福井「蟹と海鮮ぼんた」を繁盛に導いたメニュー&空間設計

JR福井駅のショッピングセンターに店を構える「蟹と海鮮ぼんた」が好調だ。周囲に夏場にカニを提供する店が少ない中、紅ズワイガニなどのカニ料理を通年提供。ノドグロや若狭(わかさ)牛、福井の地酒も網羅し、観光客から地元客まで魅了している。坪月商70万円を叩き出す、個室設計やメニュー・ドリンク戦略を紹介する。

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「1年中カニを楽しめる店」で差別化し、坪月商70万円

2024年3月、JR線福井駅のショッピングセンター「くるふ福井駅」の開業に合わせて、同施設の飲食エリアにオープンした「蟹と海鮮ぼんた」。

運営するのは、福井市内を中心に13店舗の飲食店を展開する株式会社ぼんた。「福井に行けばいつでもカニを食べられると期待して観光客の方は多いですが、特産の越前ガニを味わえるのは、漁期の11月上旬から3月下旬のみ。地元では『カニは冬に食べるもの』という意識が強いので、カニを通年提供する店はほとんどありませんでした。カニを食べたい人がいるのに店がないのは大きな機会損失だと考え、通年カニを提供する業態を開発しました」と、代表取締役の齋藤 敏幸 氏は語る。

40坪の店内に全80席を備え、福井ならではの海鮮料理と地酒を提供。10時30分からの通し営業でランチのほか、昼飲み、宴会など幅広いニーズに対応している。越前ガニのシーズンは坪月商70万円、ローシーズンでも同40万円を維持するなど、高い集客力を誇っている。

【店舗Data】 
蟹と海鮮ぼんた
業態:かに料理
座席:80席(テーブル、個室、カウンター)
客単価:昼2,500円、夜7,000円
客層:地元住民、国内外からの観光客
住  所:福井県福井市中央1-1-25
アクセス:福井駅より徒歩1分
営業時間:10:30~23:00
定休日 :無休
https://bonta.co.jp/kurufu/
https://r.gnavi.co.jp/hujeyxdp0000/

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繁盛へと導いた、3つのポイント

目次
【POINT1】「カニを楽しむ」から逆算した個室空間
【POINT2】カニを通年提供&福井の食材・名物もアピール
【POINT3】集客と収益を支える福井の地酒

【POINT1】「カニを楽しむ」から逆算した個室空間

福井では個室で落ち着いて食事を楽しみたいというニーズが高い。間仕切りは可動式で、人数に応じた空間作りが可能

カニを看板料理としていることから、店内レイアウトも「カニを楽しめる空間」にこだわっている。「カニを食べる時は、どうしても殻などが散らかってしまうので、周りの目を気にする方が多いです。そこで、間仕切りを開閉することで少人数から最大60人まで対応できる個室を用意しました」と齋藤氏は語る。個室以外にもテーブル席やカウンターを用意しており、一人客も利用しやすい。

駅ナカという好立地にあることと、福井駅周辺に大箱の飲食店が少ないことから、イベントやセミナーの打ち上げといった団体利用も多い。カニをゆっくり楽しみたい観光客から大人数での宴会まで、利用シーンに合わせてアレンジできる空間設計が強みとなっている。

  • テーブル席は17席。施設通路に面しているため、にぎわいの演出にも一役買っている
  • 出張のビジネス層が多く利用するカウンター席。ふらりと立ち寄れる気楽さも、この店の魅力だ
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【POINT2】カニを通年提供&福井の食材・名物もアピール

