2013/01/15 特集

売上アップや信頼関係構築に貢献!お店のファンを作るテイクアウト

「レストランの味」を店の外でも楽しめるのがテイクアウトの魅力。イメージアップや信頼度アップなど、売上向上以外にも様々なメリットがある。テイクアウトがお店のアピールに貢献している3店舗をご紹介!

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「レストランの味」を店の外でも楽しめるのがテイクアウトの魅力。業態や店の特徴によってテイクアウト商品の内容は千差万別だが、イメージアップや信頼度アップなど、売上向上以外にも様々なメリットがある。テイクアウトがお店のアピールに貢献している3 店舗に、その話をうかがった。

名物料理をテイクアウト商品に!商品力で立地条件を克服

【広島・南区】うえ乃寿司

磯穴子 ¥1,260広島県や長崎県・対馬産の天然アナゴを使った「磯穴子」。九州有明産の海苔や、広島県産コシヒカリなど、上質な素材にこだわっている

職人技が光る「磯穴子」で年間通じて需要を喚起

「テイクアウト商品は、当店しか出せない味であるとともに、年間を通して提供できることが大事です」と語るのは、うえ乃寿し代表者の上野谷 正一氏。1974年に26歳で独立起業し、最初に考えついたのが、同店でロングセラーとなっている「磯穴子」だ。今では来店客の約8割が注文し、店の代名詞になっている。「オープン当時は資金的に繁華街での出店が難しかったので、住宅地を開拓せざるを得ませんでした。立地条件を克服するためには、遠方からもお客様を呼べる名物料理の開発が必須だと考えたのです」と振り返る。

試作段階では鯖寿司など、いくつかの候補も出たが、最終的には広島名産のアナゴを素材に選択。あぶったヒラメの中骨で風味をつけた自家製タレを使って、ふっくらと炊き上げた煮アナゴと手すきのおぼろ昆布やシソを一緒に巻き、型押しの太巻きに仕上げていった。

「アナゴは寿司ダネにするにも、特に手間がかかる素材です。それだけに、技術や創意工夫が求められ、店の高い評価につながると考えました」。

作り置きは一切せず、注文が入ってから煮アナゴをあぶって一つひとつを手作りし、できたてを提供。型押しの際にも柔らかな食感を失わないよう、細心の注意を払う。自家製のタレと煮アナゴ作りは上野谷氏が自ら腕を振るい、煮アナゴをあぶり、型押しするのは弟子たちが行う。手際のよい分業で、大量の注文にも応え、週末には店内・テイクアウト合わせて1日に平均50~60本が出るという。

「磯穴子」が評判になるにつれ、来店客がお土産として購入することが増加。それであれば、もらった人にも来店してもらいたいと、容器である折のふたに、商品名・店名・連絡先を明記した専用の包材を準備した。「磯穴子はある程度時間が経ってもおいしく食べれる商品ですが、冷やすと固くなるため、保冷剤はあえてつけず、お渡しの際には『必ず24時間以内に召し上がってください』と、お声がけをしています」。

ぐるなびの店舗ページや公式ホームページでも「磯穴子」をアピール。テイクアウトを通じて、再来店と新規客の獲得、店の認知度アップに成功した。いつでも提供できることで、自宅用や接待時のお土産、進物用のほか、祝い事や花見など、年間を通して注文が入り、安定した売上を獲得している。「わさびを入れず、甘辛く仕上げているので、お子様からご年配の方まで、幅広く好まれています。お客様から『磯穴子をお土産に持っていくと必ず喜ばれます』というお言葉をいただけるのもうれしいですね」と上野谷氏。

さらに同店では、生寿司や磯穴子のほか、自家製ポン酢を添えた「カワハギの生ちり」のセットなどもテイクアウト商品として提供。職人技が光るうす造りは見た目にも美しく、自宅用にも進物用にも好評を得ている。

「磯穴子だけでなく、どの商品にも技と手間を惜しまず、常に印象に残る店づくりを意識しています」と上野谷氏。「お子様のお祝い事などで当店を利用される際には、季節の花や鯉などを模した〝細工寿司〟をサービスで提供することがあり、ファミリーのお客様には大変喜ばれています。今後は、こういったサービスにも積極的に取り組み、地域の皆さまに愛される店にしていきたいですね」と、さらなる発展を目指している。

お土産や進物先でも認知度を高めるため、包材には商品名や店名を記載。写真は2人前(¥2,520)
注文が入ってから、煮アナゴをあぶって手作り。ふっくらした、できたてを提供する
固くなりすぎないよう、型押しにも気を配る。手際のよい分業で仕込んでいく
祝いの席では、季節の細工寿司を無料で提供することも。客の歓声を引き出すサービスに
年末には、巻き寿司のテイクアウトをアピール。なかでも、「磯穴子」は毎年大人気
代表者
上野谷正一氏広島市出身。大阪の寿司店での修業を経て、23 歳で広島市内の日本料理店に勤務し、寿司部門の責任者に抜擢された。26歳で独立起業。創業時考案した名物の「磯穴子」は地域の客のみならず、県外客からの評価も高い。
うえ乃寿し
広島県広島市南区仁保新町1-5-10
http://r.gnavi.co.jp/y018600/1974年9月創業。広島駅から車で約10分の住宅街に立地。カウンターや半個室のほか、最大12名の宴会に対応する座敷を備え、ファミリーからビジネス層まで幅広く集客。観光ツアーの昼食でも利用が多い。

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