2020/05/15 特集

資金調達して難局を乗り越える! 新型コロナウイルス感染症拡大に関する融資・助成金を受けるには(4ページ目)

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民間銀行の信用保証付き融資も、別枠で借り入れ可

 新型コロナウイルス関連の融資では、日本政策金融公庫や商工組合中央金庫(商工中金)など政府系金融機関のほかに、民間の金融機関による「信用保証付き融資」が特別枠で実施されている。1ページ目「資金繰り支援内容一覧表」の「①セーフティネット(保証)5号」「⑧危機関連保証」「⑨セーフティネット(保証)4号」がこれに当たる。

セーフティネット保証4号、5号の主な内容。利用条件は、4号が売上高の前年同月比20%以上減少、5号が同5%以上減少

 そもそも「信用保証付き融資」とは、各市町村の信用保証協会が保証人の代わりになることで、個人事業主や中小企業者が民間金融機関から融資を受けやすくする制度。通常、「一般枠」として最大2億8,000万円(うち無担保で最大8,000万円の借り入れが可能)まで融資を受けることが可能だが、今回は「別枠(緊急枠)」として、「①セーフティネット(保証)5号」「⑧危機関連保証」「⑨セーフティネット(保証)4号」の融資が実施されている。融資枠は3つとも最大2億8,000万円(うち無担保で最大8,000万円の借り入れが可能)。ただし、セーフティネット4号と5号を併用する場合は、両者の合計で最大2億8,000万円(同)だ。

 「大きなメリットは、すでに一般枠で限度額まで借りている場合でも、別枠で追加融資が可能なこと」と水野氏。つまり、「一般枠」で8,000万円の無担保融資を受けている事業者でも、「セーフティネット保証4号(または5号)」で8,000万円、「危機関連保証」で8,000万円の追加融資が受けられ、合計2億4,000万円は無担保で借り入れできることになる。資金繰りにとって大きな力となることは明らかだ。

 ちなみに「セーフティネット保証」とは、突発的な災害のために経営が困難になった中小企業者・個人事業者を支援するもの。4号で地域を、5号で業種を指定するものだが、今回は全国で原則全業種が指定されており、「危機関連保証」も全国・全業種を支援する。飲食業はもちろん3つとも対象となっているので、積極的に活用したい。

 ①、⑧、⑨の違いは、売上の前年同月比の減少幅(セーフティネット4号が前年同月比-20%、5号が同-5%、危機関連保証が同-15%)のほかに、「セーフティネット4号」と「危機関連保証」が信用保証協会による100%保証、「セーフティネット5号」が同80%保証である点だ。これは、仮に事業者が返済不能となった場合、5号だと銀行は融資の20%を回収できなくなるが、4号や危機関連保証は信用保証協会が100%保証するため、銀行は4号や危機関連保証のほうが融資しやすくなる。「5号は売上高5%以上減少で使えるので、一見使いやすいように思うのですが、銀行での審査はより厳しくなります。信用保証協会が100%保証する、4号か危機関連保証がおすすめです」(水野氏)

 ただし、今回は「別枠」なので、自店(の本店)がある市区町村による「認定」が必須。まずは、各市町村のホームページから「認定申請書」をダウンロードし、必要事項を記入する。ここに記入した売上高などの根拠となる客観的資料(レジデータ、営業日報など)と会計資料などを窓口に持参し、面談を受けなければならない。「自治体によっては窓口が混雑しており、面談までに時間がかかるので、早めの申請が肝要です」(水野氏)。

 また、ここで注意したいのが「保証料」の存在。信用保証協会は「保証料」を徴収することで保証する。保証料は、融資額や貸付期間、金融機関によって違うが、「場合によっては数百万円に上ることもある」(水野氏)。ただし、今回は条件を満たす場合に保証料の減免措置もあるので、しっかりチェックしたい。

 このように融資制度は数多く用意されているが、支給までに時間がかかり、手元のキャッシュが不安な事業者も少なくない。水野氏は「信用保証付き融資は、一般枠なら市区町村の認定の必要がないので、早く受け取れる可能性があり、当座をしのぐために取引銀行に相談することや、資金繰りなどの経営支援が受けられる商工会議所に相談することも一案」と提案。あきらめずに取り組むことが大切だ。

 外食産業が未曾有の事態に見舞われていることは間違いない。だが、水野氏は「コロナ禍を追い風に変えてほしい」と呼びかける。「条件の緩和によって資金調達が容易であるため、“アフターコロナ”に向けて会社の成長に活かしてもらいたいですね。また、テイクアウトやデリバリーは新たな市場として確実に成長していますので、この機会に取り組むべき。加えて、オンライン会議システムなどを使ってスタッフの面談や育成を行い、組織の強化につなげてほしい」と水野氏は語る。今だけを見ると苦しいが、未来に視点を移せば、今後の展開が見えてくるのではないだろうか。

 次ページでは、スタッフの給与補償に関わる「雇用調整助成金」を見ていこう。

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