2017/12/19 特集

人気店の経営者へ10の質問 2018年、そしてその先へ 前編(4ページ目)

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労働環境が整ったので、攻めに転じる1年にしたい

株式会社 nadeshico細川雄也氏COMPANY PROFILE2007年、株式会社nadeshico設立。同年、創作和食ダイニング「菜でしこ長浜店」をオープン。その後、2013年には「近江バルnadeshico」「BEER & WINE 石山グリル」、2015年には「鮮魚と炉端焼き 魚丸 南草津店」と、次々にオープン。滋賀県のドミナント戦略で成長し、現在5店舗を展開。YUYA HOSOKAWA PROFILE1978年、滋賀生まれ。大学卒業後、地元のJA(農協)での勤務を経て2007年に独立。「菜でしこ」「魚丸」「石山グリル」など、滋賀でドミナント出店。2016年末には株式会社ゼロサン名義の「TABLE O TROIS」で東京に進出。現在、「居酒屋甲子園」の理事長も務める。

2017年を振り返って

新店は立ち上げず、労働環境などの整備に走り回った1年でした。当社は、2007年に1号店をオープンしてから滋賀県内のドミナントで、5店舗まで増やしてきました。ただ、出店ペースを上げるためには、人材の増強と育成が重要になると考え、2016年ごろから従業員の休日の確保や、評価制度とスキルアップの仕組みづくりに着手。従業員がやりがいを持って長く働ける環境の整備を進め、ようやく形になってきました。

一方で、2016年末に東京・渋谷に近江食材を売りにした「TABLE O TROIS(ターブルオートロワ)」を、滋賀の生産者らとの共同出資で立ち上げた、株式会社ゼロサンの名義でオープンしました。滋賀の魅力をアピールするための東京初進出でしたが、同時に「果たして自分たちは、滋賀でどこまで認知度があるのか。まだまだ、地元でできることがあるのではないか」とも感じました。自分のなかでは、滋賀でやりきったつもりでいましたが、東京に進出したことが“滋賀のなかでの自分たち”を客観視するきっかけになり、地元でもっと頑張らなくてはいけないと再認識しました。

2018年の展望とキーワード

この2年間で出店ペースを上げるための土台は整いました。そこで2018年は、「攻めに転じる1年」をキーワードに動いていきたい。具体的には、2月に南草津駅前に「THE THREE」、夏には滋賀県内で、すでにある居酒屋「魚丸」をブラッシュアップした業態を出店します。さらに、2019年には滋賀県内に4店舗を立ち上げる予定で、段階的に出店ペースを早めるつもりです。「THE THREE」は、カフェ、バル、レストランの3つのシーンで利用できる業態で、新たなチャレンジになります。

個人的には、2018年は40歳になる区切りの年。40歳は昔は「初老」と言われた年齢ですが、これからは100歳まで生きる時代です。そう考えると僕は折り返してもいない小坊主。まだまだ挑戦を続けていきたいですね。

自社店舗のエリアの状況

滋賀は、マーケットとして高い可能性を秘めていると感じます。ここ数年は、琵琶湖の南側・湖南地域が、京阪神のベッドタウンとして人気が高まっており、人口も増加しています。当社も草津駅、南草津駅、石山駅などの駅前を中心に、異なる業態での店舗展開を考えています。

「人材問題」への対策

従業員の評価制度やスキルアップの仕組みが整ったので、新卒採用も開始しました。2018年は内定者が5名。2019年には10名の採用を予定しており、出店のペースアップに伴って、新卒採用を段階的に増やしていく予定です。

10年後の自社未来図

滋賀県でのドミナント戦略を徹底することで、滋賀の人なら「なでしこ」のブランドを誰もが知っている、そんな滋賀の飲食のリーディングカンパニーになっていたいですね。そして、時期は区切ってはいませんが、大きな目標として将来的には一部上場を考えています。外食企業の地位を上げ、業界を盛り上げる1つのシンボルになりたいですね。

気になる食材

近江牛や近江野菜など、滋賀の食材は常に気にしています。ただ、今は食材自体というより、新しい食べ方に興味があります。例えば、先日、当社のシェフが作った酒粕を使ったプリンが斬新で、とてもおいしかった。こういう、新しい組み合わせで価値を高められるメニューを開発したいですね。また、"海なし県"の滋賀で、いかに安く鮮魚を入荷できるか、そのルートも探っています。

注目している業態

2月オープン予定の「THE THREE」は、カフェ業態も兼ねているので、カフェは気になる業態の1つです。とはいっても、軸足はバルや居酒屋など「お酒を飲んでもらう業態」にあります。お酒を飲み交わす時間の楽しさを、どのようにすれば、より多くのお客様に伝えられるか。そこをもっと深く追求していきたいです。

ベンチマークしている店

株式会社キープ・ウィルダイニングや株式会社MOTHERSのお店は、チェックしていますね。斬新な業態やかっこいい店づくりの参考にしています。

尊敬している経営者3人

株式会社一歩一歩の大谷順一さんは、飲食の基本を教えていただいた方です。また、キープ・ウィルダイニングの保志真人さんは、同じドミナント戦略を行っている会社として目標としています。会社としての仕組みも取り組みも参考になる部分がとても多いと感じています。また、「居酒屋甲子園」の理事の方々は、みんな同世代ということで、お互い相談し合える間柄。尊敬できる仲間であり、ライバルですね。

マイブームや趣味

趣味は「店づくり」。建築やインテリアデザインに興味があり、出店前のレイアウトや平面図など、空間をイメージしてデザインに落とし込んでいく作業が好きです。いずれ、専門学校に通って本格的に資格を取りたいと思っています。

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