通年提供される「越前産紅ズワイガニタグ付き一杯」(4,400円~)はズワイガニに比べて甘みが強く、身はジューシー。外国人観光客からの人気も高い

カニの仕入れについては、「おいしさにこだわるなら生に限る」と齋藤氏は断言。福井県の越前港で通年水揚げされる紅ズワイガニを筆頭に、毛ガニ、オオズワイガニなど吟味したカニを県内外から仕入れ、ゆでガニやカニクリームコロッケなど多彩な料理を提供。「越前産紅ズワイガニは単品(茹で)で1杯4,400円~と手ごろな価格を設定しています。いつでも福井のカニを楽しんでいただけるよう準備しています」(齋藤氏)。客単価は、昼2,500円、夜7,000円だが、冬限定の越前ガニを風物詩として楽しみに来店する人も多く、客単価が5万円を超えるケースも珍しくないという。

季節メニュー、日替わりの黒板メニューも含めて約90種類をラインナップ。地酒とともに味わいたい料理をそろえる

約70種類のグランドメニューには、カニ料理のほか「熟成ノドグロの炙り」(3,190円)や「海鮮日本海サラダ」(1,430円)、「若狭牛のステーキ」(3,080円)など県外客の目を引く料理がそろう。昼限定の「福井名物御膳」(2,200円)は、ご当地グルメのソースカツや厚揚げなど「福井づくし」を楽しめるとあり一番人気のメニューだ。

  • 脂がのったノドグロをふっくらと香ばしく焼き上げた「熟成ノドグロの炙り」(3,190円)
  • 福井県のブランド牛「若狭牛のステーキ」(3,080円)は、やわらかな肉質で、うま味が口いっぱいに広がる
  • 旬の地魚と地元の野菜に、福井特産のとろろ昆布をトッピングした「海鮮日本海サラダ」(1,430円)
  • 福井県民のソウルフード「福そばのおろし蕎麦」(990円)は締めの一品として好評だ
セイコガニ(雌ズワイガニ)や厚揚げなど、福井の食材をふんだんに盛り込んだ「福井名物御膳」(2,200円)。米や味噌も福井県産を使い、郷土の味を存分に楽しめる

コース料理は3,850円から予算に合わせて用意。地元客の女子会や歓送迎会などに加え、県外ゲストの接待に選ばれることも多い。「県外客の福井産食材へのニーズは高いですね。良い食材の仕入れにはコストがかかりますが、手をかけて付加価値を高め、価格以上の満足感を提供するようにしています」(齋藤氏)。

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【POINT3】集客と収益を支える福井の地酒

(右)「黒龍 大吟醸 龍」(1,200円/半合) (中)永平寺町の田邊酒造とコラボした「ぼんた×越前岬 槽搾り純米吟醸 かがやき」(495円/半合) (左)季節限定の夏酒「常山 純米吟醸 玄達」(950円/半合)

良質な米や水に恵まれた福井は、全国有数の酒どころとしても知られる。「黒龍(こくりゅう)」「常山(じょうざん)」など海鮮料理と相性の良い銘柄をそろえるほか、酒蔵と協力して仕込んだオリジナル日本酒「ぼんた×越前岬 槽搾り純米吟醸 かがやき」(495円/90cc)も、ここでしか味わえない一杯として人気が高い。新たな地酒との出合いを広げる「季節の日本酒飲み比べセット」(990円)も好評だ。

「駅ナカ立地で県外客が多いこともあり、地酒の注文数はグループ郊外店の約2倍になっています」と齋藤氏。ドリンク比率の高さは粗利の確保と生産性向上に直結し、売上の安定に大きく寄与している。

SNS発信や口コミなどの効果もあり、閑散期でも売上は昨対140%と伸び続けている。「この成長を維持しながら地域の食文化を、持続可能な形で未来につなぐ事業にも取り組みたいです」(齋藤氏)。小規模飲食店の開業支援など、すでに動き始めたプロジェクトもある。「福井の食を守り育て、地域とともに成長を続けます」と齋藤氏は語る。

株式会社ぼんた代表取締役 齋藤 敏幸 氏
アパレルで起業し、2004年に飲食業に参入。「個室居酒屋ぼんた本店」「旬彩肉焼居酒屋ぼんた」など、幅広いジャンルの飲食店を展開。FM福井にてラジオ番組「おしゃべり居酒屋ぼんた」のパーソナリティーも務めている。

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