ブルームダイニングサービスが新体制で挑む「がブリチキン。」の原点回帰と組織改革

からあげ専門居酒屋「がブリチキン。」を展開する株式会社ブルームダイニングサービスが、株式会社スリーエム傘下で新体制を開始。2026年4月に就任した代表取締役社長の中塚 和宏 氏が推し進める“原点回帰”の店舗改革とは? 創業時の「遊び心」を取り戻す施策や、深夜営業の短縮とランチ強化による収益改善、そして居抜き物件活用によるFC店舗の再拡大など、組織と店舗を立て直し次の成長ステージへ導く経営戦略に迫る。

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新体制のキーワードは現場目線の“原点回帰”

2026年3月、からあげ専門居酒屋「がブリチキン。」などを展開する株式会社ブルームダイニングサービスは、眼鏡やチケット販売、飲食など多角的な事業を手がける株式会社スリーエム(大阪市)の傘下に。同年4月、代表取締役社長に中塚 和宏 氏が就任し、新たな経営体制をスタートさせた。

中塚氏は大学卒業後、関西の大手飲食企業で27年間、店舗運営から営業部門の統括まで幅広く経験。その後は介護施設運営会社で経営企画・業務改善に携わり、2024年からはスリーエムのフード事業部長として飲食事業の拡大を担ってきた。現在は“原点回帰”を掲げ、数々の取り組みを推進中。これまでの歩みや新体制での改革、そして次代を見据えた事業戦略などをうかがった。

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目次
若くして大規模店舗を任され、現場で経営を学ぶ
異業種を経験し、再び飲食の世界へ
「創業時に戻す」を軸に、店舗と組織の原点回帰を推進
再びFC店舗の拡大を図り、次の成長ステージへ
「リーダー×一問一答」&「COMPANY DATA」

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若くして大規模店舗を任され、現場で経営を学ぶ

中塚 和宏(なかつか かずひろ)氏/1971年12月生まれ、兵庫県川西市出身。大学卒業後、関西の大手飲食企業に入社。店長・支配人を経て、営業部長、執行役員、取締役などを歴任。最大で24店舗・年商100億円規模の事業運営に携わる。営業以外にも外販部、衛生監査室などを経験し、27年間勤務した会社を50歳で退職。2021年に介護施設運営会社へ転職し、経営企画・業務改善を担当。2024年5月、株式会社スリーエムに入社し、フード事業部長として飲食事業の拡大を推進。2026年4月1日、株式会社ブルームダイニングサービス代表取締役社長に就任した

――飲食業界で働くことになった経緯を教えてください。

大学卒業後、最初に入社したのが関西の大手飲食企業でした。その会社では入社2年目で約60人のスタッフが働く、年商4億円規模の店舗の店長を任されました。ただ、「自分にはまだ2番手の経験が足りていない」と感じ、次は副支配人として京都の店舗へ異動させてもらったのです。ところが半年ほどで支配人を任されることになり、24歳で年商7億円、約200人が働く店舗を預かることになりました。

30歳頃には営業部長となり、その後は最大24店舗、年商100億円規模の事業運営に携わりました。若いうちから大きな店舗や組織を任せてもらったことが、経営者としての土台になったと思います。また、古い屋敷を活用した新たな店舗の立ち上げにも長く携わりました。歴史ある建物を残しながら飲食店として収益を生み出す仕事で、郊外の難しい立地も多かったのですが、地域の文化を守りながら店を成り立たせるおもしろさがありました。その後は外販部門や衛生監査なども経験し、さまざまな角度から飲食事業を見ることができたのが、その後の大きな財産になったと感じています。

異業種を経験し、再び飲食の世界へ

――社長就任までの経緯と、会社への第一印象は?

50歳で27年間勤めた会社を退職し、2021年に介護施設運営会社へ転職しました。給食事業の内製化や数値管理体制の構築などに取り組み、各部署の数字を見える化し、経営判断につなげる仕組み作りにも携わったことで、飲食店の現場だけでは得られなかった経営全体を見る視点が身に付いたと思います。ただ、介護業界に深く関わる中で、改めて「自分は飲食の仕事が好きだ」と感じるようになったのです。そこで2024年、飲食事業の強化を進めていたスリーエムに入社しました。

当時5店舗だったフード事業で、事業譲受や新規出店を進め、2026年春には11店舗まで拡大しました。新しい業態をイチから立ち上げるだけでなく、長年地域で愛されてきた店舗を引き継ぎ、その魅力を活かしながら次につなげる経験も重ねました。

そんな中で持ち上がったのが、ブルームダイニングサービスのM&Aです。30店舗規模の会社を自前でゼロベースから作るには長い時間がかかる。すでにブランドや人材、店舗という資産を持つ会社と一緒になれるなら、大きなチャンスだと考えました。スリーエムには大規模な飲食事業を見られる人材がほかにいなかったこともあり、「それなら自分がやります」と手を挙げました。

「がブリチキン。」を詳しく知ったのはその時からです。実際に店へ行くと、少ない人数でもスタッフが笑顔で懸命に働いていた。優秀な人材と確かなブランド力に大きな可能性を感じました。その一方で、コロナ禍があったこともありフードコートへの積極出店などを経て、創業時の“遊び心”が薄れているのが課題だとも思いました。

主力ブランド「がブリチキン。」は、活気のあるアルコール業態として原点回帰を図っていく

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「創業時に戻す」を軸に、店舗と組織の原点回帰を推進

――就任後、どんな改革に取り組んでいますか?

