2026/02/17 特集

福岡・春吉「AKAMIYA COWSI」月商1,600万円を生む赤身肉業態の繁盛モデル

福岡・博多の繁盛店を特集。春吉に店を構えるステーキハウス「AKAMIYA COWSI」(アカミヤ コウシ)。赤身肉や熟成塊肉を看板に、繁忙期には月商1,600万円を売り上げる。近年は精肉加工や生産事業にも踏み込み、飲食店の枠を超えた肉ビジネスに挑んでいる。その狙いとは?

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飲食での赤身肉を起点に、生産にまで踏み込んだ一気通貫モデル

春吉公園から住吉方面へ抜ける通りを一本入った場所に店を構える「AKAMIYA COWSI」は、2014年7月にオープンしたステーキハウス。炭火で焼く赤身の熟成肉を看板とし、自社熟成庫で60日以上寝かせたTボーンステーキや、九州産の雌の黒毛和牛の塊肉などを豪快に焼き上げるスタイルで支持を集めてきた。

「創業当時、日本では霜降り肉が主流で、赤身肉をきちんと味わえる店は限られていました。特に、日常的に使える価格帯で赤身肉を提供している店は博多にほとんどなかったと思います」と話すのは、COWSIグループを運営するAddvalue株式会社・代表取締役の福富 康馬(こうま)氏。赤身肉を主軸に据えたステーキ業態として、この店を立ち上げた人物である。

「AKAMIYA COWSI」は、地下鉄渡辺通駅から徒歩約5分。低い扉と鹿角のオブジェが目印の隠れ家的外観。2024年11月に2階を増床した
温かみのある照明が印象的な店内。カウンターに加えてテーブル席や個室を備え、多様な利用に応える

店内はカウンター、テーブル、個室を備え、日常使いから記念日、接待まで幅広いシーンに対応。メニューはアラカルトとコースの双方を用意し、来店の目的や人数に応じた使い分けが可能だ。

2025年にはランチの営業をスタート。昼はステーキや牛かつを中心に定食で提供し、夜とは価格帯や提供の仕方を切り替えている。客単価は昼が2,500円、夜が10,000円弱、月商は平均1,200〜1,300万円、繁忙期には1,600万円に達するなど、安定した売上を維持している。

赤身肉を主役とした多彩な料理。肉の個性を引き出すラインナップ

現在、「AKAMIYA COWSI」を筆頭に福岡市内で肉業態を5店舗展開。2023年に加工場併設の「COWSI MEAT SHOP」を開設し、2024年からは放牧を主体として肥育する生産事業にも参入するなど、飲食店の枠を超えた事業展開を進めている。こうした取り組みは、どのような戦略のもと進められてきたのか。福富氏に、肉へのこだわりや事業拡大の狙いについて話を伺った。

【店舗Data】
AKAMIYA COWSI(アカミヤ コウシ)

業態:ステーキ
席数:90席(個室、テーブル、カウンター)
客単価平均:昼2,500円、夜10,000円弱
客層:10~50代、男女比4:6
接待、1人、カップル、ファミリーと層が広い
住  所:福岡県福岡市中央区春吉2丁目17-2
アクセス:地下鉄七隈線渡辺通駅 徒歩5分
営業時間:11:30〜15:00、16:00〜24:00
定休日 :なし(不定休)
https://r.gnavi.co.jp/sc9vh13w0000/
https://www.cowsi-group.com/restaurant/

目次
1.【料理】赤身・塊肉を主軸に据えたメニュー構成
2.【事業拡張】精肉・生産にも踏み込んだ理由
3.【店舗拡大】素材を活かし切るための出店戦略

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1.【料理】赤身・塊肉を主軸に据えたメニュー構成

「AKAMIYA COWSI」のメニューの核は、黒毛和牛の赤身肉。ステーキや塊肉での提供は創業時からの看板商品だ。「ステーキ向きの部位ばかりだけが都合よくそろうわけではありません」と、福富氏。仕入れは一頭買いをベースに、必要に応じて部位単位でも調達。さらに自社で熟成を施すことで、提供タイミングと用途の幅を広げている。

ボードに掲示されたTボーンから選ぶと、焼成前に宝箱のような木箱で登場する演出が好評
  • 炭火でじっくりと豪快に火入れしていく工程。骨付きの塊肉は、焼きと休ませを繰り返しながら、時間をかけて仕上げていく
  • 来店客の約6割がオーダーする「熟成骨付きTボーンステーキ」(時価/写真は700gで21,560円)
Tボーンステーキは適度なサイズにカットして提供。塩や山葵、自家製粒マスタード、にんにくの醤油漬けなどの薬味とともに味わう

特定の部位やカットに依存せず、肉の状態を見極めてメニューへ落とし込む。そうした運用を続けるなかで、塊肉での提供がひとつのスタイルとして定着してきた。アラカルト、コースいずれも、仕入れや熟成の状況に応じて内容を組み替える構成を取り、1人客からグループまで、多様な利用シーンに柔軟に対応できる点も強みとなっている。

