繁盛の法則 3カ条
- 豚肉が95%を占める、肉の味わいを強調した餃子を開発
- 餃子の皮も具も毎日店内で作り、焼きたてで提供
- 総菜や卓上調味料の選択で変化を楽しめる
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ランチ需要の多い立地を選び、細やかな工夫で常連客を獲得
具の95%が豚肉という「餃子の肉太郎」の餃子は、皮も具材も店内で毎日作り、包みたて、焼きたてで提供している。2025年5月17日のオープン以来、ここにしかない肉の味わいが際立つ餃子を求めて、連日行列ができる注目店となっている。
餃子は1種類で、主力商品は「餃子定食(餃子6個)」(950円)、「餃子1.5倍定食(餃子9個)」(1,250円)、「W餃子定食(餃子12個)」(1,550円)と、シンプルに絞り込まれている。これらの定食には炊きたてのご飯、小鉢入りの総菜1品目、スープが付く。
この餃子定食には、神田・神保町というランチ需要の多い立地に合わせた、細かな工夫が加えられている。まず、餃子の具にはニラを加えているが、ニンニクは入れずに、オフィス街の昼食として敬遠されないようにし、別売りで「特製ニンニク」(50円)を用意している。味つけもあっさりした塩味で豚肉のうま味を引き出しながら、卓上に用意したしょう油、酢、中国黒酢、自家製ラー油2種、コショウ、ユカリなどで、好みのアレンジができるようにしている。また、1度に提供する餃子は6個までで、餃子9個や12個の定食の場合は、食べ終わる頃を見計らって残りの個数を焼き、アツアツの状態で提供する。
総菜は、あらかじめフタつきの小鉢に入れて食券機横の冷蔵庫内に並べておき、お客様にセルフサービスで取ってもらう。週に数回来店するリピーターに飽きられないように常時5種ほどを用意し、季節に合わせて順次変えている。
ご飯は、もちもち感とシャッキリ感のバランスがいい千葉県オリジナル品種の「ふさこがね」を使用し、羽釜を使って20分おきに炊き上げている。当初は2~3升を1度に炊いていたが、ピーク時のご飯の必要量を計算し、6合ずつこまめに炊き、常時炊きたてで提供するようにした。また、ご飯の1杯めは130gと軽めに盛り、お代わり1杯は無料とし、小盛りから200gほどの大盛りまで対応している。小食な女性客から大食漢まで満足してもらうことができ、ご飯を残されることもほとんどない。
このような工夫から、肉餃子専門店としては女性の比率が約4割と高く、12坪20席の店舗で1日平均200人前後を誘引している。客単価は1,300円で、平均月商600万円を上げている。
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料理ブログで注目され、飲食店経営に進出
経営元は株式会社マジでうまいで、代表取締役社長の東山 広樹 氏は、同店の経営のほか、インフルエンサーとしても活動しており、Xのフォロワー数が7万人を超える。その他にも料理ブログ「Cooking×Maniac」の運営、レシピ開発コンサルタントなどで、多忙な日々を送っている。
東山氏は1986年埼玉県出身で、中学生の頃から料理に関心を持つようになり、東京農業大学醸造科学科に進んで食品を始めとする発酵について学んだ。しかし、料理人の世界の厳しさと、エリートサラリーマンへのあこがれから、卒業後は大手人材派遣会社に就職し、2011年から2014年10月まで勤務した。
やはり料理のほうに進みたいという気持ちが強くなった東山氏は、プロの料理人向けの書籍や雑誌を出版している株式会社柴田書店の編集者募集の求人を見つけて応募し、100倍近い倍率の中で採用された。2014年11月に入社し、まず宿泊関係の雑誌の編集部に配属された。もともとの希望とは違う部署だったが、同社の料理本が読み放題という環境にあったため、料理に関する知識を猛然と吸収していった。そのインプット量が多大だったため、アウトプットする場を求めて始めたのがブログだった。そのブログが早々に評判となり、友人からも「転職したの? ブログもすごいじゃないか」と連絡が来るようになった。東山氏としても「いつか自分で飲食店を開業したい」という思いが強くなり、友人も「資金面なら援助するから、すぐに出版社を辞めて、飲食店で働こう」と後押ししてくれた。そこで2015年8月に柴田書店を辞め、開業準備を経て、2016年8月に東京・蔵前に12坪10席の汁なし担々麺専門店「タンタンタイガー」をオープンした。月商400万円を上げる繁盛店となり、2018年4月には中野店もオープンした。
その後、この2店舗を事業譲渡し、2024年3月まで飲食企業で働いた東山氏は、満を持して2024年4月にマジでうまいを設立し、その1号店として餃子専門店の出店を目指した。
「私はいろいろな業態をやっていきたいと考えていますが、情熱を持てるものをつくりたいですね。特に自社の初事業としては、自分が本気になれる業態にしたいと、以前から大好きな餃子にしたのです」と東山氏は語る。その際、モデルとしたのは、コロナ禍前に初めて中国・四川を訪ねたときに食べた肉まんだった。具材は肉と葉ニンニクだけ、味付けは塩だけという肉まんの味わいが印象に残り、その餃子版を作れないかと、タンタンタイガーを運営していた頃から試作を始めていた。試行錯誤を繰り返しながら、脂身の少ない豚の腕肉と背脂とを理想とする割合で混ぜ、食べ応えのある具とバランスが取れるように厚みのある手作りの皮で包んだ、現在の餃子の形ができ上がっていった。実はオープン後、300回以上レシピを改良しており、さらなるブラッシュアップに努めている。
同店が独自の餃子の専門店として、周辺のオフィス街からコンスタントに誘客している要因は、以下のようになるだろう。
- 具は豚肉が95%という、肉の味わいを強調した独特の餃子を開発している。
- 餃子の皮も具も毎日店内で作り、焼きたてで提供している。
- 主力商品は餃子定食に絞りながら、総菜や卓上調味料で変化を楽しめるようにしている。
「餃子の肉太郎に関しては、多店舗展開よりも現店舗の価値を高めていき、神保町にずっと残る老舗にしていきたいです。また、マジでうまいという社名は、キャッチーな印象はあるのですが、少なくとも私が、これはマジでうまいですと自信を持てるものだけ世の中に出すという理念を掲げて名づけたものです。とはいえ、その理念を貫き通すのは、実際には本当に大変で、強い覚悟がいるものです。重い責任を伴った社名だなと思っています」と、東山氏は述べている。
(Text and shop photo by Food Biz, )
住所
東京都千代田区神田神保町1-40-1 JLBグランエクリュ神保町 1F
営業時間
11:00~14:00、18:00~21:30
定休日
無休
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