最初に決めたのは「創業時に戻す」ということです。創業当時からのメンバーが今も多く残っていたので、経営理念や大切にしてきた考え方は変えず、「がブリチキン。」らしい楽しさを、もう一度前面に出そうと。例えば、メニューや店作りを、きれいに整えすぎるのではなく、キャラクターの「がブ吉」などを活用し、思わず笑ってしまうような遊び心が伝わる形へ見直しています。

同時に、就任後は全店舗を繰り返し回り、売上だけでなく、スタッフの表情や料理の仕上がりも確認しています。収益面では、時間帯別の売上を見直し、需要の少ない店舗では深夜営業を23時までに短縮。対象店舗全体で約300時間分の労働時間削減につながりました。その分、これまで弱かったランチを強化し、からあげ定食や親子丼など、フードコートで培った商品を酒場業態にも展開しています。

近年のフードコート事業で力を入れた「からあげ定食」(写真)を、今後の「がブリチキン。」のランチ営業の主力商品として考えている

人材面では外国人スタッフの育成など課題もありますが、以前在籍していたメンバーが戻ってきてくれるなどうれしい流れも生まれています。原点に戻ることで、昔からこのブランドを愛している人たちがもう一度前向きになれる。そこには大きな手応えを感じています。まずは既存店の収益構造と組織を整え、無理な直営出店を急がないことも重要だと考えています。また、店舗拡大を見据えた人材教育の強化もこれからの重点課題の1つです。

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再びFC店舗の拡大を図り、次の成長ステージへ

――今後、どのような会社を目指していきますか?

直近では、既存店の収益を立て直しながら、FCを再び成長軌道に乗せるのが大きなテーマです。コロナ禍などの影響で縮小したFC店舗を再び増やし、全体として60店舗規模に戻したいと考えています。従来は認めていなかった居抜き物件での出店なども活用し、加盟店が出店しやすい仕組みに変える方針です。

特に可能性を感じているのが大阪です。現在、大阪府内にある店舗が好調で、まだ認知度を伸ばせる余地が大きい。親会社のスリーエムの基盤も活かしながら、出店を増やしたいですね。その第一歩として、親会社のスリーエムにFCオーナーになってもらい、新しい立ち飲み業態を展開していく計画です。また、「がブリチキン。」だけでなく、「鮮魚炉端 花ちゃ花ちゃ」「小田井ホルモン」といった、ほかのブランドも業態として磨き込み、将来的にFC展開できる仕組みを作っていきます。

「花ちゃ花ちゃ」(写真左)と「小田井ホルモン」(同右)といったブランドの強化も図る予定

私自身は、ゼロから何かを生み出すより、すでにある人やブランドの良さを見つけ、適材適所でその力を最大限に伸ばすのが得意だと思っています。経営ではスピードも大切です。考え続けて動けなくなるより、まずやってみて、違えばすぐに修正すればいい。

今後2年ほどで経営基盤を整えたら、いずれは創業時から会社を支えてきたメンバーにバトンを渡したいと考えています。執行役員や本部長クラスはまだ40代前半で、これからまだまだ力を発揮できる人たちばかり。こうした人たちが自分たちの手で会社を動かし、次の出店や成長を加速させていくための土台を整えていく。それが今の私の役割だと考えています。

リーダー×一問一答

■経営者として大切にしている事
従業員を物心ともに幸せにすること

■愛読の雑誌やWebサイト
最近は、読むより耳で聞くことが多く、「PODCAST」「YouTube」で情報をもらっています。

■日課、習慣
店舗巡回、朝の腕立て・腹筋・背筋各100回、休みの日にドラマとYouTube視聴

■座右の銘
正範語録
「実力の差は努力の差、実績の差は責任感の差、
人格の差は苦労の差、判断力の差は情報の差、
真剣だと知恵が出る、中途半端だと愚痴が出る、いい加減だと言い訳ばかり、
本気でするから大抵のことはできる、本気でするから何でも面白い、
本気でしているから誰かが助けてくれる」

■尊敬している人
株式会社スリーエム 橋本 武比古(たけひこ)会長

■最近、注目している店舗名、もしくは業態
立ち呑み「大黒」で、接客がすごく良いので学びたいと思っております

■COMPANY DATA
株式会社ブルームダイニング
愛知県名古屋市中村区名駅3丁目12−10 GS名駅ビル 5階
https://www.bloom-ds.com/company/
設立:2006年
ブランド数・店舗数:
直営31店舗(酒場業態・22店舗、定食業態・9店舗)
FC22店舗(酒場業態・14店舗、定食業態・2店舗、テイクアウト専門店・3店舗、海外・3店舗)
※コラボ店舗除く、2026年7月末時点
従業員数:450人※パート、アルバイト含む、2026年3月現在

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