名物「茹でタン」とライブ感ある空間がSNSで拡散され、坪月商57万円の人気店に!~「酒場 つむぎ堂 新宿店」(東京・新宿)~

個性的な飲食店が点在する東京・西新宿のオフィス街で、平日週末を問わずにぎわう予約必須の繁盛店「酒場 つむぎ堂 新宿店」。「茹でタン」などの3大名物がSNSで拡散され、坪月商57万円をたたき出している。

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目次
「ワンランク上の大衆酒場」をコンセプトに月商1,500万円!
【POINT1】原価率50%超えの3大名物が集客のフックに
【POINT2】ライブ感のある空間と居心地の良い接客
【POINT3】インフルエンサーの来店で情報が拡散

「ワンランク上の大衆酒場」をコンセプトに、SNSでも情報が拡散されて月商1,500万円を達成!

酒場 つむぎ堂 新宿店(東京・西新宿)
東京都新宿区西新宿7-18-18 新宿税理士ビル別館1F
https://r.gnavi.co.jp/sd875xmp0000/
2022年3月、東京・西新宿のオフィスエリアのビル1階にオープンした居酒屋。26坪60席で、20代後半~30代を中心に集客。オープン1年足らずで平日・週末とも予約で埋まる人気店に成長している。

 東京・JR新宿駅から徒歩5分のビル1階に2022年3月オープンした「酒場 つむぎ堂 新宿店」。「茹でタン」などの三大名物とライブ感のある空間、SNSでの情報拡散などによって坪月商57万円を売り上げる繁盛店になっている。

 経営母体は、埼玉や千葉などに居酒屋を展開する株式会社LINK STYLE。4店舗目にして初めて都内に出店するにあたり、選んだ場所はいわゆる繁華街ではなく、オフィス街の西新宿だった。「西新宿はJR新宿駅から徒歩圏内なので集客力のポテンシャルが高く、繁華街より家賃が安いです。ここ数年で特徴的な個店が増えて話題になっているエリアでもあるので、勝算があると考えました」と、代表取締役社長 CEOの馬淵和也氏は語る。

メインフロアのカウンターとテーブル席。オープンキッチンで調理の様子が見られる

 業態のコンセプトは「ワンランク上の大衆酒場」。エントランスの前に屋根付きのテラス席があり、店内に入るとオープンキッチンとカウンター席、テーブル席を備えるメインフロア、さらにその奥には離れのような別フロアがあり、テーブル席と個室を設けている。

  • メインフロアを進むと、離れのような別フロア(写真)があり、テーブル席と、2人から16人まで対応可能な完全個室がある
  • エントランス前に屋根付きのテラス席を用意。冬場は防寒のため周囲をビニールで囲い、春以降はオープンエアにして店のにぎわいが外に伝わるようにしている

 客層は20代後半~30代が中心で、女性が7割。平日は仕事帰りのビジネス層、土・日曜日はデートや女子会、プライベートな集まりなど、多彩なシーンで利用されている。

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【POINT1】原価率50%超えの3大名物が集客のフックに

3大名物の「超ホロホロの茹でタン」(605円)、「国産鶏の肉汁焼き」(1,408円)、「呑める餃子」(957円~)が来店の目的になっている

 同店が安定して集客できている要因の1つが「来店の目的になる名物料理」だ。オープン当初から3大名物として、「超ホロホロの茹でタン」(605円)、「国産鶏の肉汁焼き」(1,408円)、「呑める餃子」(12個957円、16個1,188円)をアピール。これがSNSなどで拡散されて、店の広告塔となっているのだ。

人気ナンバーワンの「超ホロホロの茹でタン」。分厚い牛タンを2日以上煮込んでホロホロにした逸品で、オーダー率は80%を誇る

 「超ホロホロの茹でタン」は、分厚い牛タンを2日以上かけてじっくり煮込んで軟らかくした逸品。口の中でほどける食感と、ワサビのアクセントが好評で、ほとんどの来店客がオーダーするという。

国産鶏をスパイスに漬け込んで焼き上げた「国産鶏の肉汁焼き」。食べ終わった後、残った肉汁に「銀シャリおむすび」(180円)をつけて食べる「肉汁焼きの向こう側」もシメメニューとして好評
アルコールに合う味付けを意識して開発した「呑める餃子」。一口サイズに包むことで、おつまみとして提案している

 「国産鶏の肉汁焼き」「呑める餃子」もオーダー率は50~70%と人気が高い。「国産鶏の肉汁焼き」は素材にこだわるとともに、銘柄米のおむすびを肉汁につけて食べる「肉汁焼きの向こう側」も好評。「呑める餃子」はアルコールが進むようにサイズや味付けを工夫した自信作だ。

 これらのうち、「国産鶏の肉汁焼き」は原価率が40%と高く、さらに「茹でタン」は50%以上で仕入れの時期によっては100%近くなることもある。それでも「つかみの商品としてしっかり原価をかけ、期待に応えることが大事だと考えています」と、馬淵氏は語る。

