2026/10/05 特集

「博多めんちゃんこ亭」の繁盛戦略!多世代が集う店づくりで月商1,000万円超

福岡エリアの繁盛店を特集。創業約半世紀、平均月商1,000万円超を誇る「博多めんちゃんこ亭 藤崎本店」が繁盛し続ける理由に迫る。名物「めんちゃんこ」の進化をはじめ、昼飲みや深夜需要を掴む幅広いメニュー構成、ファミリーからビジネス層まで惹きつける「エイジレスな店づくり」の秘けつを紹介。さらに、DX化を進めつつ「人ならではの接客」を重視する人材教育など、時代に合わせて選ばれ続ける飲食店の経営戦略をひも解く。

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多世代が集う店づくりで平均月商1,000万円超を達成

地下鉄藤崎駅から徒歩2分、明治通り沿いに店を構える藤崎本店。駅近ながら駐車場を7台備え、車での来店にも対応する利便性の高さも魅力

福岡の中心地・博多から電車で15分ほどの場所にある地下鉄藤崎駅近くに店を構える「博多めんちゃんこ亭 藤崎本店」。1979年11月の創業以来、鍋料理と麺を組み合わせた独自の「めんちゃんこ」を看板に、現在は福岡(福岡市内)・長崎で8店舗を展開する。子どもから年配者まで幅広く受け入れる「エイジレスな店」を掲げ、ファミリーやビジネス層、学生らが訪れる。男女比はほぼ同数で、客単価は昼1,200円、夜1,400円。平均月商は1,000万円を超え、2024年6月には最高月商1,500万円を記録した。

看板の「めんちゃんこ」は、だしの原料や麺、提供方法などを時代に応じて改良。居酒屋メニューやフェア商品も展開し、昼・夜・深夜の多様な利用に応える。DXを進める中で、改めて「人」による接客を重視。創業から半世紀近く。地域に根づきながら、変化を重ねて選ばれ続ける繁盛の理由を、代表取締役社長の米濱 裕次郎 氏に伺った。

【店舗Data】 
博多めんちゃんこ亭 藤崎本店
業態:めんちゃんこ
座席:50席(テーブル、カウンター)
客単価:昼1,200円、夜1,400円
客層:ファミリー、ビジネス層、学生。男女比は5:5
住  所:福岡県福岡市早良区百道2-8-1
アクセス:地下鉄藤崎駅 徒歩1分
営業時間:11:00~翌3:00
定休日 :無休
https://r.gnavi.co.jp/c44xc4rg0000/
https://menchanko.co.jp/fujisaki

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目次
名物「めんちゃんこ」が時代に合わせて進化
幅広い利用を生む多彩なメニューラインナップ
DXを進めつつ「人」ならではの温かな接客を重視

名物「めんちゃんこ」が時代に合わせて進化

特注の鉄鍋で熱々を供する「元祖めんちゃんこ」(968円)。今では身近な一人鍋スタイルを、創業時から変わらず続けている

「めんちゃんこ」とは、ちゃんこ鍋のスープで麺を煮込む、博多生まれの麺料理。創業者・米濱 昭英 氏が、親交のあった第53代横綱・琴桜の稽古場で食べたちゃんこの味に感動し、そのおいしさをもっと広めたいと考えたことから誕生した。

研究を重ね、ハモをはじめ10種類以上の素材からうま味を引き出しただしと、煮込んでもコシを失わず、スープがよく絡む特製麺を開発。特注の鉄鍋で熱々を供するスタイルを築いた。27歳で経営を引き継いだ現社長の米濱 裕次郎 氏も、その基本を大切にしながら、だしの原料や麺、提供方法を時代に応じて見直してきた。「僕がやりたいことではなく、めんちゃんこらしさが判断の軸」と米濱氏。味のバリエーションも増やし、2026年6月にオープンした西新店では、もちもちとした麺を生かした「パスタめんちゃんこ」や、こんにゃくとえのきを合わせた低カロリー麺も展開。変えるべきところには手を入れながら、めんちゃんこの可能性を広げている。

