2012/01/24 特集

目からウロコの飲食店経営 これって常識?非常識?(3ページ目)

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飲食店経営20の疑問 11~15

11 ランチ営業は儲からない?

手間もコストも意外にかかるランチ。始める前に緻密な数値管理が必要

手軽にキャッシュが入ってくると思われがちなランチ営業ですが、きちんと計算してみると意外にコストがかかるもの。「夜に使い切れなかった食材を有効活用する」という目的で始めるお店も多いようですが、やはりランチ用の仕入れも出てくるし、労働時間が長くなれば人件費もかさみます。しかも、昼12~13時をコアタイムと見れば、せいぜい2回転が限度。店舗面積が狭く、一度に多くの人をさばけない店では儲けを出すのは難しい。私が見てきたケースでも、実は昼の営業が全体の原価率を圧迫しているお店も少なくありません。であれば、仕込みに十分時間をかけて夜の営業だけで成り立つお店を作る方が賢明。「昼は夜の宣伝」といっても、本末転倒は避けるべきです。もちろん、ランチの粗利がその運営コストをはるかに上回っていれば問題ありません。

12 アルコール類の注文が減ると客単価は下がる?

飲む人が減っているのは時代の流れ。お客様の満足度を上げることが重要

ライフスタイルや価値観の変化によって、特に若者のなかでお酒を飲む人が減っているのは事実。また、飲食店の数が増えたことにより、お客様が少々のサービスや味では満足しなくなったという側面もあります。ただし、そんな状況下でも売上を伸ばしている店は、たくさん存在しています。共通するポイントは、お客様との接触回数を増やしていること。例えば、ある焼肉店では肉の説明をしっかりすることで注文数を増やし、業界平均をはるかに上回る客単価を上げています。重要なのはやはりお客様の満足度。それを高められれば、酒類に頼らなくても客単価を上げられる事実を忘れてはいけません。

13 割引クーポンは客の質を低下させる?

割引クーポンで集められる客層は、結果重視型であることを認識すべき

一口にクーポンと言っても、様々な種類があります。大規模なチェーン店などの場合、見込み客を確保するツールとして、どうしても「割引クーポン」に頼らざるを得ないケースもあるでしょう。ただし、店舗の数がさほど多くない場合、割引の濫用は、お店のブランドイメージ低下にも繋がりがちです。人の意思決定には(1)人間関係重視型、(2)結果重視型、(3)直観型があります。割引に惹かれて来店するお客様は典型的な(2)タイプ。モノやサービスよりも予算を気にする客層なので、次回も同じ割引価格でないと来てくれないことも、十分認識すべきです。

14 居抜き物件はお得?

お店のコンセプト自体に関わる問題。安さだけで気軽に飛びつくのは禁物

入居時に内装、設備、備品などをそのまま引き継げる居抜き物件。最大のメリットは、出店時のコストを最小限に抑えられることです。コンセプトが明確で、空間的要素にさほど左右されない(お客様が内容や雰囲気に価値を見出さない)業態では、居抜き物件は有力な選択肢になり得ます。安さと効率を追求したロードサイド型の店舗など、その典型と言えるかもしれません。言い換えれば、そこまで強いビジネスモデルがないと、デメリットの方が大きくなることも。居抜き物件は、立地が悪かったり、撤退店のイメージが強いことも事実。安さだけで無条件で飛びつくことは、おすすめできません。

15 接客サービス向上にはマニュアルが必須?

サービスの基本水準を保つには有効。その先を目指すなら別の発想が必要

サービスには、(1)お客様に不満を感じさせない状態、(2)そこから一歩進んだコミュニケーション、(3)感動、という3つのステージが存在します。(1)のレベルをクリアするためには、スタッフに対する基本的なしつけと訓練が不可欠。そのためにはやはり、マニュアルがあった方が効率的です。ただし、その先の関係作りや感動を与えるサービスを目指したいのなら、マニュアルだけでは不十分。訓練に加え、より上のレベルを目指す意識付け=教育の要素が必要になってきます。サービスで感動を生み出すためには、場当たり的な考え方ではなく、1人のお客様と長く付き合っていく姿勢が大切。その心構えを十分理解してもらった上で、「接客台本」を用意し、ロールプレイングでサービスを磨く必要があります。そんな臨機応変のトレーニングは、マニュアルだけでは対応できません。

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