  • 女性利用を意識した「シャインマスカットと自家製熟成生ハムのカプレーゼ」(1,980円)
  • 赤エビのうま味とカマンベールのコクを生かした「赤海老とカマンベールチーズのアヒージョ」(1,800円)
  • ワインと合わせたい定番の一皿「ムール貝の白ワイン煮込み ガーリックトースト添え」(1,210円)
  • Tボーンを成形する際に出る部位を生かした「国産牛ヒレカツサンド」(3,850円、テイクアウト可)
骨髄のコクを重ね、赤身肉のうま味を引き出した「和牛赤身肉のタルタル ボーンマロウ添え」(2,200円)
  • Tボーンに加え、赤身ステーキは常時10種前後を用意。コースメニューもそろえる
  • ワインを軸にドリンクも充実。肉料理に加えアラカルトも幅広くそろい、多様なニーズに応える

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2.【事業拡張】精肉・生産にも踏み込んだ理由

福富氏は、肉業態の飲食店を経営するなかで「A4・A5といった格付けが、必ずしもおいしさの指標ではない」という違和感を抱いてきたという。市場での評価軸と、実際に食べたときのおいしさの間にズレを感じてきたことが、事業領域を上流へと広げていく背景にあった。

創業店(渡辺通・2011年オープン)を2017年に焼肉業態「Yakiniku COWSI 」へ転換し、翌2018年には大名に熟成肉やジビエを薪火で焼くステーキハウス「COWSI CAMP」を出店。その後2023年には清川に「COWSI MEAT SHOP」を開設。精肉・加工・熟成卸・販売までを自社で担う体制を完成させ、飲食と精肉の両輪で事業を展開する体制を整えてきた。さらに2024年には、大分・九住(くじゅう)で牛の生産をスタート。放牧主体の肥育で、2カ月に一頭のペースながら出荷も行うようになった。

  • 精肉加工場を併設した「COWSI MEAT SHOP」。熟成肉のみならず、牛、豚、羊、ジビエと全国の生産者から集まったお肉を取り扱っている(写真提供:COWSIグループ)
  • 大分・久住で、放牧を主体として肥育。 「本当においしい牛肉とは何か?」 に向き合った生産を目指している(写真提供:COWSIグループ)

精肉や加工は、自社生産牛に限らず市場流通品や生産者からの直接仕入れも扱っている。和牛は熟成を前提とせず肉質を見極めて加工する一方、交雑種やホルスタインといった赤身の強い肉には加工段階で熟成を施すなど、肉の特性に応じた手当てを行っている。

飲食から始まり、精肉・加工・熟成、卸・販売、さらには生産へ。段階的に広げた生販直結の一気通貫モデルのなかで、「AKAMIYA COWSI」をはじめとする5つの飲食店は、最終的に仕上げた最高の一皿を消費者に届ける役割を担っている。

肉との相性を意識してセレクトしたワイン。記念日向けのシャンパンや1980年代ヴィンテージも用意する

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3.【店舗拡大】素材を活かし切るための出店戦略

2026年2月3日、福岡・川端商店街に新店舗「博多焼肉 こうし」をオープンした。赤身肉に加えて内臓系も扱う業態だ。精肉加工施設のある同社にとって、内臓系を含め、これまで扱いきれなかった部位を自社で加工し、卸や販売、自社店舗で活用する体制を持つことは、事業の延長線上にある自然な展開といえる。つまり出店は単なる店舗数拡大ではなく、扱う部位や食材を活かし切るための手段でもある。

肉の価値を多角的に伝え続ける福富社長

「2026年は、もう2店舗の出店を想定しています。既存業態に加え、『Yakiniku COWSI』のランチで提供しているすき焼きを、独立した業態として展開したいと考えています」と福富氏は語る。

エリア戦略にも明確な考えを持つ。「中央区の繁華街はすでに供給過多の状態です。天神ビッグバン(天神地区の老朽化ビルを耐震性の高いビルへ建て替える大規模再開発)の影響もあり店が増えているので、これからは博多エリアに注目しています」。人流のある博多駅周辺に多くの繁盛店が成立している点に着目。目的来店型の店が多いとはいえないが、このエリアにはまだ余力があると見ている。

「本当においしい肉とは何か?」を追求し続けてきたCOWSIグループ。飲食店から始まった挑戦は、精肉・加工・熟成、卸・販売、さらには生産へと領域を広げてきた。素材と向き合い続けたどり着いたこのモデルは、これからの畜産、そして肉ビジネスのあり方を考える上で、ひとつの指標となっていきそうだ。

Addvalue株式会社 代表取締役 福富 康馬 氏
1982年、福岡県生まれ。餃子とホルモン業態からスタートしたが、赤身肉の可能性に着目し業態を転換。現在は福岡市内で肉業態5店舗を展開する(2026年2月時点)。2023年に加工場併設の「COWSI MEAT SHOP」を開設、2024年からは生産にも参入し、精肉・加工・熟成、卸・販売・生産までを一貫して担う体制を築いている。

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