2023/12/13 特別企画

多才な飲食店経営者・河村渚さんのびっくりな世界観

東京・神楽坂を拠点に全くコンセプトの異なるバーを4店舗を運営する株式会社むすびエンタテインメントの代表取締役、河村渚さん。飲食業だけでなく、不動産会社や工務店会社も経営するなどマルチな才能を発揮している彼女のユニークな業態開発と戦略に迫る。

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飲食とスケートが融合⁉ユニークすぎるコンセプトバーを出店!

神楽坂にやり手の女性経営者がいると噂を聞きつけ伺った先は「おむすびJazz/Snack 神楽坂」というお店。おむすび屋さんなのかなと思いつつ扉を開けるとそこは全く次元の違うお店が広がっていた。

今回お話を伺ったのは、株式会社むすびエンタテインメントの代表取締役、河村渚さん。現在、飲食店4店舗と不動産会社、工務店会社を経営しており、さらに現在は弁護士になるために司法試験予備試験の勉強をしているというユニークな経営者。そんな河村さんが運営する飲食店4店舗は、どれも特徴のあるお店なので、まずは店舗紹介からしていきたい。

まず、1店舗目は「おむすびJazz/Snack 神楽坂」というお店。ジャズというと、シックな雰囲気で音楽を楽しむ敷居の高いイメージがあるが、この店はわりとカジュアルな雰囲気だ。その雰囲気を作り出している大きな要素は、オネェの店長の存在ではないだろうか。トークも気配りも抜群な店長がお客様をもてなし、会場を盛り上げる。一方で、店長自身もプロのジャズシンガーであることから音楽へのこだわりが強く、おのずとステージに立つ音楽家(ミュージシャン)のレベルも高い。

「おむすびJazz/Snack 神楽坂」。カジュアルな雰囲気でジャズを楽しむことができる

音楽家に支払う報酬は、音楽家が集客した人数に基づき支払う「チャージバック制」ではなく、固定料金を支払っている。“プロの音楽家”と認めているからこそ、その対価をきちんと支払いたいという河村さんの想いからだ。

2店舗目は、下北沢にある「おむすびシアターBAR シモキタ」だ。店長は演出家。演者2名の朗読劇をピアノやギターなどの生演奏に合わせて楽しむことができる。「おむすびJazz/Snack 神楽坂」では、出演ミュージシャンは当日リハーサル無しで演奏をすることが多い点に対して、「おむすびシアターBAR シモキタ」では台本を演者に渡し事前稽古を1日行った上で当日を迎えるスタイルだ。演奏者には稽古の録音データを渡し、それを聴いてもらった上で当日の演劇に合わせたバックミュージックを担当してもらう。お客様のメインは、それぞれの演者のファンだ。「おむすびJazz/Snack 神楽坂」は、基本的にお店の常連とミュージシャンのファン、半々くらいの集客が多いが「おむすびシアターBAR シモキタ」は演者が自身のファンを集客することが多い。それぞれのファン同士の交流という楽しみや、演者にとっては新たなお客様と出会えるという強みがある。

演者2名の朗読劇をピアノやギターなどの生演奏に合わせて楽しめる「おむすびシアターBAR シモキタ」

オネェジャズシンガーが店長のジャズバー、朗読劇を行うBARというユニークな業態に続き、3店舗目のコンセプトはフィギュアスケートだ。店名は「Figure Skating Bar おむすびアクセル」と、フィギュアスケートの技名を掛け合わせた店名を付けている。店長は、フィギュアスケート業界で名の知れた鎌田英嗣さん。スケートを引退した後、好きな飲食業界で仕事を始めたものの、今後もスケートに何かしらの形で関り続けたいという思いを持っていた。そんな時に、河村さんとの出会いがあり“飲食×スケート”の経験が活かせるような新たな業態のお店をやってみないかと、河村さんがスカウトする形でオープンするに至った。ワインやシャンパンなどのボトルメニューの注文が入ると、店内で地上二回転ジャンプを行うという斬新な仕掛けはお客様に好評だ。

「Figure Skating Bar おむすびアクセル」。元スケーターの鎌田英嗣さんと河村さんの出会いから誕生したユニークなコンセプトの業態

さて、最後の4店舗目は吉祥寺にある「おむすび書道BAR キチジョウジ」だ。このお店は自身が著名な書道家であり、また「書道のはなみち」という書道家プロダクションを主催している高宮華子氏とむすびエンタテインメントがタッグを組んで運営する、日本初?いや、世界初かもしれない、書道BARという業態として2024年10月より営業をスタートしたそうだ。さまざまな書道家が一日店長を務める運営スタイルのため、お客様は普段なかなか接する機会のない書道家と交流できるお店だ。書道の素晴らしさを広めたい、書道を身近に感じていただきたい、書道家の活躍の場を増やしたいという想いのもと、2023年10月よりプレオープン、同年11月1日にグランドオープンした。

