飲食での赤身肉を起点に、生産にまで踏み込んだ一気通貫モデル
春吉公園から住吉方面へ抜ける通りを一本入った場所に店を構える「AKAMIYA COWSI」は、2014年7月にオープンしたステーキハウス。炭火で焼く赤身の熟成肉を看板とし、自社熟成庫で60日以上寝かせたTボーンステーキや、九州産の雌の黒毛和牛の塊肉などを豪快に焼き上げるスタイルで支持を集めてきた。
「創業当時、日本では霜降り肉が主流で、赤身肉をきちんと味わえる店は限られていました。特に、日常的に使える価格帯で赤身肉を提供している店は博多にほとんどなかったと思います」と話すのは、COWSIグループを運営するAddvalue株式会社・代表取締役の福富 康馬(こうま)氏。赤身肉を主軸に据えたステーキ業態として、この店を立ち上げた人物である。
店内はカウンター、テーブル、個室を備え、日常使いから記念日、接待まで幅広いシーンに対応。メニューはアラカルトとコースの双方を用意し、来店の目的や人数に応じた使い分けが可能だ。
2025年にはランチの営業をスタート。昼はステーキや牛かつを中心に定食で提供し、夜とは価格帯や提供の仕方を切り替えている。客単価は昼が2,500円、夜が10,000円弱、月商は平均1,200〜1,300万円、繁忙期には1,600万円に達するなど、安定した売上を維持している。
現在、「AKAMIYA COWSI」を筆頭に福岡市内で肉業態を5店舗展開。2023年に加工場併設の「COWSI MEAT SHOP」を開設し、2024年からは放牧を主体として肥育する生産事業にも参入するなど、飲食店の枠を超えた事業展開を進めている。こうした取り組みは、どのような戦略のもと進められてきたのか。福富氏に、肉へのこだわりや事業拡大の狙いについて話を伺った。
AKAMIYA COWSI(アカミヤ コウシ)
業態:ステーキ
席数:90席(個室、テーブル、カウンター)
客単価平均:昼2,500円、夜10,000円弱
客層:10~50代、男女比4:6
接待、1人、カップル、ファミリーと層が広い
アクセス:地下鉄七隈線渡辺通駅 徒歩5分
営業時間:11:30〜15:00、16:00〜24:00
定休日 :なし(不定休)
https://r.gnavi.co.jp/sc9vh13w0000/
https://www.cowsi-group.com/restaurant/
目次
1.【料理】赤身・塊肉を主軸に据えたメニュー構成
2.【事業拡張】精肉・生産にも踏み込んだ理由
3.【店舗拡大】素材を活かし切るための出店戦略
▼ぐるなび公式アカウント▼
【LINE】ぐるなび通信デジタル
週1~2回新情報をお届け。ぜひ友だち追加をお願いします!
【複数店舗を展開する繁盛店事例 こちらもチェック】
福岡「博多一口餃子 たけとら」特化再編で年商5.7億円を生んだ集中戦略
福岡「(鮨)池田鮮魚」の出店戦略と組織の在り方|寿司がウリの海鮮居酒屋で月商1,000万円
1.【料理】赤身・塊肉を主軸に据えたメニュー構成
「AKAMIYA COWSI」のメニューの核は、黒毛和牛の赤身肉。ステーキや塊肉での提供は創業時からの看板商品だ。「ステーキ向きの部位ばかりだけが都合よくそろうわけではありません」と、福富氏。仕入れは一頭買いをベースに、必要に応じて部位単位でも調達。さらに自社で熟成を施すことで、提供タイミングと用途の幅を広げている。
-
炭火でじっくりと豪快に火入れしていく工程。骨付きの塊肉は、焼きと休ませを繰り返しながら、時間をかけて仕上げていく -
来店客の約6割がオーダーする「熟成骨付きTボーンステーキ」(時価/写真は700gで21,560円)
特定の部位やカットに依存せず、肉の状態を見極めてメニューへ落とし込む。そうした運用を続けるなかで、塊肉での提供がひとつのスタイルとして定着してきた。アラカルト、コースいずれも、仕入れや熟成の状況に応じて内容を組み替える構成を取り、1人客からグループまで、多様な利用シーンに柔軟に対応できる点も強みとなっている。
-
女性利用を意識した「シャインマスカットと自家製熟成生ハムのカプレーゼ」(1,980円) -
赤エビのうま味とカマンベールのコクを生かした「赤海老とカマンベールチーズのアヒージョ」(1,800円)
-
ワインと合わせたい定番の一皿「ムール貝の白ワイン煮込み ガーリックトースト添え」(1,210円) -
Tボーンを成形する際に出る部位を生かした「国産牛ヒレカツサンド」(3,850円、テイクアウト可)
-
Tボーンに加え、赤身ステーキは常時10種前後を用意。コースメニューもそろえる -
ワインを軸にドリンクも充実。肉料理に加えアラカルトも幅広くそろい、多様なニーズに応える
繁盛店づくりのサポートは「ぐるなび」におまかせください!
