業態変更が成功し客単価が1.8倍近くアップ!
東京・月島駅から徒歩2分の「くいものや 美酒処」は、月島を中心に「食堂酒場toco」など6店舗を運営する株式会社MC LINKの2番目の店舗。2019年12月の開業時はおばんざいと日本酒をメインにした居酒屋だったが、コロナ禍を経て、2022年に創作料理とワインを楽しめるビストロにリニューアルした。
その理由を代表取締役の遠藤 靖史 氏は「目的来店を増やし、客単価を上げるため」と語る。狙いは当たり、客単価が4,500円から7,000~8,000円に大幅上昇。11坪20席で平均月商260万円、多い月は320万円と安定して高い売上をキープしている。
主な客層は20代後半~60代のカップルや近隣に勤める会社員で、休日はもんじゃを目当てに月島を訪れた日本人観光客も加わる。1人当たりの滞在時間が長くなったことで客数は減ったが、「以前より営業時間や営業日を短縮しても売上が維持でき、スタッフの負担が軽くなりました」と遠藤氏は話す。
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くいものや 美酒処(びすとこ)
業態:創作居酒屋
席数:22席(テーブル席、カウンター席)
客単価平均:7,000~8,000円
客層:20代後半~60代のカップル、ビジネス層、観光客
アクセス:都営大江戸線月島駅 徒歩2分
営業時間:16:30~23:30
定休日 :不定休
https://r.gnavi.co.jp/stadc3zw0000/
https://www.instagram.com/tsukishima_bisutoco/
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繁盛へと導いた、2つのポイント
【POINT1:メニュー】旬を意識したビストロ風の創作料理
【POINT2:ドリンク】料理に合うワインをソムリエが丁寧に提案
【POINT1:メニュー】旬を意識したビストロ風の創作料理
リニューアルを決断したのは、2020年5月に入社したシェフの石井 まどか 氏と、ソムリエで店長の稲毛 麻衣子 氏の存在が大きい。ホテルのレストランで腕を振るっていた石井氏は、イタリアンやフレンチなどの洋食に精通。そこに開業当時の和のエッセンスを取り入れ、旬の食材を使った創作料理を提供している。
フードは常時50種程度を用意し、そのうち約3分の2が「季節の創作料理」として月2回入れ替わる。「ずっと同じものを出すより作りがいがありますし、飽きずに通っていただけるようメニューを入れ替えています」と石井氏は話す。
約9割が注文するという「季節のお料理5品盛り」(2,800円)は単品メニューにない料理も2~3種盛り込み、必ず肉、魚、野菜料理が入るように構成。人気の「津軽鴨のロースト」(1,980円)は赤ワインとわさびのソースと季節のソースから選べるようにし、季節のソースはフルーツや根菜など旬の食材を使って毎回替えている。こうした常連客も飽きさせない工夫と独創的なメニューの数々が来店客を惹きつけている。
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「本日の“漬け”4点盛り」(900円)。赤玉ねぎのマリネ、レンコンの梅酢マリネなど、それぞれ酸味のテイストが異なるマリネを盛り合わせている。食事の合間の口直しや締めに注文する人が多い -
女性人気の高い「季節のフルーツとブラータチーズのカプレーゼ」(1,200円)。この日はナガノパープル(黒ブドウの品種)と洋梨で、塩胡椒で味付け
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「津軽鴨のロースト」(1,980円)。何種類かの鴨肉で試作を重ね、クセがなく、カモが苦手な人も食べやすい津軽鴨を使用している -
「鯛のパイ包み焼き-魚介出汁と玉葱のソース-」(1,480円)。「季節の創作料理」の一つだったが、好評によりグランドメニュー化。魚介ダシを使ったソースが鯛に合う
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【POINT2:ドリンク】料理に合うワインをソムリエが丁寧に提案
店長の稲毛氏は株式会社MC LINKの1号店であるワインバルに勤務したあと、他業界を経て2020年4月に再入社。翌年、ソムリエの資格を取得した。ワインメニューはボトル70~80種、グラス20種の計100種近くを用意するが、すべて稲毛氏によるセレクト。産地やテイストは限定せず幅広くそろえ、日本ワインも積極的に取り入れている。
頻繁に入れ替わることからワインリストはなく、稲毛氏が各テーブルに提案するスタイルが大きな特徴だ。「お客様の好みを伺ってご提案しています。ワインと料理がセットでおいしかったと思っていただきたいので、ご注文された料理と合うことも重要な要素です」(稲毛氏)。お任せでペアリングを楽しめる「美酒処堪能マリアージュコース」(5,000円、食事のみ)も好評で、客単価は1万2,000~1万5,000円に達している。
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ワインはグラス約20種1,000~1,400円程度、ボトル70~80種6,000~10,000円程度。写真はカリフォルニア産「バウンド・アレキサンダー・ヴァレー・カベルネ・ソーヴィニヨン」(左)と山梨産「甲州 きいろ香」(右) -
ワイングラスにもこだわり、9種を用意。ワインのタイプによって使い分け、来店客の体験価値を高めている
もともとワインは苦手だったという稲毛氏。「だからこそ味わいや魅力をわかりやすく伝えたい」と言い、時間をかけて丁寧に説明と提案を行う。その姿勢がファンを生み、「ワイン好きに教えたくなる店」として口コミが広がり、集客につながっている。
今後は「属人化しすぎない店舗づくりが課題」と遠藤氏。2026年2月に勝どきでジビエとワインを主力にした新店舗をオープン予定で、「横展開できるよう仕組みづくりから始めていきたい」と意欲を見せる。同時に鹿肉の卸業を始めるほか、ワインコンサルティングに力を入れていき、飲食店運営以外にも事業を拡大していく考えだ。
稲毛氏は高校卒業後、演劇業界を目指していた時期や歯科クリニック勤務を経て株式会社MC LINKに入社。同店に勤務しながらソムリエ資格を取得し、ワインコンサルタントとしても活動する。石井氏は調理師専門学校で洋食を学び、ホテルのレストランやロティサリーチキン専門店に勤務。2020年5月より同店に入り、シェフとしてすべてのメニュー開発を手掛けている。
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