書道家の高宮華子氏の協力のもと店舗を運営している「おむすび書道BAR キチジョウジ」

このように4店舗、まったく異なるコンセプトBarだが、共通しているのは人ありきで出店しているということ。過去にはバスケットボールチームとのご縁があり、バスケットボールBarを出店したこともあるが、人ありきの商売の為、さまざまな事情により、残念ながらチームとのご縁がなくなり閉店をした、という経験もあった。

通常、閉店や移転、新規開店というのは、会社の資金に大きな影響を与えるものであるが、同社では自社で不動産業と内装業を営んでいるため、低投資で出店することができている。物件を決める際は、万が一閉店することになっても確実に居抜き物件として売却できると見込める立地と家賃の物件を選んでいるため、閉店する際のデメリットがほとんどない。これらのことからBar業態という、ある意味経営が難しい業態にも関わらず、常連客をしっかりと抱え、年間およそ1億円近くを売り上げている。

ジャズ、朗読、フィギュアスケート、書道と、マネタイズが難しいと思われるようなものも、飲食という空間を通してビジネスに変えていくのが得意な河村さん。今後はどんなエンタテインメントを繰り出してくれるのか目が離せない。

「おむすびJazz/Snack 神楽坂」Outtake(こぼれ話)

コード譜を見たことはあるだろうか? 一般的には音符が書かれているのは五線譜と言われるもので、コード譜は「C」「GonB」というようにアルファベットで書かれた譜面だ。

「おむすびJazz/Snack 神楽坂」では、音楽家とはコード譜1枚でやりとりを行う。ステージに立つのはボーカル、ピアノ、サックス奏者などの音楽家で、みな演奏前に初めて楽譜を見てアドリブでライブを行うという。クラシックでは五線譜が使われるため、クラシックからジャズに転向する人は、まずこのコード譜に慣れるのに苦戦するようだ。それくらい、クラシックとジャズではジャンルが違う。

「おむすびJazz/Snack 神楽坂」に立つ音楽家は、店長と河村さんがディスカッションし、手配・調整を行いつつ、最終的には全て河村さんが決定する。音楽家の選定は店の集客の要のひとつ。音楽の技術があることはもちろん、プロとしての立ち振る舞い、ルックスなど総合的なバランスを見て決めているという。

「これは私たちの自己満足かもしれませんが、私も店長も音楽家のため音楽では妥協したくないと思っているんです。せっかく好きなことをやらせてもらっているのだから、そこは守っていきたい。もちろん私たちが音楽家を選ぶ権利があるように、音楽家にもお店を選ぶ権利があります。ですから選ばれる店でならないといけないんです。どなたにお声がけをするかを決めて、ステージに立てる方のスケジュールをまずは頂き組み立てるのは大変な作業ですが、でもそれが楽しくもあるんです」(河村さん)。

河村さんが思う最高のステージとは何かと伺うと、「いつ来ても、絶対的に楽しく、感動を与えられるようなステージをしていること。お客様にそのように感じてもらうことができれば、お客様は必然と増えていきますし、そうすれば演者さんにとっても新しい出会いに繋がり、お互いにより発展していけるのではと思っています」と語る河村さんの優しく微笑む笑顔が印象的だった。

取材協力:株式会社むすびエンタテインメント 代表取締役 河村 渚さん
東京都新宿区神楽坂3-2-40

おむすびJazz/Snack 神楽坂
東京都新宿区神楽坂3丁目2−40 神楽坂 Co&Coビル 3階
https://www.facebook.com/omusubijazzsnack/

おむすびシアターBAR シモキタ
東京都世田谷区北沢2丁目6−6 澤田ビル B101
https://www.facebook.com/profile.php?id=100076410306311

Figure Skating Bar おむすびアクセル
東京都新宿区四谷4丁目9 新宿44FANTASYタワ 4階
https://www.instagram.com/omusubi_axl/

おむすび書道BAR キチジョウジ
東京都武蔵野市吉祥寺南町1丁目9−9 2階E じぞうビル
https://www.instagram.com/omusubisnack/

※株式会社テンポスホールディングス刊「スマイラー」94号より転載

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