2020/08/18 特集

採用戦線に異変あり!? ウィズコロナの人材を考える(2ページ目)

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これから人材を採用するポイントは?

掲げる理念やビジョンを共有できるかが採用のカギ

 先に触れたように、現状は求職者の多くが飲食業経験者。その場合、採用に当たっては、つい応募者の技術や知識に焦点を当てて比較検討しがちだが、それではミスマッチにつながりやすいと有本氏は注意を促す。「技術や知識の面だけで『即戦力になりそうだ』と判断し、自社の風土や文化に合うかをきちんと考慮せずに採用してしまうと、結果的に組織全体にマイナスの影響が出ることもあります」。

 そこで、面接のポイントとして有本氏は、その人が前職で実際に経験してきた事実を聞き出し、「どのような場面で、どう行動したのか」という具体的な事例を深掘りすることを勧める。それによって、次第に応募者の考えや行動の軸にあるものが見え、自社に合う人物かどうかの判断材料になる。

 また、飲食業の特色として応募者が事前に、関心を持った企業の職場=店舗に客として来店し、確かめられるという点がある。実際に店を利用して、どのような店づくりが行われているのかを自分の目で見た上で、その一員に加わりたいという明確な意思を持った人を採用することが理想的だ。

 一方で未経験者、特に新卒の人材については、今回のコロナ禍を経て、この先の採用は格段に難しさを増していくことが予想される。「コロナで飲食業界が大きな打撃を受ける様子を目の当たりにした若い世代が、果たして自分の進む道として選ぶのか。当然、大きな不安が伴うでしょう」と有本氏。

 さらに、以前からすでに傾向としてあった、「自分が成長できる環境があること」「長く働けること」を軸に企業を選ぶ動きが、今後は一層進むと考えられる。だからこそ重要になるのは、「この会社で働くことでどのように成長できるか」をきちんと打ち出すことだ。人材育成の仕組み作りや、働きやすい環境の整備、人を大切にする風土の醸成などに力を入れつつ、そうした取り組みをSNSなどを通して積極的に発信していく。それが、ウィズコロナの時代に「選ばれる企業」になるためには欠かせない。

 「加えて、近年の傾向として経験者・未経験者を問わず、企業の理念やビジョン、経営者の考え方を重視して就職先を選ぶ人が非常に増えています。飲食業界に限らず言えることですが、今回のコロナ禍で、この傾向はさらに強まるでしょう」(有本氏)。

 また、企業が掲げる理念やビジョンは、消費者の選択にも影響を及ぼす。実際に、コロナの影響下でも客足の戻りが早い店に共通する要素として、経営者の理念がしっかり打ち出され、広く認知されている点が挙げられる。さらに、QSC(クオリティー・サービス・クレンリネス)の高さも、客足の戻りに直結している。このことから、ウィズコロナの今、自社の理念や価値観、感染対策も含めたQSCの取り組みをホームページやSNSで発信することが、顧客の信頼を得るためにも、そして、今後の人材採用を進める上でも重要なポイントと言える。

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