2014/07/22 特集

自分を知って、もっと強い店になる!分析とピンポイント補強が鍵(4ページ目)

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客層や商品をあらためて分析し、戦略化新たな客層・ニーズの取り込みに成功!

【東京・五反田】芋蔵 五反田店

入口すぐの「焼酎セラー」。プレミアム銘柄も含めて約180種が原材料別、50音順に並ぶ

焼酎を前面に押し出して、店のファン獲得につなげる

焼酎と黒豚を主軸に、九州の酒と料理を押し出して、宴会など、グループでの利用が好調な「芋蔵」。五反田店では入口を開けてすぐに圧巻の焼酎セラーが設置され、プレミアムな銘柄も含めた充実した品ぞろえが大きな売りだ。しかし、近年のワインや日本酒の人気に押され、焼酎の需要は下降ぎみ。同店の集客にも影響を及ぼし、焼酎ブームのころの勢いはなくなってきていた。そこで、「あらためて焼酎の魅力を知ってもらおうと、全国28店舗の『芋蔵』をブラッシュアップするプロジェクトを1年前に立ち上げました」と語る、東京営業本部の鈴木英幸部長。商品と客層を見直し、焼酎好きの来店頻度アップと新規客獲得のための販促を、本部と現場が一体となって進めた。

その1つが、1杯の焼酎の量と価格の変更。「今までは満足感を重視し、80ミリリットル550円で出していましたが、もっと気軽にいろんな種類を楽しんでもらおうと、50ミリリットル300円にしました」と鈴木氏。それに伴い、ボリュームのある肉料理が多かったグランドメニューに、短時間の利用にぴったりのおつまみメニューを増やした。特に、「だれやめのあて(※鹿児島弁でお酒のあての意)」と名付けたカテゴリーでは、「九州産きびなご刺し」など、九州にこだわりつつ、さっぱりした魚料理も充実させた。

狙いは的中。「以前より獲得できていた宴会や1軒目利用は減らさず、宴会前の“ちょい飲み”、宴会後の2軒目使い、帰る前のもう1杯などの需要が増え、焼酎を飲みに来るお客様をつかめるようになりました」と店長の竹松伸太郎氏。さらに、「焼酎に合うおつまみ」メニューは、五反田店オリジナルでも数種類提供し、気楽に短時間でも利用できる店として喜ばれている。

また、「実は今回、客層のデータをとって意外だったのが、女性客の多さだったんです」と鈴木氏。男性客が圧倒的に多いと思っていたのだが、実は「男性55:女性45」という結果に。そこで、あまり焼酎を飲んだことがない女性向けに「焼酎の新しい飲み方」としてジンジャー割、ハイボール、モヒートなどを提案。いずれもレシピ、ネーミングとも、蔵元が考案した自信作をすすめている。加えて、季節限定の飲みやすい焼酎もそろえ、春はピンク、夏はブルーのおしゃれなビンやラベルと合わせて、女性へのアピールを強化した。その結果、「焼酎初体験の女性にも焼酎をすすめやすくなり、関心が広がって、オーダーが増えている実感がありますね」(竹松氏)。

さらに、4年前から行っているカウンター限定の「焼酎180種飲み放題」(1時間1000円)もブラッシュアップ。頼んだ人が焼酎セラーから選び、自由に注げるスタイルで、「こちらはグラスを大きくしてお得感をアップ。プレミアムな銘柄も追加しました」と竹松氏。目当ての銘柄を見つけた人が確実に店のファンになるとともに、敬遠されがちだったカウンターの人気が上昇。カウンター限定で予約を入れる人もいるほどだ。席効率がアップし、売上増とともに、活気ある雰囲気づくりにもつながって好調を支えている。

カウンター限定の飲み放題は、客が自ら焼酎を注ぐシステム。探す楽しみも人気のひとつ
店頭でも、カウンター席限定の飲み放題など、焼酎の品ぞろえと九州料理を打ち出して、入店を促進する
焼酎の限定飲み放題を導入して、人気席となったカウンター
ランチ時も、テーブル上で季節限定焼酎と価格(50ml、300円)をアピール
ちょい飲みニーズを狙ったおつまみメニューの充実!あっさりした魚料理の一品「九州産きびなご刺し」。短時間の飲みニーズを意識して開発
看板商品の「かごしま黒豚さつま炙り焼き」は、桜島溶岩の特注プレートを使用して熱々の状態で提供する
「ちょい飲み」「2軒目」などを意識した商品が並ぶ。“スピーディに提供できるもの”と“酒のあて”、2つのカテゴリーを増やした
焼酎の新しい飲み方を提案し、女性のオーダーを増やす!ブルーのラベルやボトルが涼しげな夏限定の焼酎。カウンターの上に置き、オーダーを促進
焼酎にあまりなじみのない女性向けに、「新しい焼酎の飲み方」を提案。飲みやすいアレンジで、新たなファンの獲得につながっている
株式会社ジェイプロジェクト
東京営業本部 部長 鈴木 英幸 氏(写真左)
芋蔵 五反田店 店長 竹松 伸太郎 氏(同右)
鈴木氏は1年半前、名古屋から東京へ赴任。「芋蔵」全店舗を統括する。竹松氏は今年2月末から店長に。鈴木氏とタッグを組み、本部の戦略と現場が融合した店づくりを目指す。
芋蔵 五反田店(閉店)
東京都品川区東五反田1-26 アトレヴィ五反田4F
JR五反田駅横にある商業施設の4階に、5年前にオープン。周辺はオフィス街で、ランチ、ディナーとも客層の中心は30~50代のビジネス層。豊富な焼酎と九州料理が売り。

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