新ブランド開発で培った自信を、次につなげたい
2017年を振り返って
2017年8月、新ブランドとなる「やさい串巻きなるとや」を大阪・難波に出店しました。それまでの2年間は出店を控え、スタッフの育成に努めてきましたが、彼らのモチベーションアップのためにも、新店が必要と考えていたところに、いい物件の話が舞い込んできたんです。すでに難波には、「炭火焼とりえんや」が3店舗あったので、同じ“焼き”の技術も活かせる「やさい串巻き」でいこうと決断。メニュー作りから食器類の選択、オペレーションに至るすべての開店準備を、スタッフ主導で行いました。
オープン前の6月には、例年秋に実施している社員旅行を前倒しして、福岡・博多にある“やさい串巻き”の「ねじけもん」を視察。目指す繁盛店を肌で感じてもらいました。そうした取り組みと、2年間の出店準備が功を奏し、順調なスタートを切っています。これまで展開してきた「炭火焼とりえんや」とは異なる新業態に成功したことで、スタッフの力を再認識することができ、私自信も「やればできる!」という自信を持てました。既存店の売上も堅調ですし、今後、さらに業態開発を進めていこうと思える、契機となる1年でしたね。
2018年の展望とキーワード
現在、7店舗を運営していますが、そろそろ評価制度などの社内整備が必要だと考えています。これまでは、私の主観によるところが大きかったのですが、それを会社組織の視点で見直し、さらなるスタッフの強化に努めたい。また、スタッフには経験を積むという意味で、食のイベントへの出店・運営などを任せています。イベントへの出店・運営は、規模こそ違えど、新店の出店と同じような経験ができ、力も養えます。そうして人材を含めて準備が整った時点で、次を見据えていきたいと思います。もちろん、新規出店も視野には入れています。ブランドは物件次第ですが、優先順位が高いのは「炭火焼とり・えんや」。できれば、梅田エリアに出したいですね。
自社店舗のエリアの状況
大阪・ミナミは勝ち負けがはっきりしてきましたね。「裏なんば」は、人気店もありますが、全体的な集客力は落ちているかもしれません。一方、新歌舞伎座があった場所の裏、通称「座裏」はまだまだおもしろいエリアだと思います。
「人材問題」への対策
現在、社員25名、アルバイトは100名ほどですが、以前から右腕となる人材の必要性を感じていました。2014年、「炭火焼とり えんや難波3号店」がオープンするタイミングで入社した、現在のマネージャーがその役割を担ってくれています。彼は、かつて大阪・八尾の「えんや」で働いていたアルバイトスタッフ。私の想いを彼が現場に伝えることで、よい流れができたと実感しています。また、スタッフが将来的な夢を描けるような社内独立制度を確立することで、人材確保にもつながると考えています。
10年後の自社未来図
私は保守的なタイプなので、店舗数は目標としている10店舗をクリアして14~15店舗、年商は10億円を達成していたいと思います。また、社内独立したスタッフが活躍し、「えんや」に社内外に向けた焼鳥学校的な側面を持たせていたいですね。
気になる食材
「やさい串巻きなるとや」を出したことで、野菜には注目しています。特に、豚バラ肉と相性のいい野菜は、どんどん店でも使っていきたいですね。
注目している業態
客単価2000円程の立ち飲み業態は、「えんや」の延長線で展開できると思い、以前から注目しています。
ベンチマークしている店
株式会社楽コーポレーション出身の小嶋崇嗣氏(株式会社笑コジマ笑店)が経営している東京・吉祥寺の居酒屋「じぃま」と、渋谷の居酒屋「まるこ」です。トレンドをうまく取り入れ、要となる料理は絶対的においしく、というのが「なるとや」。今後、「やさい串巻き」を1つのジャンルとして確立したい私にとって、とても参考になる店です。
尊敬している経営者3人
株式会社元気ファクトリーのボス・今吉純一さんの人を引きつける力はすごいですね。尊敬できる点はいくつもあるのですが、豊富な人脈などに象徴されるイメージとは裏腹に、経営に関してはとても堅実で実直。お会いして飲食業や経営のリアルな話をうかがうと、本当に勉強になります。また、私の兄弟子にあたる、「有限会社肉のやしま」の八島且典さんも尊敬しています。八島さんには、福岡の「焼とりの八兵衛」でお世話になりましたが、人の心に響く言葉を使われるところに影響されました。最後は、大阪・我孫子にある焼鳥店「安喜」のオーナーさん。地域になくてはならない店を経営しているという意味でも憧れますね。
マイブームや趣味
昔から日本酒が好き。島根にある「扶桑鶴」という銘柄の蔵元へ行き、勉強させてもらっています。また最近は、酒のイベント「上方日本酒ワールド」にも出店しています。今後、少しでも日本酒業界に貢献したいと思っています。