2021/06/22 特集

今こそ、攻めの戦略 新規出店、業態開発、事業多角化ー。ピンチをチャンスに変える!(3ページ目)

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テイクアウトを強化し、強みを生かしたFC展開で全国に店舗を拡大!

韓丼 新堀川本店【京都・伏見】

ファストフード感覚で食すカルビ丼とスン豆腐が人気

 1988年の創業以来、京都府を中心に肉業態を展開する株式会社やる気。「焼肉やる気」「肉バル銀次郎」「肉割烹バル牛牛」など、7つのブランドを手掛けているが、特に今、急速に店舗を増やしているのがカルビ丼や韓国料理のスンドゥブチゲに特化した「韓丼(かんどん)」だ。2010年9月に1号店をオープンし、その後、愛知や大阪にも直営店を出店。2016年からはFC事業を開始して出店スピードを加速させ、2021年5月現在で直営4店舗、FC58店舗に拡大し、6月以降も年内に6店舗の新規オープンが決まっている。では、今ここまで出店を進められる理由はどこにあるのか。

  • 一番人気の「カルビ丼」(並550円)。サイズはミニ(390 円)や大盛り(830円)などを用意している
  • 「ホルモンスン豆腐」(単品650円)。万人受けするよう辛さを抑え、追加注文で辛さをアップできるようにしている

 「当社の基盤は焼き肉業態ですが、高単価なイメージの焼き肉を気軽に毎日でも食べてもらいたいと考え、〝焼き肉のファストフード〞をコンセプトに業態を開発しました」と「韓丼」の狙いを語るのは、営業推進本部の石田善昭氏。売りの「カルビ丼」は直火焼きで仕上げた牛バラ肉を特製タレに絡めたもので、オープンキッチンで調理することで視覚・嗅覚にも訴える。一方の「スン豆腐」(スンドゥブチゲ)は、女性を中心に安定的な人気を獲得。「ビビンバ」やサイドメニューも豊富にそろえ、一人客や子ども連れ、シニアなど、幅広い層が楽しめるメニュー構成になっている。

 また、オペレーションもFC展開しやすく整備されており、肉を焼く作業は独自開発したジェットオーブンを使うことで、焼き加減の均一化と短時間での調理を実現。味付けはセントラルキッチンで作られた約10のタレを使い、メニューごとに使い分けて味のブレを防止している。また、来店客が券売機で食券を購入するとキッチンへ注文が入る仕組みで、食器の片付けをセルフにするなど、提供スピードの速さや省人化にも注力している。

コロナ禍に強い業態をFC展開

  • “韓国料理のファミリーレストラン”をイメージし、ビビンバなど丼・定食を低価格で提供
  • 「韓丼」ブランドは郊外ロードサイドに展開。新堀川本店も京都市を南北に走る油小路通り沿いにあり、約20台分の駐車場がある

「韓丼」のFC 店舗出店(2020年~)
2020年
 1月 浜松住吉店(静岡)オープン
 2月 小牧田県店(愛知)オープン
 3月 刈谷店(愛知)、日進店(愛知)、 八女店(福岡)、 守山志段味店(愛知)オープン
 5月 高知知寄町店(高知)オープン
 7月 ひたちなか店(茨城)、東加古川店(兵庫)、エルエルタウン岡崎店(愛知)、中川小碓通店(愛知)、小浜店(福井)オープン
 8月 富山店(富山)オープン
  10月 和歌山紀三井寺店(和歌山)オープン
  11月 名古屋柴田店(愛知)、水戸千波店(茨城)オープン
  12月 北九州黒崎店(福岡)オープン
2021年
 3月 岐阜関店(岐阜)オープン
 4月 高松上天神店(香川)、岐阜県庁前店(岐阜)オープン

 合わせて、出店エリアを郊外の幹線道路沿いに限定していることも特徴の一つ。「テイクアウトのニーズをしっかり取るため、住宅に近く車で行きやすいロードサイドに出店しています。繁華街に比べて家賃が安く、利益を出しやすいというのもメリットです」と石田氏は理由を話す。テイクアウトの売上比率は、店舗ごとに違いはあるものの約30〜50%と高水準を維持しており、テイクアウトに力を入れた戦略がコロナ禍のニーズにもマッチした。「2020年はテイクアウトが増え、全店(直営)で年間を通じて昨対の売上が100%を切る月はありませんでした」と石田氏は胸を張る。この安定感がFC事業でも強みとなり、2020年もペースを落とさずに加盟店を増やしている。

テイクアウトを強化

  • テイクアウト用のリーフレット。丼ものやスン豆腐のほか、6 種類の弁当(780 ~ 1,3 8 0 円)も用意。電話番号はもちろん、スマートフォンでの予約方法も記載
  • 店内のポップでも、スマホでのテイクアウトオーダーの方法(右)や、SNS のフォロー特典(左)についてアピールしている

 1号店の「韓丼新堀川本店」は、こうしたFC展開を見据え、あえて大手チェーンが建ち並ぶ激戦区に出店。「価格帯での競合が多くても、商品の差別化で勝ち抜くことができました」と石田氏。開店から10年以上経つ現在でも満席が続く繁盛ぶりで、新作メニューを提供するテスト店舗やFC研修の場としても使われている。「将来的にはFC展開で全国300店舗を目指しています」と石田氏。業態に合った立地を見極めながら、積極的に店舗を増やしていく予定だ。

韓丼 新堀川本店 【京都・伏見】
京都府京都市伏見区竹田藁屋町56
https://r.gnavi.co.jp/2a5u9ee20000/
京都市都市部のベッドタウン・伏見区に位置する「韓丼」ブランドの創業店。約30坪に43席を有し、平日はビジネス層、週末はファミリーを中心に、老若男女問わずにぎわっている。
営業推進本部 FCサポート室 石田善昭氏
滋賀県出身。大手コンビニエンスストア本部で20 年間、FC事業に携わり、2019年11月に株式会社やる気に入社。前職での経験を生かし、「韓丼」のFC展開に取り組んでいる。

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