アルペン創業者が開発したうなぎ業態が絶好調!
「うなぎのうな泰」は、スポーツ用品大手・株式会社アルペンの創業者である水野 泰三(たいぞう)氏が率いる株式会社ミズノ・インターナショナルが展開するうなぎ専門店。
開業の契機は、自社のゴルフ場でうな重の提供を検討した際に直面した仕入価格の高さだった。「かつて100円の回転寿司が寿司を大衆化したように、うなぎも大衆化したい」と考えた水野氏は、アルペン店舗の駐車場5カ所でキッチンカーでの実証実験を重ね、どこまで低価格で提供できるかを検証。2021年11月、名古屋・栄に1号店を構えた。現在は愛知県を中心に7店舗を展開する。
最大の特徴は、「うな丼」が590円~、「ひつまぶし」が990円~という圧倒的な低価格。この価格を支えるのが、うなぎの卸業への進出、串打ちを排除したメニュー開発、徹底したセルフ化の3つだ。23坪30席の錦店は年商約1億5,000万円を記録。客単価は1,600~1,700円で、客層は日本人と訪日客がほぼ半々、女性が5~6割を占める。うなぎ店の常識を打ち破る「うなぎのうな泰」の成功の要因を水野氏にうかがった。
うなぎのうな泰(やす)錦店
業態:うなぎ専門店
座席:30席(テーブル、カウンター)
客単価:1,600~1,700円
客層:ファミリー、ビジネス層、シニア、外国人観光客、男女比4:6
アクセス:栄駅から徒歩3分
営業時間:11:00 - 21:00
定休日 :無休
https://www.instagram.com/unagino_unayasu/
https://r.gnavi.co.jp/c55ekhyf0000/
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繁盛へと導いた、3つのポイント
目次
【POINT1】卸業参入で、うな丼590円を実現!
【POINT2】クオリティー×省人化×提供スピードを追求
【POINT3】徹底したセルフ化でFC展開可能に
【POINT1】卸業参入で、うな丼590円を実現!
低価格を実現する上で、最大の壁となったのは、仕入価格だった。商社を介しては原価を抑えられない。そこで水野氏はまだ1店舗だった頃、中国の養殖場6社からサンプルを取り寄せ、直輸入を試みた。しかし、食品の輸入は初めての経験。必要書類がそろわず荷物が名古屋港で止まった上、最低取引単位は1コンテナ約10トン~。「当時の店舗規模では消化できず、直輸入は一旦断念せざるを得ませんでした。でも、この経験が勉強になりました」と水野氏は振り返る。
転機は、取引先のうなぎ専門商社の担当者から「『うな泰』で働きたい」と申し入れがあったことだ。「うなぎの仕入れに強い人材を採用できたことで、うなぎの卸売り事業を始めることができました」(水野氏)。現在は自社店舗への供給に加え、量販店数社に出荷。店舗数が増えた2024年からは、一度断念したコンテナ単位での直輸入も実現。店舗販売と卸売の両輪で取扱量を増やす「マス化」によって、原価高騰の荒波の中でも590円という低価格を維持させている。
【POINT2】クオリティー×省人化×提供スピードを追求
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「ひつまぶし」(990円~)。薬味と出汁が付く。訪日客にも人気が高く、注文全体の約5割を占める看板メニュー -
「う巻き」(630円)。厚焼き玉子でうなぎを包んだ一品。サイドメニューの拡充が客単価と粗利の底上げにも寄与
オペレーション上の課題となったのが、「串打ち3年、裂き8年、焼き一生」といわれる職人技だった。低価格を実現するにはアルバイト中心の運営が欠かせないが、不慣れなスタッフでは串打ちがうまくいかず、うなぎをタレ壺の中や焼き台の下に落としてしまう食材ロスも相次いだ。そこで水野氏が考えたのが「串打ちをやめる」という発想だった。
「自社工場で専用の網を開発し、上下の網で挟んで焼く方式に変更したことで、1台の焼き台で焼ける量は2尾から6尾に増加しました。ご飯はライスロボットを導入し、並220g、大盛300g、小盛150gをボタン一つで均一に盛れる仕組みを採用しました」(水野氏)。味の核となるタレは、岐阜の名店で10年近く修業した料理人から伝授されたもの。本社のセントラルキッチンで水野氏を中心に仕込み、全店へ供給する。注文から提供までは8分以内を徹底し、厨房内のモニターに6分で黄色、8分経つと赤いランプが点灯する仕組みにして、時間内に提供できるような意識づけを行った。
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【POINT3】徹底したセルフ化でFC展開可能に
「ホールスタッフを配置しない」を徹底しているのも特徴だ。入り口の券売機で注文と会計を済ませ、調理が終わると音声と画面で番号が呼び出される。客は受け渡し口で受け取り、食後は自分で返却口へ下げる。フードコートの導線をうなぎ専門店に持ち込んだ形だ。
券売機は当初、日本語と英語のみだったが、訪日客の増加を受けて韓国語と中国語を追加し、現在は国旗を選ぶだけで切り替わる4カ国語対応となった。メニューは1切れ、2切れ、3切れ、6切れと枚数で表示。「当初はメニュー数を絞る方針でしたが、要望に応えて生ビールやサラダ、う巻き、骨せんべいなどを追加し、粗利ミックスで利益を確保しています」(水野氏)。販促はLINE公式アカウントの友だちが4,000人を超え、地域の雑誌やフリーペーパーなどへの出稿も継続させながら認知度を高めている。
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注文から会計まで入口の券売機で完結。国旗を選ぶだけで日本語・英語・韓国語・中国語に切り替わり、訪日客も迷わず購入できる -
店内にLINE登録を促すPOPを掲出。LINEではクーポンや新メニュー情報を配信して再来店を促す。SNSでの発信に加え、地域の情報誌やフリーペーパーへの広告掲載も続け、新たな顧客への認知拡大を図る
水野氏の「生産性アップへの意欲」は、尽きることがない。「ベルトコンベヤーのように焼きからタレ付けまでを一貫して行える仕組みを作りたい」と水野氏はさらなる構想を描いている。
一方、店舗数については、あえて具体的な目標を掲げていない。「数字を目標にすると、達成するために無理してしまうので」(水野氏)。大切にするのは、規模ではなく、手頃な価格でおいしいうなぎを届けること。かつて高嶺の花だったスキー用品を身近な存在に変えた経験を原点に、今後も「うなぎの大衆化」を追い求めていく。
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