2016/09/13 特集

もう怖くない! クレーム対応術(4ページ目)

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近年増えているクレームの特徴目立つのは「小銭要求型」。シニア世代のクレームも増加傾向

最近、増えているクレームの傾向として、竹内氏は「小銭要求型」を挙げる。あからさまに金品を要求するのではなく、「誠意を見せてくれれば」などの婉曲な言い回しで、要求をほのめかす例が増えているというのだ。

こうした「小銭要求型」クレームに対しては、「過度な要求でなければ、お客様の〝納得要因〟として応じてもいいいでしょう」と竹内氏。飲食店の場合は、次の来店時に使える割引券やクーポン、ポイントカードのスタンプ全押しなどの特典を提供するのもあり。再来店につながり、店側も納得できる着地点と考えてもいいだろう。

一方、クレームを申し立てる層として増えているのが、「お金と時間に余裕があるシニア世代」だという。「クレームの内容も、人生経験や知識に裏付けられていることがあり、傾聴すべきことが含まれていることも少なくありません」と竹内氏。こうした例には、特に真摯な対応を心がけたい。竹内氏は「『勉強になります』『今後の参考にします』といった言葉を交え、自尊心を満たしながら、気持ちよく話してもらうことが大切」と語る。また、話が長くなりがちなので、失礼にならないように切り上げるテクニックを知っておくと、スマートに対応ができる。例えば、「申し訳ありません。料理長に呼ばれてしまったので、また、ゆっくり聞かせてください」などと話を切るのも一案だ。長電話になりそうなときは、「つい聞き入ってしまいました。長時間、お時間を取らせてしまい、申し訳ありません」と言えば、シニア世代の気持ちを傷つけずに終了できる。こうした会話術の習得も目指してほしい。

悪質なクレームにはどう対応する?ルールを決めて組織として対応。弁護士との連携も視野に入れる

前にも述べたように、健全なクレームは店にもメリットがある。しかし、悪質なクレームには、断固とした対応が必要だ。竹内氏は「企業(担当者)が、真摯な態度で繰り返し説明や提案をしても納得せず、企業の賠償責任の範囲を超えた不当な要求をする人々」を、“クレーマー”と定義する。

「クレーマーは、クレームの解決策に納得できないときに発生しやすいもの」と竹内氏。自分が被った不快な思いや不便に対し、商品の弁償のほかに、“プラスアルファ”を求めることがある。

「店としては、客が納得する解決策を示して、クレーマーになる引き金を作らないことが、まずは大切。また、悪質なクレーマーが最終的に狙うのはお金です。『誠意』と言われた場合も、1万円包めば納得するだろうと早合点せず、何を要望しているのかはっきりさせる。そして、責任範囲を超えた要求であれば、毅然とNOを伝えていくことが大切です」と力説する。

例えば、店の担当者を変えながら、真摯な態度で3回繰り返し説明や提案をしても不当な要求を止めない場合は、「当店としてはこれ以外のお答えはできません」などと文書で回答し、場合によっては「弁護士との連携を始めます」と通告する。こうした断固たる対応をあらかじめルール化し、突然の来襲に備えておくと安心だ。また、必ず情報を店全体で共有し、個人ではなく組織として対峙することも重要。「金品の取得が目的のクレーマーは、長期戦を嫌います。こちらが要求に応じないとわかると、諦めるケースも少なくありません」と竹内氏。クレーマーを恐れず、侮らず、冷静に対処したい。

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