2016/09/13 特集

もう怖くない! クレーム対応術(2ページ目)

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怒りを鎮める言葉のテクニック相手の話を聞くことを重視。謝罪・共感ワードを駆使して対応

クレーム対応でありがちなのが「申し訳ございません」の連発だ。クレームを受けてパニックになると、これしか言葉が思い浮かばないことがある。だが、「このフレーズしか出てこないと、相手の怒りの火に油を注ぐことになりかねません」と竹内氏は注意する。同じ謝罪ワードでも、バリエーションが肝心だ。例えば、「申し訳ございません」を、「お怒りはごもっともです」「ご指摘、深く受け止めます」「ご不便をおかけしております」などと、ほかのフレーズで言い換えることを推奨する。また、「私がお客様の立場でしたら、同じように感じると思います」のように、相手に共感していることが伝わる共感ワードを使うことも、怒りの鎮火に有効なテクニックだという。

ほかには、スピード感や信頼感を与える言葉もおすすめ。「すぐに○○いたします」「私が責任を持って承りますので、ご安心ください」などだ。

また、「お客様はとにかく話したい場合も多いので、怒りを吐き出してもらうことが効果的です。クレーム対応を10分間とすると、7分はお客様の話を聞き、残りの3分で解決策を示すぐらいの配分が理想」と解説する。

さらに、「炎上ワード」を避けることも重要だ。「炎上ワード」とは、「~けど」「~ですが」など反抗や批判の気持ちを連想させる言葉のほか、「たぶん」「一応」など不安を喚起するワード、「おわかりいただけましたか」など上から目線の言葉、「~になっています」などの杓子定規な言い方などを指す。これらは意識して使わないか、言い換えるようにしよう。「昨日発送しましたけど」は、「昨日発送しました」と言い切った方が、与える印象がいいのだ。

クレーム対応、これはNG!クレームにはプラスの表現で対応。1人で抱えず、店でルール化する

クレーム対応において、否定の表現はNG。肯定の表現に言い換える必要がある。例えば、「すぐに対応できない場合でも、正直に『すぐにはできません』と言ってしまうと、相手にとってマイナスのイメージ。一方、『少しお時間をいただいてよろしいでしょうか』であれば、プラスのイメージに転換できるでしょう」と竹内氏。ほかにも、メニューが売り切れてしまった場合など、「売り切れです」ではなく、「こちらならすぐにご用意できますが、いかがでしょうか?」と代案を示して肯定表現に換えることで、印象も売上も上がる。

また、クレームに対して、何でも「はい!」と安請け合いしてしまうのも、絶対に避けるべき。クレームとされるもののなかには、店に責任がないものもあるし、解決策として、客の要望に沿えない場合も少なくないからだ。特に新人スタッフの場合、客に「さっき頼んだ○○、まだ来ないよ。すぐ持ってきて!」と言われると、「はい! ただいま!」と言ってしまいがち。そのまま厨房に伝えると、「それより前の注文があって無理」と断られ、途方に暮れてしまうことがある。「こういうときは、『ただいま、お調べします』と伝え、いったん保留にし、わかる人に聞いたり、引き継いだりするのが正しい対応」と竹内氏。「こうした対応はとっさにはできません。あらかじめルール化し、新人も含めて店全体で共有しておくことが大切です」と力説する。

こうしたルールがないと、新人スタッフが客からのクレームを1人で抱え込み、接客業の楽しさを味わう前に、悩んで辞めてしまう危険性もあるのだ。大事なスタッフの退職リスクを避けるためにも、しっかりとルール化したい。

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