスを効かせた料理で食欲増進!今回は、スパイスの魅力をプロに聞くとともに、3名のシェフにスパイスを使った料理を考案してもらった。ぜひ、夏の新メニューの参考にしていただきたい。
スパイスの4大作用を知り、料理の幅を広げる
料理の味や香りを引き立てる名脇役のスパイス。その働きは大きく4つに分けられる。「臭み取り、香りづけ、色づけ、辛みづけがスパイスの4大作用です。また、多くのスパイスは芳香成分を持っています。一番強い作用を持つ『主効果』と二次的・三次的な作用を持つ『副効果』があるものが多く、それぞれのスパイスの作用と特性を理解して活用すると、メニューの幅がグンと広がります」と、教えてくれたのは、スパイスライフアドバイザーの大平美弥氏だ。
また、スパイスと混同されがちなのがハーブ。両者にはどのような違いがあるのだろうか。「ハーブはもともと『薬草』を指しており、毒性があるものも。トリカブトのように危険なものもあります。それに対し、スパイスは食品に分類されており、安心して使えます」(大平氏)。スパイスとハーブの違いを正しく理解したうえで料理に活かすことが必要といえそうだ。
そこでさらに知っておきたいのが、スパイスの作用や特徴を引き出す方法。スパイスには香りのもととなる精油などの成分が含まれており、これらをうまく抽出させることで、料理の印象も大きく変わるのだ。成分を抽出させるには油、アルコール、酢、水と合わせることが有効で、どれを組み合わせるかはそれぞれのスパイスで異なる。「料理人の方は、例えばトウガラシは油で炒めると辛みや香りが立つなど、経験値で理にかなった使い方をしていると思うのですが、その裏付けとなる理由を理解しておくと、新しいメニューを作るときにスパイスをより効果的に使えると思います」と大平氏はアドバイスする。
効果を最大限引き出すには、タイミングと分量が重要
スパイスを使うタイミングや分量も重要だ。「下ごしらえのときだけ」「調理中だけ」「最初から最後まで入れておいても問題ない」など、使うタイミングがスパイスの種類によって異なる。
例えば、煮込み料理によく使うローレル(クスノキ科)。煮込む際に切り込みを入れたり、ちぎったりすると精油成分が出やすくなるが、そのままにしておくと、苦みやアクも出てしまうため、味付けをする前に引き上げることがポイントだ。「スパイスは植物なので、同じ科目のものは似た性質を持っていることが多いです。食材に関しても同じ科目と相性がよいので、それぞれの科目を知っておくと使い方の参考になります」と大平氏は話す。さらに、分量についても注意が必要だ。「入れ過ぎると『オーバースパイス現象』といって、料理のバランスを崩すことにつながります。味や香りをみながら適量を探すことが大事ですね」と大平氏。
また、フレッシュを使うか、乾燥したドライを使うかにも気を遣いたい。例えば、フレッシュは新鮮な香りで彩りもよいが、水分が多いため青臭い成分がアクとして出やすい。そうした特性を理解したうえで料理によって使い分けたい。
スパイスは種類が多く、奥が深いが、大平氏に夏におすすめのスパイスを下に挙げてもらった。また、次ページからは、3名のシェフがスパイスを使った料理を考案。様々な特性を知ったうえで、香り高いスパイスメニューを提案してみてはいかがだろうか。
夏の料理におすすめのスパイス