多世代が集う店づくりで平均月商1,000万円超を達成
福岡の中心地・博多から電車で15分ほどの場所にある地下鉄藤崎駅近くに店を構える「博多めんちゃんこ亭 藤崎本店」。1979年11月の創業以来、鍋料理と麺を組み合わせた独自の「めんちゃんこ」を看板に、現在は福岡(福岡市内)・長崎で8店舗を展開する。子どもから年配者まで幅広く受け入れる「エイジレスな店」を掲げ、ファミリーやビジネス層、学生らが訪れる。男女比はほぼ同数で、客単価は昼1,200円、夜1,400円。平均月商は1,000万円を超え、2024年6月には最高月商1,500万円を記録した。
看板の「めんちゃんこ」は、だしの原料や麺、提供方法などを時代に応じて改良。居酒屋メニューやフェア商品も展開し、昼・夜・深夜の多様な利用に応える。DXを進める中で、改めて「人」による接客を重視。創業から半世紀近く。地域に根づきながら、変化を重ねて選ばれ続ける繁盛の理由を、代表取締役社長の米濱 裕次郎 氏に伺った。
博多めんちゃんこ亭 藤崎本店
業態:めんちゃんこ
座席:50席(テーブル、カウンター)
客単価:昼1,200円、夜1,400円
客層:ファミリー、ビジネス層、学生。男女比は5:5
アクセス:地下鉄藤崎駅 徒歩1分
営業時間:11:00~翌3:00
定休日 :無休
https://r.gnavi.co.jp/c44xc4rg0000/
https://menchanko.co.jp/fujisaki
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目次
名物「めんちゃんこ」が時代に合わせて進化
幅広い利用を生む多彩なメニューラインナップ
DXを進めつつ「人」ならではの温かな接客を重視
名物「めんちゃんこ」が時代に合わせて進化
「めんちゃんこ」とは、ちゃんこ鍋のスープで麺を煮込む、博多生まれの麺料理。創業者・米濱 昭英 氏が、親交のあった第53代横綱・琴桜の稽古場で食べたちゃんこの味に感動し、そのおいしさをもっと広めたいと考えたことから誕生した。
研究を重ね、ハモをはじめ10種類以上の素材からうま味を引き出しただしと、煮込んでもコシを失わず、スープがよく絡む特製麺を開発。特注の鉄鍋で熱々を供するスタイルを築いた。27歳で経営を引き継いだ現社長の米濱 裕次郎 氏も、その基本を大切にしながら、だしの原料や麺、提供方法を時代に応じて見直してきた。「僕がやりたいことではなく、めんちゃんこらしさが判断の軸」と米濱氏。味のバリエーションも増やし、2026年6月にオープンした西新店では、もちもちとした麺を生かした「パスタめんちゃんこ」や、こんにゃくとえのきを合わせた低カロリー麺も展開。変えるべきところには手を入れながら、めんちゃんこの可能性を広げている。
幅広い利用を生む多彩なメニューラインナップ
米濱社長のニューヨークでの経験を生かし、約25年前に居酒屋メニューを導入。当初は飲酒利用が伸びなかったが、当時480円だったハイボールを190円に値下げしたことを機に注文が急増。料理とともにアルコールを楽しむ利用が定着し、現在は餃子とビールなどを組み合わせた「ビールセット」(550円)や昼飲みメニューを用意している。
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餃子5個と生ビールを組み合わせた「ビールセット」(550円)。価格を見直し、この価格で復活。気軽な飲酒利用を促す -
一般的なシーザーサラダにひと工夫を加えた「焼きシーザーサラダ」(638円)。新メニューの多くは、米濱社長自らアイデアを出している
また、手土産としても人気を集めるのが、自家製プリン。2000年ごろに誕生した「しあわせの赤プリン」は、フランス・リヨンでパティシエをしていた米濱社長の妹が開発を担当。卵や牛乳、バニラビーンズなど素材を吟味し、現在も手づくりを続ける。こうしたメニューの幅に加え、藤崎本店は深夜3時まで営業。遅い時間帯には若者や同業者などの利用も多く、昼・夜・深夜で異なる客層を受け入れる。さらに、2〜3カ月ごとにテーマを変えるメニューフェアやイベントも実施。「昔よく行った懐かしい店」で終わらず、今も選ばれる店であり続けるための工夫を重ねている。
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DXを進めつつ「人」ならではの温かな接客を重視
コロナ禍での人手不足や衛生面への対応に迫られたことから、タブレットや自動精算機を導入し、DX化を進めた。効率化が進む一方、接客は次第にマニュアルに沿った「作業」になってしまい、来店客から「どれがおいしい?」と聞かれても、自分の言葉で答えられないスタッフが増えてしまったという。一方で、長年働くスタッフは、常連客の名前を覚え、親しみを込めた接客で喜ばれており、接客レベルに差が出るように。
この状況に危機感を覚えた米濱社長は、人材教育のあり方を見直した。「お客様に食事の時間を楽しんでもらうことが目的」(米濱氏)と、作業の手順を覚える「末学」に偏らず、何のために行うのかという根本を伝える「本学」を重視。スタッフ自身が考えて動く接客へと転換した。そうして主体性を持つことが、仕事の面白さや働きがいにもつながる。DXの利点は生かしながら、「人」にしかできない接客を、これからの店づくりの軸に据えている。
「めんちゃんこを日本の新しい麺文化にしたい」と米濱社長。思いを共有できる事業者がいればFCも視野に入れる一方、自社のブランドだけにとどめる考えはない。ほかの店にも「めんちゃんこ」の名を使ってもらい、料理そのものを広めていきたいという。10年、20年先には、ラーメンやうどんのように、誰もが知る麺料理として定着させたいと考えている。
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