2016/09/13 特集

もう怖くない! クレーム対応術(5ページ目)

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クレーム⇒再来店につなげるためには?過去の事例を書き出して、適切な対応を研究し、ルール化して共有

最後に、クレームが再来店や店舗力のアップにつながること、そして、そのための取り組みを考えてみよう。

下図「グッドマンの法則による再購入率」を見てほしい。商品・サービスに不満を持った人のうち、クレームを言わなかった人の再購入率が10%なのに対し、クレームを言って対応に満足、かつ迅速に解決したと感じた人の再購入率は、82%にのぼるという。

「この法則は、飲食店にも必ず当てはまります。つまり、飲食店にクレームを言い、店の対応に満足したお客様は、高い確率で再来店するということです」と竹内氏。以前から、飲食店の間では不満を持ってもクレームを言わず、二度と来店しないという、いわゆる「サイレントクレーマー」の多さが指摘されている。「だからこそ、なおさらクレームを言ってくれた人には、感謝の気持ちで万全の対応を行い、再来店はもちろん、店のファンになってもらうという意気込みが必要」と竹内氏。クレームは、店への期待の表れでもあることを、肝に銘じておきたい。

では、再来店につながる、満足度の高いクレーム対応をするためには、どうすればいいのだろうか。竹内氏は、「『初期対応の3ステップ』(「クレーム対応の基本」参照)を、新人を含めた全スタッフに徹底するとともに、これまで店に寄せられたクレームを書き出し、ケースごとに対策を立てること」を提案する。特に、年末の繁忙期を控えたこの時期は、昨年の忘年会・新年会シーズンを振り返り、実際にあった来店客からのクレームを整理する作業に取り組みたい。

書き出したクレームの中に、事前に防止できる事案があれば、すぐに改善策を考えて実践し、店舗力のアップを図る。同時に、想定されるクレームに対してそれぞれ対応策を決め、スタッフ全員で共有。また、クレーム対応のロールプレイングを行ったり、責任者・担当者を決めておくほか、スタッフのコミュニケーションタイプ(「クレーム対応の基本」参照)を確認し、客のタイプ別に応対する担当者を決めておくのも一案。ちなみに、客と同タイプのスタッフが適任だ。

さらに、「クレームをいただいたお客様に改善内容をフィードバックできると、よりファン獲得につながりやすい」と竹内氏。実情に合わせて、様々なクレーム対応を考えておきたい。

Exercise 例題にチャレンジ!

Q1.隣のテーブルがうるさいので、「注意してほしい」とお客様に言われました。どう対応するのが正しいでしょうか?

A.謝罪のうえ、満席なのでやむを得ない旨を説明し、納得してもらう
B.うるさいお客さんに直接、注意をしに行く
C.「店長に相談します」と伝える
D.「席が空いたら移動させていただきます」と伝え、我慢してもらう

店と客が歩み寄った解決策がD。AとCはクレームの原因に触れていないが、新人スタッフならCも○。Bは解決する保障がない。

Q2.サラダを半分食べたお客さんに、「プラスチック片が入っていた」と言われました。どう対応するのが正しいでしょうか?

A.丁重に謝罪。まず、交換を提案する
B.丁重に謝罪。まず、お客さんの要望をうかがう
C.丁重に謝罪。まず、お客さんの体を気遣う
D.丁重に謝罪。まず、責任者を呼んでくると伝える

飲食店としては、まず客に健康被害がないかどうかを気遣うべき。そのあとで、要望を聞き、商品を交換し、責任者が謝罪をする。

Q3.「このグラスワイン、3分の1しか入ってないけど!」と言われました。どう対応するのが正しいでしょうか?

A.「あ、はい・・・」と口ごもる
B.「当店のグラスワインは、この量にさせていただいております」と答える
C.「確認してきます」と言う
D.「少なかったでしょうか?」と聞く

店のルールは、毅然として貫くことも大切。主観的な要求を受け入れるような態度や、すり寄るような気配を見せるべきではない。

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