苦境をプラスに転換。店外での新事業で売上を創出!
わたべ【東京・春日】
おしゃれなキッチンカーで店の認知拡大にも成功!
70年余りの歴史を持つ、東京・春日のうなぎ料理の老舗「わたべ」。現在は、料理長の兄・渡部幸和氏と店長の弟・善隆氏が祖父の創業した店を運営している。愛知県一色町の漁業組合から直接仕入れるうなぎを下焼きし、注文を受けてから蒸して備長炭で焼き上げる伝統のスタイルを受け継ぐ。一方で、兄弟ともにうなぎ料理店では修業を積まず、幸和氏はフランス料理店、善隆氏はバーなどで研鑽を積んだこともあり、「伝統は大切にしつつも、うなぎ店の固定概念に捉われない店づくりをしたい」(渡部善隆氏、以下渡部氏)と、チャレンジを続けている。例えば、うなぎとフォアグラを組み合わせたり、蒲焼きと白焼きを同時に楽しめるお重など斬新なメニューを開発。「ミシュランガイド東京」では、2018年から4年連続でビブグルマンを獲得している。
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蒲焼きと白焼きを合わせた「えんま重」(7,370円)は、「わたべ」の名物で「うなタク」でも好評 -
「自家製フォアグラのテリーヌと鰻の蒲焼き」(3,190 円)など、新感覚のうなぎ料理も提供(店内のみ)
コロナ禍でも、こうしたチャレンジ精神が生かされている。その一つが、大栄交通株式会社が都内のうなぎ店と共同で行っている、タクシーでの宅配サービス「うなタク」への参加だ。「もともと、近隣へのデリバリーやテイクアウトも行っていましたが、遠くのお客様にも届ける方法を模索していました。昨年の春以降、デリバリーの需要が高まる中、『うなタク』の話をいただき、参加することにしました」(渡部氏)。注文は各店舗で受け付け、距離に応じた配達料(5㎞1500円〜)と料理代を客がタクシーに支払うというもの。「商圏が拡大したことで、新規のお客様が増加し、一度に20個など、大口注文が入ることもあります」と、渡部氏は効果を語る。
タクシー会社との共同デリバリー「うなタク」
さらに、2020年12月には、うな丼のキッチンカーをスタートさせた。「外食を自粛している方に、おいしいうなぎをお届けしたいと、兄と議論する中で、キッチンカーというアイデアが出たんです」(渡部氏)。しかし、店と同じ調理法では時間がかかりすぎる。そこで役立ったのが、以前から検討していた「うなぎを蒸さずに地焼きする名古屋風の店を出店する」という構想だ。名古屋の店を巡り、自店のタレに合う調理法を研究した結果、低温で蒸した後に地焼きする方法を開発していた。この調理法は従来よりも調理時間が短いため、キッチンカーに向いていると考え、採用することに。店名は、将来的に海外の人たちにもうなぎ(UNAGI)をアピールしたいという思いを込めて「UNG」とし、車やのれんなどのデザインは、すっきりして高級感があるものに仕上げた。出店エリアは、店のある文京区内の公園などを選択。メニューの価格帯は1500〜4500円とキッチンカーとしては高単価だが、うなぎのキッチンカーという珍しさとデザインのおしゃれさが注目を集め、公園の利用者や近隣住民、通りがかりの人など、もともと「わたべ」を知らなかった人も含めて幅広い層が購入。「売上は店舗に比べれば少ないですが、店の認知度アップなど広告効果があり、将来につながるはず」(渡部氏)と期待を寄せる。
うな丼のキッチンカー「UNG わたべ」
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約400 万円を投資して1 トントラックを改装し、うな丼専門のキッチンカー「UNG WATABE」を開業。近隣の公園などで営業し、新規顧客の開拓にもつながっている -
キッチンカーのメニューは、一番人気の「うな丼」(写真)、「白焼丼」(各2,500円と4,500円の2種)など5種類
今後は、キッチンカーによるケータリングや真空パックのうなぎのインターネット販売などの展開も視野に入れており、事業の多角化を進めていく。
東京都文京区小石川1-9-14
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