2022/06/16 特別企画

飲食店の経営が劇的に改善される「7つの戦略」とは

競合が多い、集客が難しいなど、飲食店経営には悩みがつきもの。経営がうまくいく店・いかない店の例を見ながら、経営が安定しない原因とその解決策、繁盛店になるために取り組むべき7つの戦略を解説する。

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更新日:2024.3.18

経営を見直して「行きたい店」になる!コスト管理を行って利益を確保

飲食店を経営する上で、「競合店が多い」「日々の集客が難しい」「利益がなかなか上がらない」「スタッフが確保できない」など、さまざまな課題に直面する。多くの飲食店がひしめく今の時代、“おいしいものを提供すれば客は集まる”という考えでは成功は難しい。経営を安定させ、多くの人が訪れる繁盛店にするには、どのような点に注意して運営すればよいのか。経営がうまくいく店、うまくいかない店の特徴を上げながら、経営不振の原因とその解決策を見ていく。

目次
飲食店経営がうまくいく店とうまくいかない店の違い
経営不振の原因と対策
 1.競合が多い→コンセプトに基づく差別化
 2.利益が出ない→価格ではなく価値で勝負
 3.売上が頭打ち→店の外で売上創出を
 4.長時間労働→営業時間短縮やDX化
 5.在庫管理の不備→出数予測に注力
 6.人材不足→労働環境の改善
 7.経営者は今後のビジョンを明示し、共有を

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飲食店経営がうまくいく店とうまくいかない店の違い

経営がうまくいく飲食店に共通しているのは、コンセプトがしっかりしている点だ。「自宅のようにゆったりと過ごせる居心地のいい居酒屋」「本格的なアジア料理が手軽に楽しめる」など、明確なコンセプトがあればターゲットが絞りやすく、効果的な集客を行うことができる。また、そういった店ほど顧客情報や来店客の動きを分析し、“どんな客層に向け、どう売るのが効果的か”を常に模索している。「常連客を呼び込むための新メニューを開発する」など、積極的に新たな施策を打ち出し、売上につなげているのだ。

また、経営の知識を備え、数値管理(計数管理)をすることも重要。例えば、飲食店で重要な指標である「FLRコスト」。「FLR」は、「Food(食材費)」「Labor(人件費)」「Rent(家賃)」の頭文字を取ったもので、飲食店にかかる三大コストと言われる。このFLR比率は、

FLR比率=(食材費+人件費+家賃)÷売上×100

で求められるが、数値が70%未満になるように意識して店舗運営を行いたい。売上を追うだけでなく、コスト管理を徹底して利益もしっかり確保することが重要だ。

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一方で、経営がうまくいかない店の共通点もある。「リサーチ不足で店舗運営が行き当たりばったり」「スタッフの手が足りず、料理の提供が遅れたり、十分な接客ができていない」「料理の質ばかりにこだわりコスト管理を怠っている」「肝心の集客がおろそかになっている」などがあげられる。数値管理、人材確保、販促など、さまざまな方面で戦略を立て、支持される店づくりをすることが大切だ。

では次から、飲食店経営が不振に陥る原因とその対策を細かく見ていこう。

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経営不振の原因と対策

1.競合が多い→コンセプトに基づく差別化

飲食店は「食品衛生責任者」の資格があれば開業できるため、参入障壁は非常に低く、日々多くの店がオープンしている。駅前や繁華街であれば、近隣に競合店がひしめいている状況も珍しくない。さらに最近ではスーパーやコンビニなども惣菜やドリンク類が充実しており、小売店も競合といえる。そんな中から選ばれる店になるには、しっかりとした差別化が必要だ。

集客が伸び悩んでいるようであれば、下記の順で店づくりをチェックするとよいだろう。

①自店のコンセプトを明確に打ち出しているか
②コンセプトがメニューやサービスを含め、店づくりに反映できているか
③競合や客層を踏まえ、自店が周辺エリアの状況やニーズに合致しているか
④情報発信が的確にできているか


コンセプトは、店づくりの上で最も重要な部分。コンセプトが明確であれば、どんな店で、どんな人に来てもらいたいのか、どんなメニューやサービスを提供するのかなどが絞られ、自店の魅力をしっかり打ち出すことができる。

