担々麺をはじめとする辛い麺や、アジア・エスニック料理など、山椒系のしびれる辛さを打ち出した業態・メニューに今、じわじわと注目が集まっている。そこで、夏にピッタリの“しびれメニュー”で集客している店舗を紹介。中国料理以外でもメニュー開発のヒントがあるはず。暑い季節にパンチの効いた辛い料理を提供して、食欲を刺激してみては?
山椒+唐辛子の香りとしびれ、爽快な辛味が食欲を刺激!
【東京・大手町】SCeNT HOUSE DEN Marunouchi
スパイスの香り&辛みをウイスキーとペアリング
ほぼすべての料理に山椒と唐辛子を使い、中華エスニックを中心にしびれる辛さのメニューを多数提供している「SCeNT HOUSE DEN Marunouchi」。
スーパーバイザーの高橋啓也氏は、「山椒の香りと“しびれ感”に唐辛子のコクを合わせることで、爽快な辛味が生まれ、食欲を刺激します」と、狙いを語る。火を吹くような辛さではなく、食べた瞬間にスパイスやハーブがふわっと香り、しびれと辛味がゆっくりと口の中に広がる。「お客様からも、後を引く辛さが好評です」と高橋氏。
店のコンセプトは、都会の中にある森のような空間で楽しむ「香り」だ。南アルプスの蒸溜所で作られるウイスキー「白州」に、香辛料やハーブ、香味野菜を使った香り豊かな料理を合わせる。中華をベースにしたのは、「骨太のメニューでビジネス層の男性へアピールするため」(高橋氏)。狙い通り、夜は男性が過半数を占め、特に天然水と強炭酸で作る「白州森香るハイボール」(780円)を、しびれるメニューとともに楽しむ常連が多い。ボトルキープは200本以上で、1人客から宴会まで、幅広く利用されている。
一押しは、「香辣醤(シャンラージャン)香る SCeNT HOUSE DENの骨付きスペアリブガーリック揚げ」(2300円)。香辣醤とは豆板醤に山椒や花椒、八角などを混ぜた調味料で、これで骨付き肉に下味を付け、香りと辛味を移して揚げ、煎ったピーナッツやガーリックチップ、朝天唐辛子などを絡めることで風味を増している。たっぷりのボリュームとともに、香りと辛さがハイボールにマッチし、リピーターがメニュー表を見ずにオーダーするほど好評だ。
そのほか、冷製前菜の「よだれ鶏ー麻辣仕立てー」(1280円)は、山椒と唐辛子に黒酢を合わせたタレが秀逸。また、「3種の香り 甲州ワインビーフのロースト」(2900円)は、山椒醤油・ハーブ塩・山梨県産柚子胡椒の3種のソースと合わせて楽しめる。
一方、ランチでは人気のスペアリブをアレンジした「香辣醤×揚げ豚 シャンラー豚」(1400円)や、「汁なし坦々麺」(1200円)などの辛いメニューが人気を博している。「昼は8割が近隣のオフィスで働く女性。しびれる料理は、男性以上に女性のファンが多いですね」と、高橋氏は話す。
暑い夏に向かってさらに注目を集める、しびれる辛さの料理。皇居の堀を臨む開放的な空間とともに、山椒などスパイスの爽快感をアピールして、一層の集客を目指している。