客層や商品をあらためて分析し、戦略化新たな客層・ニーズの取り込みに成功!
【東京・五反田】芋蔵 五反田店
焼酎を前面に押し出して、店のファン獲得につなげる
焼酎と黒豚を主軸に、九州の酒と料理を押し出して、宴会など、グループでの利用が好調な「芋蔵」。五反田店では入口を開けてすぐに圧巻の焼酎セラーが設置され、プレミアムな銘柄も含めた充実した品ぞろえが大きな売りだ。しかし、近年のワインや日本酒の人気に押され、焼酎の需要は下降ぎみ。同店の集客にも影響を及ぼし、焼酎ブームのころの勢いはなくなってきていた。そこで、「あらためて焼酎の魅力を知ってもらおうと、全国28店舗の『芋蔵』をブラッシュアップするプロジェクトを1年前に立ち上げました」と語る、東京営業本部の鈴木英幸部長。商品と客層を見直し、焼酎好きの来店頻度アップと新規客獲得のための販促を、本部と現場が一体となって進めた。
その1つが、1杯の焼酎の量と価格の変更。「今までは満足感を重視し、80ミリリットル550円で出していましたが、もっと気軽にいろんな種類を楽しんでもらおうと、50ミリリットル300円にしました」と鈴木氏。それに伴い、ボリュームのある肉料理が多かったグランドメニューに、短時間の利用にぴったりのおつまみメニューを増やした。特に、「だれやめのあて(※鹿児島弁でお酒のあての意)」と名付けたカテゴリーでは、「九州産きびなご刺し」など、九州にこだわりつつ、さっぱりした魚料理も充実させた。
狙いは的中。「以前より獲得できていた宴会や1軒目利用は減らさず、宴会前の“ちょい飲み”、宴会後の2軒目使い、帰る前のもう1杯などの需要が増え、焼酎を飲みに来るお客様をつかめるようになりました」と店長の竹松伸太郎氏。さらに、「焼酎に合うおつまみ」メニューは、五反田店オリジナルでも数種類提供し、気楽に短時間でも利用できる店として喜ばれている。
また、「実は今回、客層のデータをとって意外だったのが、女性客の多さだったんです」と鈴木氏。男性客が圧倒的に多いと思っていたのだが、実は「男性55:女性45」という結果に。そこで、あまり焼酎を飲んだことがない女性向けに「焼酎の新しい飲み方」としてジンジャー割、ハイボール、モヒートなどを提案。いずれもレシピ、ネーミングとも、蔵元が考案した自信作をすすめている。加えて、季節限定の飲みやすい焼酎もそろえ、春はピンク、夏はブルーのおしゃれなビンやラベルと合わせて、女性へのアピールを強化した。その結果、「焼酎初体験の女性にも焼酎をすすめやすくなり、関心が広がって、オーダーが増えている実感がありますね」(竹松氏)。
さらに、4年前から行っているカウンター限定の「焼酎180種飲み放題」(1時間1000円)もブラッシュアップ。頼んだ人が焼酎セラーから選び、自由に注げるスタイルで、「こちらはグラスを大きくしてお得感をアップ。プレミアムな銘柄も追加しました」と竹松氏。目当ての銘柄を見つけた人が確実に店のファンになるとともに、敬遠されがちだったカウンターの人気が上昇。カウンター限定で予約を入れる人もいるほどだ。席効率がアップし、売上増とともに、活気ある雰囲気づくりにもつながって好調を支えている。
芋蔵 五反田店 店長 竹松 伸太郎 氏(同右)
鈴木氏は1年半前、名古屋から東京へ赴任。「芋蔵」全店舗を統括する。竹松氏は今年2月末から店長に。鈴木氏とタッグを組み、本部の戦略と現場が融合した店づくりを目指す。
東京都品川区東五反田1-26 アトレヴィ五反田4F