▼詳細はこちらから
0円から始める集客アップ。ぐるなび掲載・ネット予約【ぐるなび掲載のご案内】
2.【事業拡張】精肉・生産にも踏み込んだ理由
福富氏は、肉業態の飲食店を経営するなかで「A4・A5といった格付けが、必ずしもおいしさの指標ではない」という違和感を抱いてきたという。市場での評価軸と、実際に食べたときのおいしさの間にズレを感じてきたことが、事業領域を上流へと広げていく背景にあった。
創業店(渡辺通・2011年オープン)を2017年に焼肉業態「Yakiniku COWSI 」へ転換し、翌2018年には大名に熟成肉やジビエを薪火で焼くステーキハウス「COWSI CAMP」を出店。その後2023年には清川に「COWSI MEAT SHOP」を開設。精肉・加工・熟成・卸・販売までを自社で担う体制を完成させ、飲食と精肉の両輪で事業を展開する体制を整えてきた。さらに2024年には、大分・九住(くじゅう)で牛の生産をスタート。放牧主体の肥育で、2カ月に一頭のペースながら出荷も行うようになった。
-
精肉加工場を併設した「COWSI MEAT SHOP」。熟成肉のみならず、牛、豚、羊、ジビエと全国の生産者から集まったお肉を取り扱っている(写真提供:COWSIグループ) -
大分・久住で、放牧を主体として肥育。 「本当においしい牛肉とは何か?」 に向き合った生産を目指している(写真提供:COWSIグループ)
精肉や加工は、自社生産牛に限らず市場流通品や生産者からの直接仕入れも扱っている。和牛は熟成を前提とせず肉質を見極めて加工する一方、交雑種やホルスタインといった赤身の強い肉には加工段階で熟成を施すなど、肉の特性に応じた手当てを行っている。
飲食から始まり、精肉・加工・熟成、卸・販売、さらには生産へ。段階的に広げた生販直結の一気通貫モデルのなかで、「AKAMIYA COWSI」をはじめとする5つの飲食店は、最終的に仕上げた最高の一皿を消費者に届ける役割を担っている。
【豆知識記事はこちら】
飲食店が知るべき牛肉の部位!特徴を活かしたメニュー戦略
熟成肉・熟成魚とは?飲食店が知るべき「うま味の深さ」のメニュー活用術
3.【店舗拡大】素材を活かし切るための出店戦略
2026年2月3日、福岡・川端商店街に新店舗「博多焼肉 こうし」をオープンした。赤身肉に加えて内臓系も扱う業態だ。精肉加工施設のある同社にとって、内臓系を含め、これまで扱いきれなかった部位を自社で加工し、卸や販売、自社店舗で活用する体制を持つことは、事業の延長線上にある自然な展開といえる。つまり出店は単なる店舗数拡大ではなく、扱う部位や食材を活かし切るための手段でもある。
「2026年は、もう2店舗の出店を想定しています。既存業態に加え、『Yakiniku COWSI』のランチで提供しているすき焼きを、独立した業態として展開したいと考えています」と福富氏は語る。
エリア戦略にも明確な考えを持つ。「中央区の繁華街はすでに供給過多の状態です。天神ビッグバン(天神地区の老朽化ビルを耐震性の高いビルへ建て替える大規模再開発)の影響もあり店が増えているので、これからは博多エリアに注目しています」。人流のある博多駅周辺に多くの繁盛店が成立している点に着目。目的来店型の店が多いとはいえないが、このエリアにはまだ余力があると見ている。
「本当においしい肉とは何か?」を追求し続けてきたCOWSIグループ。飲食店から始まった挑戦は、精肉・加工・熟成、卸・販売、さらには生産へと領域を広げてきた。素材と向き合い続けたどり着いたこのモデルは、これからの畜産、そして肉ビジネスのあり方を考える上で、ひとつの指標となっていきそうだ。
【黒毛和牛をメインに展開する繁盛店事例はこちらもチェック】
A5黒毛和牛×絶品コースで繁盛!経堂「炭火焼肉ふちおか」の戦略
Googleビジネスプロフィールの運用代行サービスは、ぐるなびで!
ぐるなびによるGoogleビジネスプロフィール(GBP)を活用したMEO対策・クチコミ対応を含む、飲食店に特化した集客支援・運用代行サービスを紹介します。
▼詳細はこちらから
【ぐるなび】飲食店向けGoogleビジネスプロフィール(GBP)集客支援・運用代行サービス
資料請求・お問い合わせはお気軽にどうぞ
「ぐるなび通信」の記事を読んでいただき、ありがとうございます。
「ぐるなび」の掲載は無料で始められ、飲食店のあらゆる課題解決をサポートしています!