その他のフードメニューは、「とりあえず」「逸品」「お食事」など6つのカテゴリーを設定。それぞれのカテゴリーから1~2品オーダーすると、4,000円前後で満足度の高い食事が楽しめるように設計されている
「自家製 コンビーフのポテトサラダ」(550円)。定番の居酒屋メニューであるポテトサラダにひと手間加え、自家製のコンビーフを使い、立体感のある盛り付けで付加価値を感じてもらえるようにしている

 その他のフードメニューは、選びやすいように「とりあえず」「サラダ」「逸品」「あげもの」「お食事」「デザート」の6つのジャンルで構成。各ジャンルから1~2品ずつオーダーしてもらうことで、前菜からデザートまで、コース料理を食べたような満足感が得られるように工夫している。

 また、「自家製 コンビーフのポテトサラダ」のように、居酒屋の定番メニューをアレンジし、ここでしか味わえない価値を生み出して満足度につなげている。ただ、トレンドの“映える料理”はほとんどなく、どの料理も手作りのおいしさにこだわっているのがポイントだ。

ドリンクの一番人気「生搾り瀬戸田レモンサワー」(480円、右)と、独特なトッピングが人気の「綱島サワー~大葉のピクルス漬けサワー~」(580円、左)

 ドリンクではトレンドのレモンサワーを主軸に、ビール、ワイン、日本酒、ノンアルコール、ソフトドリンクなどをそろえ、幅広いニーズに対応。「ホッピーは、アルコールの濃さを自分で調整できるので、自分に合った飲み方を好む若い人たちから人気が高いです」と馬渕氏は語る。

 こうしたメニュー設計により、平均客単価は4,000~4,200円。ドリンクは1人あたり平均で3杯くらいのオーダーがあるという。

【POINT2】ライブ感のある空間と居心地の良い接客

ライブ感のあるオープンキッチン。ライトアップすることで店の外からも厨房の活気が感じられるようにしている

 一方、“ライブ感”を重視した空間づくりも集客に一役買っている。「オープンキッチンをステージに見立てて、ショーアップしようと考えました」と馬淵氏。店の外からもオープンキッチンが見えるようにライトアップ。店のにぎわいを道行く人々に伝えることで、店の認知度アップや入店のきっかけづくりに成功している。

 加えて、キッチン越しのスタッフとのコミュニケーションもファンを生んでいるポイント。大衆酒場らしい元気のよさや親しみやすさをベースにしながら、ほどよい距離感や節度を守った接客で「また行きたくなる店」を追求している。

【POINT3】インフルエンサーの来店により、SNSで情報が拡散

オープン後にインフルエンサーが来店したこともあり、Instagramのフォロワーが急増。開店1年でフォロワーは1.4万人にまで増えている

 考え抜かれたメニューと空間の設計により、オープン初月から1,000万円以上を売り上げるなど、スタートダッシュに成功した「つむぎ堂」。その勢いを落とさずに、さらに加速させたきっかけが「インフルエンサーの来店」だった。

 「もともとフリーのお客様ではなく、目的を持って来店してくださる方で席を埋めたいと考え、ネット販促に力を入れていました」と馬淵氏。オープンに合わせて、ぐるなびなど複数の飲食店検索サイトに掲載するほか、Instagramも開設した。

 そんな中、オープンから数カ月後に、インフルエンサーが来店し、店内空間や「茹でタン」の写真をInstagramに投稿したことで一気に情報が拡散され、集客アップにつながったという。「『茹でタン』は、インスタ映えするような料理ではありません。純粋に『食べたことがないから食べてみたい』とか『初めて食べたけどおいしかった』『また食べに行きたい』という情報がSNSで拡散され、来店につながっているのだと思います」と馬淵氏は分析する。以来、フォロワーは増え続け、インスタグラムは1.4万人に達するなど絶好調。開店から1年足らずで、月商1,500万円を超える人気店に成長した。

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 目下の課題は、クオリティーの維持・向上。「売上はまだ伸ばせるはずですが、そのために顧客満足度を下げてしまったら元も子もありません」(馬淵氏)と、冷静に分析し、次の一手を練っている。

 4月初旬には同じ西新宿エリアに想定客単価6,000円の小料理店をオープン。「将来的には20店舗・売上20億円を目指します」と馬淵氏。情報拡散の早い都心エリアで、駅からやや離れた立地に狙いを定め、家賃比率を下げて食材と人件費に充てる戦略を継続し、店舗を一つ一つ丁寧に作り上げていきたいと考えている。

株式会社LINK STYLE 代表取締役社長 CEO 馬淵 和也 氏
大学時代、居酒屋のアルバイトで飲食業の店づくりを学び、2017年、23歳で地元・埼玉県川越市に1号店をオープン。コロナ禍でも出店を続け、現在4店舗を展開中。

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