2017/12/19 特集

人気店の経営者へ10の質問 2018年、そしてその先へ 前編(2ページ目)

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「2021年までに全店繁盛店」を確実に達成したい

株式会社 ロット山﨑将志氏COMPANY PROFILE2001年、有限会社ロットを設立。2002年、埼玉・戸田公園駅に1号店「Cafe&DiningSUN」をオープン。2006年、株式会社に組織変更。その後、戸田市を中心に多彩な業態の店舗をドミナント展開。2016年には30店舗を達成。2017年、創業者の田子英城氏に代わり、山崎将志氏が社長に就任。MASASHI YAMAZAKI PROFILE1982年、愛知・名古屋生まれ。大学在学中に株式会社ロットの経営店舗でアルバイトとして勤務。卒業後、2006年に入社。入社1年経たずに店長に就任し、繁盛店に導くなどの実績を残す。その後、複数の新店立ち上げなどに携わり、2017年1月、社長に就任。

2017年を振り返って

中期経営計画で掲げた「2016年までに30店舗達成」を実現し、次の目標は「2021年までに全店を繁盛店にする」ことです。新たな目標に向かう1年の年頭に社長となり、“種まきの年”と位置付けました。ただ、振り返ってみると、反省の年でもあったと思います。

私は、会社が急成長する過程で店長として働いてきました。そのなかで、みんなで会社を成長させようという気構えが薄れているのではないかと感じていました。また、現場の疲弊や、店舗ごとのレベルの違いが目につくこともありました。いろいろ改革のアイデアはあったものの、いざ社長になってみると現実は簡単ではなかった。自分の店を見ていればよかった店長と、会社の舵取りをする経営者とでは、当たり前ですが、やるべき仕事の中身も質もまったく違います。全員を同じ方向に向け、引っ張っていくのは大変だとあらためて感じました。

数字的に好調な店もあれば、そうではない店もあります。まず現状を知るため店舗を回り、スタッフの状況や様々な課題を把握し、店長の能力を見直しました。本格的な改善はこれからですが、徐々に私の考えや方向性が浸透し始め、やるべきことが明確になり、ある程度の種まきはできたかなと思っています。一方で、どのように全店を繁盛店にしていくのか、具体的なビジョンを示せなかったことと、全員のベクトルを合わせ切れなかったことが反省点。社長としての自己採点は、100点満点で50点ですね。

新規店舗は、4月に埼玉・戸田公園駅に「スタンドRISA」を、12月には中浦和駅に居酒屋「居炉鶏(いろどり)」を出店。これで計32店舗になりました。

2018年の展望とキーワード

行動の準備が整った2018年のキーワードは、「動く」です。そこで、大事にすることを3つ決めました。第1は「チェンジ」で、従業員から見ても、お客様から見ても、「ロットの店は変わった」と明確にわかるように変化すること。第2は「スピード感」で、2021年までに全店を繁盛店にするという目標を、スピード感を持って進めていくこと。第3は「リミット」で、やるべきことを小手先で一時的に変えるのではなく、期限を決めて根本的に改善することです。

当社は店長の裁量権と自由度が大きいだけに、店長によって店の雰囲気や業績が大きく変わります。出店が続いた結果、店長となる人材に十分に教育が行き届かないことがありました。その反省から、今後は教育にも力を入れていきます。店長を含めて従業員は、自分の店に自信がなければイキイキと働けません。また、業態など根幹に問題がある場合は、店を作り変えていこうと考えています。

自社店舗のエリアの状況

埼玉のローカルエリアは、まだまだ出店の余地があります。注目しているのは戸田公園駅エリア。ここに住んでいる人たちは食の感度が高く、地元愛も強い。ここで成功すればほかでもうまくいくと思っていますので、指標にしています。

「人材問題」への対策

当社の正社員の7割がアルバイトからの入社で、そのアルバイトもスタッフやお客様からの紹介が多い。定着率も高いのですが、店長教育が不十分なのが現状。基礎教育をする「ロット大学」という機関はありますが、さらに店長の知識や能力を高めることが重要です。そこで2018年は、実際の現場で店長を指導しようと考えており、店舗を選定中です。

10年後の自社未来図

まずは、「2021年までに全店を繁盛店」を、確実に達成したい。その後は飲食業のみでなく、地域の皆様の生活を支える他業種にも進出していきたいと思っています。そして最終的には、衣食住において包括的に地域の皆様に貢献できるような企業になりたいです。

気になる食材

具体的にはありませんが、埼玉産の食材を活かすことは考えています。

注目している業態

その地域になく、あったらいいなという店を作るのが方針なので、特に注目している業態はありません。

ベンチマークしている店

ローカルエリアで地元に支持されている店舗は、すべて注目しています。

尊敬している経営者3人

当社の創業社長で、現・代表取締役の田子英城さんからは、大事なことをたくさん教えてもらいました。人間臭い部分もあり、経営者としてだけでなく、人としても尊敬しています。ほかに、「大衆ビストロジル」などを運営している、株式会社ジリオンの吉田裕司さんです。現場を熟知していて、現場と経営のバランス感覚が非常に優れている方。目標にしている経営者の一人です。最後の一人は、松下電器(現パナソニック)の創業者・松下幸之助。経営者としての本質、商売の考え方など、共感できる部分が多いです。

マイブームや趣味

趣味は映画を見ること。マイブームは掃除です。社長になってから、お金の大切さにあらためて気がつき、「断捨離」をして、家の中を整理しました。また、勉強のために酒屋巡りもよくします。

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