2014/07/22 特集

自分を知って、もっと強い店になる!分析とピンポイント補強が鍵(3ページ目)

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自店の強みと弱みを知る!

商品、サービス、クレンリネス…何かを変えるにしても、自分の店の強みと弱みを知らなければ、本当に効果のある手は打てない。

アンケートやABC分析で自店の強みと弱みを確認

立地と商圏を見直し、競合店をリサーチすると、今まで気がつかなかった自店の強みと弱みが浮かび上がってくる。そこで石田氏は、「やはりアンケートは大事。お客様の声を聞くことで、店の現状をあらためてとらえ直すことができます」と語る。

「なかでも重要なのは、来店した理由。『駅や職場に近いから』とか、『通り道だから』など、利便性がベスト3に入っていたら要注意。近くに競合店ができたら、すぐに集客が下がるということです」(石田氏)。一方、アンケートを取ると、予想以上に人気のある商品などがわかる場合もある。

「アンケートやABC分析を行い、数字として売れ筋のメニューを再確認することも大切。そして、そういった強みが見つかったら、前面に押し出すことです。もし、看板として押し出す商品が見つからなければ、新メニューを開発しなくてはいけません」と話す石田氏。店を漫然と経営しているだけでは、売上は上がらない。強みを発見して押し出し、弱点を補強するメリハリのある経営が求められている。

さらに石田氏は、「客層に“店層”を合わせること」を提案する。メインの客層、あるいは強みにつながる客層に対して、店の雰囲気、すなわち“店層”を合わせるのだ。「例えば、若い女性が主な客層なら、ホールスタッフに若い女性を多くそろえる、といったことも必要です」(石田氏)。これも強みを伸ばす方法の1つと言える。

そのほか、席効率における強み・弱みに対しても対策を練ることが必要だ。「ウエイティングが出た時点で、席が70%以上埋まっていれば、その店の席効率は合格。70%以下の場合は、要検討です。例えば、カウンターの稼働率が上がるサービスを導入するなど、店に合った工夫をしてほしい」(石田氏)。席効率の改善が、客層の広がりにつながることも期待できるのだ。

新たなターゲットを知る!

現状の客層はもちろん大切だが、今後も店が長く続いていくためには、新たな客層の開拓も必須。彼らに響く販促が、後で効いてくる。

新しい客層を見つけて、ピンポイントで販促を!

店には、メインの客層のほかに、“なんとなく多い客層”もいるもの。その人たちが、店にとって将来的に有望な客層になる場合もある。これが、狙うべき新たな客層で、それを発見するには、「オーダー伝票を活用する方法が簡単で効果的です」と石田氏。「伝票に人数、男女、年齢層、来店時間などを、お客様にわからないように記号化して書き込み、客単価、滞在時間とともに集計します。それを分析すると、感覚値ではわからなかった、ターゲットにすべき客層が見えてくる」という。

そんな新たな客層が見つかったら、「次は、ピンポイントで販促をかけましょう。狙っている新しい客層が来店したら、その日のうちにDMを送り、店を印象付けたり、その人たちに刺さる特典を付けることも有効でしょう」(石田氏)。ただし、DMは1回だけではなく、送られた人がパッと見ただけで、『あの店からのDMだ』と認識するまで、繰り返し送り続けること。また、そのためには、同じデザイン・スタイルのDMでなくてはならない。一方、店の外観は、新しい客層の目に止まるよう、前述した視認性・視界性を念頭に見直してみるとよいだろう。

さらに石田氏は、これからの飲食店が狙うべき、新たな客層も指摘する。「最近は、昼間の女性グループの食事ニーズと、夜の1人客のニーズが増加しているのも注目すべき点です。そこに照準を定めたピンポイントな策も有効でしょう」(石田氏)。

株式会社FBA 代表取締役 フードビジネスコンサルタント 石田 義昭 氏
経営コンサルタント歴29年の、フードサービス業界のプロ。“無敵の飲食店づくり”をテーマに、全国規模で経営支援を行う。「顧客誘導と飲食店経営」を理論体系化し、顧客心理に訴える具体的な戦術指導には定評があり、3~5坪の小さな店から大型店まで、直接指導した店舗数は1,500店を超える。個店、チェーン店の指導のほか、出版社主催の講演や飲食店関連企業の講演、飲食店社員向けセミナー、メディアへの執筆など精力的に活動している。

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