また、オープン当初は「会社帰りのビジネス層が気軽に立ち寄れる店」がコンセプトだったが、「大手企業が移転した」「在宅勤務が進み、出勤する人が減った」などの理由で、エリアの人の流れが変わったり、客層が変化している可能性もある。改めて自店エリアの商圏調査を行い、見直すとよいだろう。

①~③までやっても問題点が出てこなかった場合は、④に着手。誰に、どんな方法・内容で発信するかを検討したい。また、①~④をやっても効果が出ない場合は、集客力が低い原因が違うところにあると考えたい。

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2.利益が出ない→価格ではなく価値で勝負

大衆的な業態になればなるほど、消費者から“安くておいしい”が求められがち。しかし、価格競争では大手チェーンに勝つことは難しく、無理に安さと質の両方に応えようとしても利益が出せず、不安定な経営に陥ってしまう。

そこで重要なのが、価格だけではない魅力を打ち出すことだ。すなわち、「行く価値のある店」になるということ。「行く価値のある店」になるためには、

①食べたいと思わせる目玉メニュー
②QSCの向上


の2点をまずは考えたい。

①の目玉メニューは、店のコンセプトやターゲット層に合わせて考えたい。一般的にメニューの原価率は30%程度が目安だが、あえて目玉メニューは顧客満足度に注力し、豪華さやインパクトを重視した高原価メニューを用意してもよいだろう。その場合は、ほかのメニューで原価率を調整する必要がある。

②のQSCの向上は、飲食店の基本中の基本ともいえる。QSCと は「Quality(クオリティ=品質)」「Service(サービス)」「Cleanliness(クレンリネス=清潔さ)」のことで、この3つを追求すると、顧客満足度が高くなると言われている。料理のおいしさのほか、盛り付けや提供温度などに配慮したり、丁寧な接客、清潔さを意識し、「どんな店なら快適なのか」をしっかり考えて対応したい。

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また、飲食店は食材費や人件費にコストがかかるため、利益が確保しにくいのも特徴の1つ。コストを意識せずにただ営業しているだけではなかなか利益は上がらない。利益率は

利益率=利益(売上から費用を差し引いた額)÷売上高×100%

で計算する。一般的に安定的な経営のためには、利益率10%程度が目安だと言われている。また、「FLR」について先に述べたが、食材費(Food=F)と人件費(L=Labor)は、2つを合わせて「FLコスト」と呼ばれ、飲食店ではこの「FL比率」も重要。

FL比率=(食材費 + 人件費)÷ 売上高

で求められ、50~60%に収めることが利益につながる目安だと言われている。

では、利益を確保するにはどのようにしたらよいか。まずは、変動が大きい食材費から見直すことが大切だ。在庫管理を徹底して、仕込みは多すぎないか、賞味・消費期限切れなどで廃棄している食材はないかチェックしたい(詳しくは「在庫管理が難しい」を参照)。また、絶対に譲れない“こだわりの食材”以外は、安価な食材への変更や仕入れ先の見直し、仕入れ価格の交渉などを行うのも一案だ。

また、原価率を低く設定した高利益メニューを作ることも有効。居酒屋メニューなら、フライドポテトや餃子、枝豆、レモンサワー、ハイボールなどは高利益メニューとしてあげられる。例えば、フライドポテトにオリジナルの「アンチョビソース」「パクチーソース」をかけて提供するといった具合に、付加価値や魅力を高めて注文を促すのもよいだろう。こうした高利益メニューは、メニューブックやPOPでも大きくアピールして注文につなげていくことも大切だ。

さらに、人件費の見直しも行いたい。来客数が少なくスタッフが手持ち無沙汰な曜日・時間帯があればシフトを変える、オープン前の仕込み業務や閉店後の業務を見直して効率化を進めるとよいだろう。

3.売上が頭打ち→店の外で売上創出を

飲食店の毎月の売上高は

売上高=席数×回転率×客単価×営業日数

で算出される。売上は物理的に席数が限られているので、売上に上限があるのが大きなネックだ。回転率や客単価を上げようにも限界があり、客が満席で入れない場合の機会損失もある。そのため、さらなる売上を求めて近隣に2店舗、3店舗と出店したいと考える経営者は多いが、テイクアウトやデリバリー、ECサイトでの通販など、+αの売上アップを図る方法もある。

