「好き」を貫いて生まれた、人と人が交わる原宿の新たなベース
原宿駅から徒歩7分、竹下通りを抜けてすぐのビル4階に位置するカフェ&バー「THE PITCH HARAJUKU」。6坪の店内はサッカーのロッカールームをモチーフにしたユニークな内装で、テラスには4人から貸切可能な約4坪のBBQエリア「BALCONIWA(バルコニワ)SP」を併設する。
「ロッカールームは、仲間と次の試合の戦略を話し合う場所。そんな前向きな話ができるスペースにしたいと思って設計しました。基本的に僕の店づくりは、自分が落ち着ける店を作っているだけかもしれないですね」(石田氏)。
経営パートナーである株式会社Ciel Ferme(シエル フェルメ)代表・杉本 香織 氏との出会いを機に、石田氏は飲食の世界へ。プライベートBBQレストラン「10th story」(西麻布)、貸切BBQグランピング「BALCONIWA(バルコニワ)」(千駄ヶ谷)などの店舗を手掛け、料理開発から店舗デザインまで活躍の幅を広げてきた。
「THE PITCH HARAJUKU」の物件は、知人が営んでいたカフェが移転することになり、引き継ぎの声をかけてもらったのがきっかけだった。3カ月の構想期間を経て、内装の大部分を石田氏自身がわずか3日で施工した。
THE PITCH HARAJUKU
業態:カフェ・ダイニングバー・スポーツバー
席数:14席(店内カウンター6席、テラス8席)※8名様以上は要相談、立食・貸し切り時は最大16人まで可能
客単価平均:日中1,000~2,000円、夜2,000~3,000円 ※BBQは2,800円~
客層:20~30代の男女、近隣で働くアパレル・クリエーター層、インバウンド(外国人観光客)
アクセス:東京メトロ副都心線明治神宮前駅神宮前交差点改札エレベータ口 徒歩3分、JR原宿駅東口 徒歩7分
営業時間:10:00~20:00 ※開店時間は毎朝のInstagramストーリーまたは1階看板にて案内
定休日 :月・火曜日
https://www.instagram.com/the_pitch_harajuku/
https://r.gnavi.co.jp/rjdpe02w0000/map/
目次
1.語らず、飾らず、空間で伝える。白い光のロッカールーム
2.客に委ねるBBQと、カフェで加えるひと工夫との心地よい調和
3.共鳴する人との接点をつくる、デジタル×アナログの集客術
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1.語らず、飾らず、空間で伝える。白い光のロッカールーム
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明るい店内に設置された大型モニター。スポーツ観戦などを楽しみながら仲間と前向きに語り合える空間演出 -
アラカルトで人気のホットドッグやナポリタン。レトロポップな食品サンプルが店内を楽しく彩る
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石田氏がセレクトしたキャップやTシャツなどのアパレル。ロッカールームの空気感とともに購入も可能 -
サッカーゴールネットやサイン入りスパイクを飾ったディスプレイ。ロッカールームを思わせる独特の世界観
「THE PITCH HARAJUKU」で石田氏は、居酒屋でよく使われる暖色系の暗い照明ではなく、白い光を基調とした明るい空間を作り上げた。「オレンジの光だと、空間自体が“エモく”なりがちです。そうではなく、会話を通じてエモくなってほしい。白はさまざまな光が合わさった色でもあるので、さまざまな人が混じり合う場所にしたいという思いもありました」(石田氏)。
「カルチャーは言葉にするものではない」という持論から、石田氏はあえて同店をカルチャー発信の場とは言わない。本当にいいと思うものを形にし、それに共感する人が自然と集まればいいという姿勢が、結果としてファッションや音楽などに関心のある人たちを呼び込んでいる。食事をするだけではない居場所として、思い思いに時間を過ごす客も多い。
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2.客に委ねるBBQと、カフェで加えるひと工夫との心地よい調和
空間だけでなく、接客の姿勢にも石田氏ならではの哲学が貫かれている。BBQエリアでは、接客に手をかけすぎず、客がやりたい体験をアシストするようにしている。「肉を焼くための食材と場所は用意しますが、失敗したくないからと言われて僕が肉を代わりに焼いたら、その人たちのストーリーじゃなくなってしまいます。焦げたとしても豊かな思い出になるような時間を過ごしてほしい」(石田氏)。燻製ビーフを堪能できるBBQプラン(2,800円~)のほか、飲み放題(2時間3,000円)もセルフサービスで提供し、それぞれが自分たちのペースで楽しめるようにしている。
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ランチのメイン料理は単品(各650円)でも注文可能。ビールなどと共につまみとして楽しむ客も多い -
インバウンドにも人気のサッポロラガー「赤星」中瓶(900円)。グラスに注がずラッパ飲みするスタイルが好評
一方で、カフェの料理には、石田氏自身の好みや工夫が表れている。ランチで人気の「昆布出汁のしょうが焼き定食」(1,200円)は、石田氏自身が好む超極薄の豚バラ肉を使ったオリジナルレシピ。客に委ねるBBQと、日常の一皿にひと手間を加えるカフェの料理。アプローチは違っても、根底にあるのは「自分がいいと思うことをやる」という一貫した姿勢で、肩肘張らない居心地の良さを生んでいる。
3.共鳴する人との接点をつくる、デジタル×アナログの集客術
集客において、石田氏は「店をどのように知ってもらうか」を考えて実践している。BBQエリアでは、店にたどり着いた検索ワードを客にヒアリングし、それをヒントに「原宿で4人から貸し切りできるバーベキュー」といった具体的なニーズを意識して情報発信。「都会の真ん中に現れる、小さなキャンプ場。」のコピーでアピールし、グルメサイトやGoogleビジネスプロフィールなどの媒体も活用する。
さらに、原宿のアパレルショップなどに自らチラシを持って足を運び、掲示を頼むというアナログな手法にも力を入れている。草の根で「この場所を好きになってくれそうな人」との接点を増やしていき、インターネット検索と街でのリアルなつながりの両方から認知度を高めようとしている。
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イラストで描かれたポップな原宿散策マップチラシ。街を訪れた人がふらりと立ち寄りたくなる工夫が満載 -
「ちゃんと食べる、原宿。」を掲げた定食メニューのチラシ。近隣アパレル店舗などへ自ら持参し掲示を頼む
石田氏の今後の目標は「世界の人に通じるもの」をつくること。子どもが自由に作品を販売できる「子ども美術館」や、お祝いに特化した「祝い屋」など、その構想は既存の飲食店の枠組みにとどまらない。「こんな場所があったら面白い」という発想を起点に、新たな場や業態を次々と構想している。自店ならではの価値をつくるヒントは、まず自分の「好き」を掘り下げることにありそうだ。
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