モダンなベトナム料理にワインや日本酒などを合わせて新しい道筋を
An Di(アンディ)[東京・外苑前]
膨大なドリンクリストからベストな一杯を提供
「An Di(アンディ)」は、ワインテイスター・ソムリエの大越基裕氏が、自らの世界観を表現する場として2017年7月オープン。フレンチの世界で活躍してきた大越氏だが、「世界の食は、軽やかで、フレッシュな方向に進んでいる」と分析。その方向性と親和性のよいベトナム料理を、洗練したレストランフードに昇華させ、世界中のワインや日本酒などと一緒に楽しませることをテーマに据えた。
大越氏は、東京・銀座のフランス料理店「銀座レカン」でソムリエを務めていた頃から、ペアリングコースを提供していたため、同店でもコース(6500円)に合わせ、「ドリンクペアリング」(5300円)を提案。「ワインが好きでも、膨大なワインリストから料理に合ったワインを選べるお客様は非常に少ない。ペアリングコースには、お客様に『今日はこの道を歩いてみてください』というメッセージなのです」と、大越氏は話す。
ペアリングの手法にはいくつかあり、大越氏は「中和」「同調感」「風味」「テクスチャー(食感)」「五味(甘み・酸味・塩み・旨み・苦み)」でペアリングを提案。例えば「中和」では、料理の脂などの重さをドリンクで中和させたり、塩辛さを甘さで中和させたりする。「同調感」では、料理の酸味とドリンクの酸味を組み合わせたり、ハーブにハーブのような香りがするドリンクを合わせたりと、味や香りに同調感を出すとペアリングがしやすいという。「当店では、フォーにぬる燗の日本酒を提供していますが、これは『テクスチャー』で合わせたもの。食感や温度を考えれば、ワインより日本酒のほうが合うと思います」(大越氏)。
また、ペアリングの内容を来店客に説明することも大切と考えている。感性の世界を言葉に落とし込むことで、共感と感動が生まれ、豊かな体験ができるからだ。通常、ペアリングは提供しているレストランでの注文率が3割といわれるなか、同店の注文率は4~5割。「日本酒や焼酎には、まだ世界に認められていない価値と、ワインとは異なる旨みがあります。これからも積極的に使っていきたいですね」と大越氏。今後もペアリングの世界観を広げていく。
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