おふくろの味から生まれたコラーゲンたっぷりの餃子鍋
【大阪・北新地】餃子鍋 A-chan(あーちゃん)北新地
スープや薬味が多種類。飽きさせない味を提案
オーナーの髙井昌昭氏にとって、おふくろの味といえば餃子鍋。満州での生活を経験した祖母が現地の味を覚えて帰国。それが母に伝わった。さらに、髙井氏がその味を受け継ぎ、2010年に「餃子鍋A -chan(あーちゃん)北新地」をオープンさせた。
しかし、商品として提供するためには、髙井氏が子供の頃から食べていた餃子鍋は、様々な改良が必要だった。まず餃子については、普通の焼き餃子の皮を使ったのでは、スープの中で崩れて餡が出てしまう。そこで、製麺所に頼んで何度も試作を重ね、崩れない強い皮を開発。同時にもちもちの食感も実現した。餡は沖縄のうかじ豚と国内産の牛肉を配合。ニンニクを入れずさっぱりとした味にした。
一方、スープは韓国料理の「ソルロンタン」にヒントを得た。現地の飲食店を何度も訪問し、牛骨スープの味を覚え、再現。そこに独自のアレンジを加えて完成させたスープは、コラーゲンもたっぷりだ。提供するときは、冷蔵庫で冷やして固めたままテーブルに。プルプルに固まったスープを卓上で温めて溶かし、餃子を投入する。見た目のインパクトもあり、ターゲットの女性客に十分にアピールできている。
野菜の切り方も工夫した。ニンジン、ダイコンはピーラーで引き、キャベツ、白菜も細切りに。細かくすることで、しゃぶしゃぶ感覚で食べてもらいつつ、長時間煮込んでも、鍋の中で餃子と混ざり過ぎないようにした。
さらに現在は、スープも白、赤、トマト、カレーの4種類を用意。2種類を選んで、ハーフ&ハーフでのオーダーも可能だ。また、髙井氏は「薬味は8種類用意しました。いろいろな味を試せるようにして、飽きられないようにと考えました」と語る。鍋のシメも、オーソドックスな雑炊やラーメンのほか、パスタやリゾットなど6種類と、何通りもの組み合わせが楽しめ、餃子鍋の多様性をアピールしている。薬味の種類とスープとのブレンド例、スープの効能なども、テーブル上に置いたシートで詳細に紹介している。
そんな様々な努力の結果、徐々に店の認知度がアップ。餃子鍋という珍しさもあり、売上は右肩上がりで、オープン年の忘年会シーズンには、予約の取れない店になった。「忘年会では飲み放題を付けた4000円、4500円、5000円の通常の3つの餃子鍋コースを基本にしています。餃子も野菜も追加オーダーでき、鶏肉、豚バラといったトッピングも可能です」。
また、デザートにはオリジナルの「あん餃子」を開発。餃子の皮にあんこを入れて焼き、冷たいアイスと一緒に提供する。女性を中心に人気となり、コースの予約が増えたという。
ランチ営業も開店当初から行っている。こちらは1人前の餃子鍋などを提供。そのほか、鶏唐揚げの定食なども打ち出し、近隣のビジネスマンの利用が8割を占める。
ぐるなびでは、スープの効果やタレの種類などを詳しく掲載。「店のこだわりを知ってもらいたい」という髙井氏の意図が伝わり、客単価の高いビジネス層の予約が取れている。平日は20~40代のビジネス層が多く、6割を女性が占める。また、週末はファミリーも取り込み、自信をつけた髙井氏。「今年の忘年会で、さらにファンを増やして底上げを狙い、集客が厳しくなる夏場につなげたい」と意気込んでいる。