【株式会社SFO】評価項目で追うべき課題を示し、社員のキャリアアップを促進
所在地/大阪府大阪市北区芝田2-9-17 マエダビル4階
創業/2011年3月
資本金/1,000万円
経営店舗数/6店舗
QSCをベースにした具体的な項目でチェック
2011年、大阪で起業した株式会社SFO代表取締役社長の平良翔太氏は、現在、宴会獲得を狙った大箱の居酒屋を中心に6店舗を運営。「お客さまの期待値を超えるサービスの提供」という理念と10カ条(下囲み)を掲げ、店づくりを進めている。そんななか、経営店舗が4店舗になった頃から、「成長を目指す組織として、足りないものがあると感じるようになった」と語る。その1つが評価制度。それまで社員の給与は平良氏の一存で決めていたが、この仕組みに限界を感じたという。
株式会社SFOの10カ条
➊お客様を一番に考える おもてなしの心。
❷若くても力があれば然るべきポジションを。
❸調和を大切にする。
❹自ら仕事を創出する。
❺できないことができた時の楽しさを味わおう。
❻未来を見据え常にアンテナを張る。
❼何に対しても、もっともっとの精神で!
❽良質なカルチャー、モラルあるチーム!
❾どんなときでもチームの成功を。
❿スケールメリットとスケールデメリットを 意識して常に変化していく。
そこで、外部のコンサルタントに依頼し、まずは評価制度のベースを導入。「その後、評価項目などをマネージャーや店長と話しながらカスタマイズしました」と平良氏。現在の評価制度の基本になるのはQSCで、店長が評価項目を意識して仕事をすればQSCが上がり、その結果、売上も上がるような内容に作り込んだ。もちろん、給与とも連動した仕組みになっている。
だが、評価制度を導入した当初、古くからの社員の一部はこれまでと違い、アバウトさを排除した新しい評価方法を窮屈に感じ、退職してしまった。それでも平良氏は「会社の発展のためには、絶対に転換が必要」と前に進むことを決断した。
評価方法の中心は「店舗チェック表」だ。これは店長に対する評価の基になるもので、“あるべき店の姿”を徹底的に明文化。店内フロアやトイレはもちろん、厨房は食器洗浄機やコンロ、製氷機の清掃具合にまで至る。これらを「できている」「できていない」で判定し、満点なら290点。これを月2回、マネージャーが日時を事前に知らせたうえで臨店し、店長とともにチェックする。項目に落とし込んだ“あるべき姿”について、しっかり共通認識ができているので、「マネージャーと店長の評価が食い違うこともない」(平良氏)。
この点数をもとに3カ月に1度、昇給・降給を決定。3カ月の平均得点を算出し、例えば達成率が95%(276点)以上なら、昇給額の100%を基本給に加え、次の3カ月の給与額が決まる。「何点取れば自分の給料がどのくらい増えるのか、わかりやすくしました。これを店長が追いかけるようになることがポイント」と平良氏。狙い通り、自然と店長たちのモチベーションと点数が上がり、それに伴って店舗の売上も上がっている。
そのほか特徴的なのは、店舗の売上高をあえて評価に組み込んでいないこと。「売上は外的要因に左右されることもありますし、『店舗チェック表』でQSCを上げていけば、自然と売上も上がるはず、という考えからです。ただし、F(材料費)、L(人件費)や水道光熱費、覆面調査の結果などは店長に意識してほしいので、合格基準を設けています」と平良氏。店舗チェック表の点数が一定以上で、FLなどの数値が合格基準に達していれば、昇給以外にインセンティブを加えている。
一方、店長以外の社員は「スキルアップ表」で評価する。QSCに基づく営業スキル項目の点検で、本人と店長が「できる・できない」でチェックし、こちらも昇給と連動する。両者の評価が一致するよう、「○秒以内に~できる」など具体的にしている点は「店舗チェック表」と同様だ。平良氏は、「大事なのは他者の評価。飲食店がお客様に評価されるのと同じように、“外からの評価”がすべてですから」と説明する。
評価制度の構築から約2年。運用のポイントは、「全員が評価制度の項目を意識するようになること、そのために制度の意義を繰り返し伝えること」と平良氏。実際、月2回の社員ミーティングなどで、制度の浸透を図っている。今後はアルバイト用の評価制度も作成し、スキルの向上と時給を連動させる予定だ。「100人以上いるアルバイトがQSCを追いかけるようになれば、店のレベルアップにつながるはず」(平良氏)と期待を寄せる。
また、ホームページでは「今後2年間で200%の成長を目指す」という具体的なビジョンや、スタッフの声などを掲載。人材の採用と定着を意識し、入社後のキャリアをサポートする体制も紹介する。「様々なキャリアを描ける会社になるには、売上・店舗数を増やし、同時にマネージャーというポストも増やしていきたい」と平良氏。さらに、「能力と意欲のある人には、社内独立という選択肢も用意したい」と語る。
現在、社員の定着率は高く、今後もこの方向性を貫く。「今は会社が成長するための過渡期。この変化を必ず成功に結びつけたい」と、平良氏は意気込む。
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