「羊の焼き餃子」
海外からの旅行客に人気の日本料理といえば、かつてはしゃぶしゃぶや天ぷらなどの高級料理が中心でしたが、近年はラーメンや牛丼など、庶民グルメの人気も高まっています。長くブームが続く餃子も、その一つ。とはいえ餡に豚肉を使用する餃子は、宗教上の理由で食べられない外国人も少なくありません。そんな中、これまでにないアプローチの餃子専門店が2025年5月にオープンし、早くも人気を集めているといいます。
今回は週末の酒場巡りが趣味というフードライター・桑原 恵美子さんが、豚肉を使わない餃子専門店「HATSUMIMI 学芸大学」の「羊の焼き餃子」を紹介。外国人にも日本人にも愛される、ヘルシーでやさしい味わいの秘密を探ります。
訪れた飲食店を紹介している個人ブログ:
https://ameblo.jp/amaguri0111/theme-10066247104.html
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目次
・新グルメスポット「学大横丁」に、餃子専門店がオープン
・やさしい味わいの「鶏餃子」、クミン香る野性的な「羊餃子」
・ムスリムの人と地元の人が、同じ空間で食事ができる場所を
HATSUMIMI(ハツミミ)学芸大学(東京・鷹番)
HATSUMIMI 学芸大学
業態: 餃子専門店
席数: カウンター5席、テーブル14席
客単価:昼1,000円、夜3,000円
客層:30~50代 男女比5:5
インバウンド:3割を占め増加傾向
アクセス:東急東横線学芸大学駅から徒歩3分
営業時間: 12:00~16:00、18:00~22:00
定休日:火曜日
https://www.instagram.com/hatsumimi_gakudai.sta/
新グルメスポット「学大横丁」に、餃子専門店がオープン
学芸大学といえば、実力派のニューウェイブ居酒屋が妍(けん)を競う激戦区として知られていますが、「HATSUMIMI 学芸大学」(以下「HATSUMIMI」)がオープンしたのは、駅の高架下に位置する「学大横丁」。2023年頃からのリニューアルによって、活気あふれる刺激的な街へと進化を遂げ、注目を集めるエリアです。
そんな「学大横丁」の祐天寺駅寄りに、2025年5月1日、新たにオープンしたのが「HATSUMIMI 学芸大学」です。
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エントランスは、オシャレで開放的な雰囲気 -
入り口右下の壁に「No Pork」のマーク
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爽やかなブルーがアクセントの明るい店内。通りに面した全面ガラスから中の様子が見えるので、初めてでも気軽に立ち寄れる -
女性が一人でも気軽に入れるように、カウンター席も設けている
私が初めてこの店を見かけたのは、オープン直後の5月初旬。和食店が多いこの通りには珍しいカフェのようなオシャレでオープンな雰囲気と、「No Pork」という謎のワードに目が釘付けになったのです。貼られているメニューを見ると明らかに餃子専門店なのに「なぜ”No Pork”?」と気になって帰宅後調べてみました。そこでこのお店が宗教で豚肉を禁じられているムスリム(イスラム教信者)も食べられる餃子を提供していることを知ったのです。
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ランチタイムには3種類の餃子定食を提供。ランチ営業をしている店が少ない学芸大学で着実にファンを増やしている -
夜は居酒屋として餃子メニューを中心に展開
やさしい味わいの「鶏餃子」、クミン香る野性的な「羊餃子」
餃子といえば豚肉、という固定観念があったので少々不安でしたが、最初のひとくちでたちまちファンになったのが、「羊の焼き餃子」でした。
肉汁が皮に染み出て焦げ目となっている、一見ワイルドなビジュアルですが、それがまたなんとも食欲をそそります。そして食べた瞬間、体の奥が目覚めるようなおいしさにびっくり。野性的なクセの先に広がる羊肉のうま味、ほんのり体が温まるようなエキゾチックな香り…。聞けば、餡に羊肉と野菜のほかにクミンパウダーが入っているうえに、焼く前には油にクミンシードを散らし、油にクミンの香りを移しながら焼き上げているのだとか。餡と皮、ダブルのクミン使いで、なんだかワインが欲しくなるような、うっとりする複雑な味わいに仕上がっています。
もう一つのおすすめは、「羊の焼き餃子」とは対照的な魅力を持つ「鶏の焼き餃子」。がぶりと噛むと、たっぷりの野菜の水分と鶏の肉汁が溶け合い、うま味が口いっぱいに広がります。豚肉の餃子と違って鶏肉には脂が少なく、ラードも使用していないので、軽くて、何個でもすいすい食べられます。「体にやさしい」という表現がぴったりの味わいの餃子なのです。
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ムスリムの人と地元の人が、同じ空間で食事ができる場所を
店長の中井 裕さんは、大手飲食チェーンの運営会社勤務を経て、自身の会社・株式会社FOOD&CITIを設立。きっかけは前職でアジア各国に出張した時、ムスリム(イスラム教の人)とそうでない人が、同じ店で飲食を楽しんでいるシーンをよく見かけたことでした。「シンガポールのフードコートでは、お盆の色によってムスリム向けのハラール食とそれ以外が一目でわかるようになっていました。日本は観光大国と言われている一方で、そうした取り組みがあまり広がっていないことに気づかされました」(中井さん)。
当初は来日するムスリムをターゲットに、観光客の多いエリアに出店することも考えました。「でも、自分が海外旅行にいっても、入りたいのは観光客向けの店ではなく、地元の人に愛されている店ですよね。自分がやりたいのは、地元に根ざしながらムスリムの人も安心して入れる店だと気づき、観光地ではないけれど人の流れが多く活気のある学芸大学に出店することにしたんです」(中井さん)。
アルコールは不可などハラール認証には厳格なルールがあり、全てに対応すると普通の人が利用しにくい業態になってしまうため、お店自体はハラール認証を受けていません。でも使う食材はハラール認証を受けたものや、豚や豚由来、アルコール成分が入っていないものを厳選。「確認したいといわれれば、すべて自信を持ってお見せできます」と中井さんは胸を張ります。
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ムスリムの方に提供する餃子には、ドバイへの輸出実績もある、アルコール無添加の冷凍餃子の皮を使用 -
テーブルに置かれているラー油は自家製、しょうゆや酢はハラール認証を取得した高品質な調味料。一般的な餃子店ではなかなか使われない、ワンランク上のもの
実は中井さんは以前、移民感情が極度に悪化していた時期にフランスに住んでいたことがあり、その時は通りがかりの現地の人から瓶を投げつけられるというショッキングな体験があったとか…。「日本も今後、アジアからの移住者が増えるのは確実です。そのとき排斥ではなく、異なる国や文化の人たちが同じ空間で食事を楽しめる社会であってほしい。この店でできることはまだ小さな一歩かもしれませんが、まずはここを成功させて、ほかの飲食店にも『こういう形が実現できるんだ』と感じてもらえるようなモデルケースになれたらうれしいですね」(中井さん)。
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餃子の合いの手にぴったりの「季節野菜の蒸しもの」(880円)は、唐辛子やニンニクといっしょに炒めたパン粉と、山椒塩でいただく -
パン粉は餃子のトッピングにするのもおすすめ
地元の人と外国人の比率は7対3で、外国人の3割ほどがムスリムの方といいますから、宗教に関係なく純粋にこの店の餃子を味わいに来ている方も多いということでしょう。おいしくてユニークでヘルシーな餃子をもっと多くの人が知り、中井さんが願う世界が実現することを心から願っています。
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