競合店を知る!
商圏内の同じ業態の店、それ以外の人気店の繁盛の秘訣を知れば、自分の店に足りないもの、さらに新たな客層も見えてくるはずだ。
競合店のいい点に注目し、自店の店づくりに活かす
商圏内のほかの飲食店の状況を知ることは、「敵を知る」という意味でも、「環境を知る」という意味でも、避けて通れない大切な課題だ。石田氏は「同じ業態の店はもちろんですが、業態は違っても繁盛している店には、ぜひ客として足を運び、チェックをするべきです」と呼びかける。
そのとき、「その店の悪いところにばかり注目しないこと」と、釘をさす。「飲食店経営者の目線で見ると、どうしてもダメな点に目がいってしまいがちです。でも、それでは自分の店がレベルアップするための、ヒントになる情報を見落としてしまいます」。なぜその店が繁盛しているのか、どんなところが魅力になっているのかを、客目線で探すことが大切なのだ。「よいところを見つけたら、自分の店に取り入れられないかを検討しましょう。そういったもののなかから、オリジナルを生み出していけばいいのです」(石田氏)。
では、どんなところを重点的に観察するべきなのか――。もっとも注目するべきは、やはり商品=料理だ。「繁盛している店のほとんどは、料理のコストパフォーマンスが高いもの。その点をしっかり見極めることが最初のポイント」と石田氏。同業態で客層も同じなら、コストパフォーマンスで見劣りすると、すぐに自店の集客に響いてしまう。他業態で客層が異なる場合も含めて、学ぶべき要素や、取り入れられるものがないかどうかを考える視点が大事だ。
一方、繁盛しているのに、料理のコストパフォーマンスはそう高くない店もある。そうした店の場合は、「ほかに繁盛の理由が必ずあるはず」と石田氏は言う。「例えば、誕生日・記念日のサプライズ演出がスゴイとか、リピーターに対する特典に特徴があることなども考えられます。仮に、サービスや演出が繁盛の理由の1つだとしたら、そうしたサービスを受けたいと思っている客層が、その商圏に一定数存在するということです。そこに注目しなければいけません」と石田氏。
もうひとつ、競合店視察の少し意外な着眼点として、石田氏は「器のチェック」を挙げる。「“食器は料理のきもの”と書いたのは、美食家として有名な北大路魯山人ですが、器にも気を配っている店が繁盛している場合も、そういった器のよさがわかる客層がいるということ」。料理だけでなく、空間や食文化に関心があり、それを店選びのポイントの1つにしている人たちが商圏にいることがわかるのだ。
つまり、競合店や繁盛店をリサーチすることは、商圏内の様々な客層を浮かび上がらせることにつながるのだ。「自分の店に来ていない客層や、そもそも今までいることに気がつかなかった客層を発見できる可能性があります」と石田氏は説明する。同業態の客層は、自店にも呼べるはず。また、業態が違う場合でも検討の余地はある。「そのときに気をつけなくてはいけないのは、客層を広げすぎて、今まであった店のよいところを薄めないようにすること。現在の客層を確保したまま、プラスアルファの客層に対し、ピンポイントでアプローチすることです」(石田氏)。競合店から学びつつ、独自性を出していくことが大切だ。
競合店調査はココを見る!
同エリアの繁盛店と同業態を見る
自店と同じ商圏にある同じ業態の店はもちろん、業態は違っても、繁盛している人気店をリサーチすることの意義は大きい。繁盛している店には、料理のコストパフォーマンスが高い、もしくは人気のサービスやサプライズ演出があるなど、繁盛するワケが必ずあるはず。
客目線で見る
競合店をリサーチするときにやってしまいがちな失敗が、「経営者の目」や「コンサルタントの目」で見てしまうこと。その店の弱点を見つけて、「自分の店のほうがいい店だ」と安心することに意味はない。あくまでも「客の目」で、見ることを忘れてはいけない。
【いい点】を見る
リサーチする店は、悪い点ではなく、いい点を見つけること。料理、接客、さらには器に至るまで、幅広く目配りしよう。いいところを見つけたら、自分の店にも取り入れられないかを検討し、店づくりのヒントにする。オリジナルはそうした努力から生まれるものだ。