人事評価でより重要になることは?
評価の頻度を増やすことでモチベーションを向上
人材育成とは、「教育」だけでは意味がなく、その成果をきちんと「評価」するプロセスがあって初めて成り立つもの。従業員への教育の内容を実践につなげるためにも、評価の仕組みを構築することは不可欠だ。
すでに触れた通り、ウィズコロナの時代も、飲食店スタッフに求められるホスピタリティは変わらない。「加えて、『顧客満足度を高め、売上を上げ、利益を獲得する』という、企業や店が目指すものも変わりません。そのため、従業員の評価の基準も、コロナ以前と比べて変化するものではないと言えます」と、有本氏は解説する。
一方、従業員が成長を実感できる評価制度を、仕組みとしてきちんと整える重要性は今だからこそ高い。特にコロナの影響が長引き、従業員のモチベーションが低下しがちな中で、経営者や店長が心がけるべきこととして、有本氏は評価の頻度を増やすなど、より小まめな目配りを助言する。「評価というのは、従業員一人ひとりの良いところ、悪いところを見つけ、直接アプローチするものです。従業員にとっては、『この仕事を頑張って結果を出せば、評価はこのように上がる』という小刻みなステップを実感できることで、モチベーションが上がり、成長の後押しになります。そのためにも、きめ細かなコミュニケーションや、成長をより実感しやすい仕組みを整えることが重要になります」。
ただし、ここで「評価の頻度を増やすこと」を店長任せにすることはNG。実行する人としない人で差が生まれるケースが多いからだ。それを避けるためにも、「例えば1カ月に1回、スタッフ全員と必ず面談を行い、前回と比べて良くなったところを具体的にほめる」などのように、経営者が組織全体の仕組みとして決めることが大切だ。
評価の具体的な項目をどんなことにするか、どこにウエイトを置くかは、会社や組織・店によって異なってくる。コロナを機に、現在、評価制度の新設や見直しを検討しているのであれば、評価項目を策定する段階で、現場の従業員も巻き込んで率直な意見を出し合いながら進めていくとよいだろう。そうすることで、評価の項目や基準に対する従業員の納得感が高まり、教育とより連動した効果が得やすくなる。