繁盛の法則 3カ条
- 豊富な栄養素を含むサバに着目して「さばめし」を開発
- 料理人の父親が考案したレシピを基に兄弟で運営
- 基本の「さばめし」は値ごろ感を出し、各種トッピングを用意
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幼いころからなじんできた「さばめし」で差別化
ひとつの丼ぶりにご飯と具材を盛りつける丼ものは、日常食として身近な存在であり、牛丼、かつ丼、天丼などでは人気の高いチェーン店も存在する。とはいえ、こんがりと網焼きにしたサバの半身をドーンとのせた丼ものは、まだまだ珍しく、専門店も少ない。東京・荻窪に2024年6月1日にオープンした「リョウテにサバ」は、「さばめし」と呼ぶこの丼もののみで勝負しており、いずれは日本の国民食のような存在に成長させたいと意気込んでいる。
この「さばめし」は、経営者である木村 圭吾 氏、稲吾(とうご)氏の兄弟にとっては、小さい頃からなじみのある一品である。2人の父親である英寛氏が、以前は神奈川・川崎で焼肉店を営んでいた料理人であり、息子たちの身体づくりのためによく作ってくれたのが、現在の「さばめし」の原型となる料理だった。兄弟そろって幼少期から極真空手を習っていたこともあり、肉以外でも豊富な栄養素を摂れる食材として着目したのがサバだった。サバにはたんぱく質のほか、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)、ビタミンDなどが含まれる。そのサバをいかにしたら臭みやパサつきがなく、おいしくできるか、試行錯誤しながら作ってくれていた。
「兄も私も、父の味や料理の腕を信頼していますし、父の料理が世界一おいしいというのが、私たち家族の認識なのです」と、店長を務める稲吾氏は自信を込めて語る。父親の姿を見ながら、いずれは仲のいい兄弟で飲食店を経営したいという気持ちが芽生えてきたが、その際は競合店の多い焼肉店ではなく、「さばめし」で他店と差別化したいと考えるようになった。
兄の圭吾氏は1997年生まれで、経営元であるFOUNDATION株式会社の社長を務めながら、今も不動産会社の執行役員として活躍している。そのため、実際の店舗運営は弟の稲吾氏が担当している。稲吾氏は2002年生まれで、高校卒業後、圭吾氏の不動産会社での働きぶりにあこがれて、自身も別の不動産会社に入って4年ほど勤務したが、さばめし専門店の出店が具体化してきたことから、退職して店の運営に専念している。
主力商品の「さばめし」や、タレ類、トッピング類、サイドメニューなどは、父親の英寛氏が開発してくれた。サバは、いろいろ試した中で、脂ののりがよく、年間通じて安定的に入手できるノルウェー産を選んだ。現地で養殖され、半身に加工してすぐに冷凍することで、味わいを封じ込めた状態で輸入されている。
メインの塩味の「さばめし」と「タレさばめし」は、各980円と3ケタの価格に抑えている。サバの半身は150gあり、さらにご飯の量を大200g、中160g、小120gから選ぶことができ、イートインの際はスープと漬け物がつくため、さばめし単品でもボリューム感がある。好みで「チーズ」(150円)、「温玉」(100円)、「国産鶏むね肉(100g)」(220円)、「納豆」(100円)など、十数種そろえたトッピングを追加してもいい。良質なたんぱく質を摂りたいという、トレーニングに励んでいるお客様向けには、「筋トレ飯の新定番 鶏むね×さばめし(温玉トッピング)」(1,300円)を提案し、この組合せだとたんぱく質58.3gを摂取できるとアピールしている。
客単価は1,150円で、平日は約120人、週末は約140人を誘引している。お客様の年齢層は20~40代を中心としながら幅広く、また女性も3~4割を占めている。
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居抜き物件を使って出店。まず地元での定着を目指す
実は、荻窪はほとんど縁がなかった場所だったが、東京23区内の物件をあちこち探していた中で見つけたのが、荻窪駅南口から徒歩2分ほどの商店街にある現物件だった。長年営業していた老舗そば店が閉店した後、大手飲食企業が全面改装してオムライス専門店を出店したが、その直後に始まったコロナ禍により早々に撤退した。次にタピオカドリンク店、続いてカレーショップが入ったが、いずれも1年もたずに閉店に追い込まれた。地元では“いわく付き物件”のように見られ始めていたが、そのような先入観のなかった木村さん兄弟は、この物件をひと目見て「ここだね!」と顔を見合わせたほどで、その日のうちに契約を決めた。コロナ禍も落ち着いてきた2024年3月だったことも幸いした。
店舗規模は15坪で、オープンキッチンを囲むL字型のカウンター席とテーブル席で計19席ある。壁紙をテーマカラーである明るいオレンジ色に変えた以外は、オムライス店時代のまま使うことができている。
「さばめし」という差別化アイテムを打ち出し、専門店として認知されてきた要因は、以下のようになるだろう。
- 豊富な栄養素を含むサバに着目し、幅広い客層に支持される「さばめし」を開発している。
- ベテラン料理人の父親が考案したレシピを活かしている。
- メインの「さばめし」は980円に押さえて値ごろ感を出し、各種トッピングで変化を加えられるようにしている。
焼きたて、作りたてを食べられるイートインが7割を占めているが、丼ものという持ち運びのしやすさから、テイクアウトが約2割、デリバリーも約1割を占めている。
「この店舗に関していえば、荻窪と言えば『リョウテにサバ』だよね、と言われるくらいに知名度を上げていきたいですね。また、私たち兄弟の展望としては、この1店舗だけで満足せず、2店舗目、3店舗目と、多店舗展開を目指していきたいです。将来的には、牛丼やカレーやラーメンなどと並ぶ国民食の1つに、“さばめし”も入るくらいに普及できたらいいなと思っています」と稲吾氏は意欲を見せている。
(Text and shop photo by Food Biz, )
住所
東京都杉並区荻窪5-23-12 オキビル1F
営業時間
11:30~15:00(LO. 14:30)、17:30~22:00(LO. 21:30)
土・日曜日・祝日
11:30~19:30(LO. 19:00)
定休日
金曜日
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