コロナ禍をきっかけにテイクアウトやデリバリー、ECの需要は高くなっており、参入する飲食店も増えている。従来の厨房やスタッフを使って対応できることも多いため、大きなコストを掛けずに始められるのも魅力だ。手掛ける際には、テイクアウトやデリバリーであれば「時間が経ってもおいしい」「持ち運びしやすい」、ECであれば「自宅で簡単に調理できる」など、利用シーンに合わせたメニューを開発したい。

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4.長時間労働→営業時間短縮やDX化

飲食店は労働時間が長いと言われてきた。ランチとディナー営業を行う居酒屋なら、朝の仕込みから夜の営業まで、スタッフは多くの時間を拘束される。こうした長時間労働や業務量の多さは、飲食店の不人気と深刻な人手不足を招いてきた。しかし最近では深夜営業をやめ、昼飲みやランチタイムに力を入れることでスタッフの労働時間が減り、以前よりも売上がアップしたケースも増えている。

また、業務のデジタル化(DX化)を進めて効率化し、負担を軽くすることも労働時間の短縮に有効だ。例えば、オンライン予約を導入し予約業務の負担を軽減したり、モバイルオーダーやPOSレジを導入して注文・会計の手間を減らすことなどが効果的。また、顧客情報の管理をデジタル化したことで、業務の負担が減っただけでなく、顧客の情報がスタッフ間で共有でき、さらにきめ細やかな接客ができるようになったというケースもある。

5.在庫管理の不備→出数予測に注力

在庫管理は、仕入れや売上に直結し、店舗の利益を左右する大事な業務。しかし、料理長に任せきりだったり、管理が大雑把だったりと、在庫をきちんと把握できていない店も多い。食材を少なく発注すると在庫切れとなり、せっかくの注文を断らざるを得ず、機会損失につながる。逆に食材を多く発注しすぎると、腐らせたり消費期限切れを起こして食品ロスにつながるだけでなく、古い食材を使うことになれば料理の質が下がりかねない。適切な在庫管理を行うことで、機会損失と食品ロス、どちらも最小限に抑えることが店舗の利益を上げるためにも重要だ。

そのために大事なのは、在庫の把握をしっかり行うことだ。1日1回、仕入れ量と在庫数、賞味・消費期限は欠かさずチェックし、棚卸も月1回行う。また、天候や曜日、予約状況、イベント情報を確認して、客数やメニューの出数を予測して仕入れ量を変更するなど、臨機応変に対応したい。食材の受発注や在庫を一元管理できるツールもあるので、活用するとよいだろう。

6.人材不足→労働環境の改善

飲食店にとって、人材確保は大きな悩みの1つ。不規則な勤務形態、長時間勤務、給与の低さに加え、長引くコロナ禍で度重なる営業自粛、感染リスクなども影響し、飲食業が仕事として避けられる傾向にある。

人材を確保し、長く働いてもらうためには、勤務時間をフレキシブルに決められたり、完全週休2日制や福利厚生を充実させるなど、働きやすい環境を整えることが重要だ。そしてスタッフ募集時にはこれらのアピールをするほか、面接の時には給与体系や昇給の基準についてしっかり伝えておきたい。採用後は研修を行い、育成にも力を入れるとよいだろう。昔のような「見て覚える」やり方ではなかなかスタッフは定着しない。「この店で働きたい」と思ってもらえるようにサポートすることが大切だ。

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7.経営者は今後のビジョンを明示し、共有を

飲食店経営で最も大切なのは、「どんな店にしたいか」「今後どのようにしていきたいか」という明確かつ具体的なビジョンを持ち、それをスタッフにも共有することだ。5年後、10年後の方向性を示すビジョンがないと、スタッフもなかなかついてきてくれない。特にこれという目標がない経営者も、スタッフと共に同じ方向を目指して進めるように、今後の方針をまとめておきたい。そしてしっかりと計数管理を行い、売上と利益率の向上に努めることも大切だ。顧客にとって、またスタッフにとって“魅力ある店とは何か”を追求していけば、おのずとやることは見えてくるはずだ。

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