博多名物のもつ鍋とめんちゃんこを掛け合わせた「もつ鍋めんちゃんこ」(1144円)。しょうゆと味噌の2つの味から選べる
チゲ味噌、カレーなど、バリエーションも豊富。小盛・大盛のほか、こんにゃく麺や細麺も選べ、好みに合わせて楽しめる
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幅広い利用を生む多彩なメニューラインナップ

サイドメニューは280円・380円・480円・580円(すべて税別)の4価格帯に整理。価格の幅を絞り、選びやすさと手頃感を打ち出している
提供後に来店客が自分で振ってたっぷりのスパイスをまとわせて仕上げる「毛沢東チキン」(682円)。ザクザクした食感とスパイシーな味わいがクセになる

米濱社長のニューヨークでの経験を生かし、約25年前に居酒屋メニューを導入。当初は飲酒利用が伸びなかったが、当時480円だったハイボールを190円に値下げしたことを機に注文が急増。料理とともにアルコールを楽しむ利用が定着し、現在は餃子とビールなどを組み合わせた「ビールセット」(550円)や昼飲みメニューを用意している。

  • 餃子5個と生ビールを組み合わせた「ビールセット」(550円)。価格を見直し、この価格で復活。気軽な飲酒利用を促す
  • 一般的なシーザーサラダにひと工夫を加えた「焼きシーザーサラダ」(638円)。新メニューの多くは、米濱社長自らアイデアを出している

また、手土産としても人気を集めるのが、自家製プリン。2000年ごろに誕生した「しあわせの赤プリン」は、フランス・リヨンでパティシエをしていた米濱社長の妹が開発を担当。卵や牛乳、バニラビーンズなど素材を吟味し、現在も手づくりを続ける。こうしたメニューの幅に加え、藤崎本店は深夜3時まで営業。遅い時間帯には若者や同業者などの利用も多く、昼・夜・深夜で異なる客層を受け入れる。さらに、2〜3カ月ごとにテーマを変えるメニューフェアやイベントも実施。「昔よく行った懐かしい店」で終わらず、今も選ばれる店であり続けるための工夫を重ねている。

なめらかな口当たりが特徴の「しあわせの赤プリン」(各396円)。プレーン・抹茶・季節味(取材時は塩)の3種が用意されている
子ども向けの特典キャンペーンや、飲酒客を対象にしたサイコロ企画など、客層や利用シーンに合わせたイベントを展開

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DXを進めつつ「人」ならではの温かな接客を重視

コロナ禍での人手不足や衛生面への対応に迫られたことから、タブレットや自動精算機を導入し、DX化を進めた。効率化が進む一方、接客は次第にマニュアルに沿った「作業」になってしまい、来店客から「どれがおいしい?」と聞かれても、自分の言葉で答えられないスタッフが増えてしまったという。一方で、長年働くスタッフは、常連客の名前を覚え、親しみを込めた接客で喜ばれており、接客レベルに差が出るように。

この状況に危機感を覚えた米濱社長は、人材教育のあり方を見直した。「お客様に食事の時間を楽しんでもらうことが目的」(米濱氏)と、作業の手順を覚える「末学」に偏らず、何のために行うのかという根本を伝える「本学」を重視。スタッフ自身が考えて動く接客へと転換した。そうして主体性を持つことが、仕事の面白さや働きがいにもつながる。DXの利点は生かしながら、「人」にしかできない接客を、これからの店づくりの軸に据えている。

「めんちゃんこを日本の新しい麺文化にしたい」と米濱社長。思いを共有できる事業者がいればFCも視野に入れる一方、自社のブランドだけにとどめる考えはない。ほかの店にも「めんちゃんこ」の名を使ってもらい、料理そのものを広めていきたいという。10年、20年先には、ラーメンやうどんのように、誰もが知る麺料理として定着させたいと考えている。

株式会社鬼が島本舗 代表取締役社長 米濱 裕次郎 氏
1972年長崎市生まれ。幼少期を東京で過ごし、ニューヨーク、カナダ・モントリオールでの生活を経験。1994年に株式会社鬼が島本舗へ入社。27歳で父から経営を引き継ぎ、物販中心だった事業から店舗経営へと軸足を移す。「めんちゃんこらしさ」を大切に、時代に合わせた店づくりを続ける。

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