2017/12/26 特集

人気店の経営者へ10の質問 2018年、そしてその先へ 後編(3ページ目)

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デジタルとアナログ、両面の強化を図っていきます

株式会社オベーションプラス梅村 雄士氏COMPANY PROFILE2005年有限会社Beard Labo. 設立。2009年に社名を株式会社オベーション プラスに変更。同年9月に鉄板焼イタリアンバール「Bar S"alu(バルザル)六甲道店」をオープン。「Bar S"alu」ブランドを主軸に、トラットリア酒場「ピグボッテ」や串揚業態「CUSI-NA 串菜」など、18店舗を展開。YUJI UMEMURA PROFILE1978年、熊本生まれ。大学卒業後に起業の夢を抱き、飲食の道に入る。居酒屋の店長を経て、2005年に知人と有限会社を設立するが失敗。その後、人材派遣会社で労務を経験し、以前の会社の債務を引き受け独立。神戸を中心にドミナント出店を重ね、再起を果たす。

2017年を振り返って

「出店を焦らず、人材や仕入れなどソフト面の強化」に取り組んだ1年といえます。出店は12月の西宮北口駅(兵庫県西宮市)への2店同時出店のみ。これを含め、当社の経営店舗はトータルで18店となりました。西宮北口は住宅地であり、学生も多く、オーバーストアになりにくい。兵庫を中心に出店を進めている当社としては、神戸と大阪の中間地として狙っていたエリアですね。数年前から探していたので、2店同時という異例の出店を思い切りました。

ソフト面の強化で言うならば、仕入れの見直しをしたことが、取り組みとして大きかったです。具体的には、物流のプラットフォームを整え、野菜や魚を日本全国の産地から安定して供給できるように見直しました。東日本の店舗には青森から、西日本の店舗には長崎から、という新たなルートを整えたことで、食材の鮮度が高まり、コスト削減にもつながり、効率がよくなりました。食材の仕入れに関しては3カ年計画を立てており、その1年目としては、満足のいく成果が上がっているように思っています。

2018年の展望とキーワード

キーワードは「デジタルとアナログの有効活用」です。例えば社内の伝達事項などはデジタル化が進み、様々な部分で効率化し、組織化もできている。しかし、アナログな部分(気持ちやストーリー)が抜け落ちてはならず、売上を上げるためにも「ストーリー」は不可欠だと思います。こだわって仕入れた食材を、お客様にうまく伝えることで、価値を感じてもらう。そういった部分に注力すべきだと感じています。

また、2015年末に行った東京進出。これはチャレンジそのものでしたね。マンネリ化しかけていた会社の空気感を変えるためにも、私たちの店を誰も知らないところで挑戦してみようと思いました。現在は、蒲田・五反田・大井町・大門の4店舗。“東京チーム”としてどう機能させるかが、課題だと感じています。

自社店舗のエリアの状況

神戸を中心とした兵庫県エリアは、決して楽観的にはなれない状況と見ています。阪急三宮駅で始まった再開発・改修により、人の流れがどのように変わっていくのか。今後、ウォッチングが必要になると思っています。

「人材問題」への対策

「人事考課の透明化」を、目標に掲げています。今期から取り入れたのは、年に3回の面談と、それに伴う「通信簿」制度です。学校のように1年を3期にわけ、面談と評価をマメに行い、社員にフィードバックすることで自身の課題と目標をハッキリ認識できるような体制にしました。毎年、期のスタートには淡路島でのキックオフイベントを開催。2年に1度の社員旅行も続けています。

10年後の自社未来図

第一線で活躍しているスタッフが輝けるような体制ができていればと考えています。年配のスタッフも、社内で活躍できる環境を整えたい。そのために、現在3カ年計画で「社員の強化」に取り組んでいます。

気になる食材

食材そのものというより、「その食材のストーリーをどう訴えるか」がカギになると考えています。当社でも扱う加賀野菜などのブランド野菜であれば、メニューに取り入れる際、どう価値をつけられるか。そのヒントは、先日視察で訪れたオランダで出合ったチーズにありました。チーズは、種類や熟成具合なども含め、奥が深くストーリーのある食材。それをきちんとお客様に伝えられれば、価値を生めると実感しました。

注目している業態

出尽くした感があるように思いますが、会社としては2016年に串揚げ業態である「串菜」をМ&Aしたこともあり、和食の分野はさらに勉強したいですね。

ベンチマークしている店

「店」というよりは「モノ」に注目しています。例えば、クラフトビール。ワインのように、これからは作り手の個性が反映されたビールに、より注目が集まる時代になると思います。

尊敬している経営者3人

まず、株式会社鳥貴族の大倉忠司さんです。今や全国に「居酒屋=鳥貴族」のイメージをもたらしました。やり続ける姿勢と代表としてのブレのなさは、一人の人間としてリスペクトしています。もう1名は、株式会社串カツ田中の貫啓二さん。東京出店に関して相談にのっていただきました。フレンドリーに物事を教えてくださるその姿勢は、非常に勉強になりますね。最後に、株式会社ゴールデンマジックの山本勇太さん。生まれ年が一緒なのですが、自分には思いつかない動き方や考え方をしていて、よい意味で刺激をもらえます。

マイブームや趣味

2018年に40歳を迎えることもあり、今後は自身の体のメンテナンスを意識しなければと思い、ジムに通っています。やはり、年齢を重ねても社員の見本となる姿でいなければなりませんし、入社する人もカッコよい社長のほうがいいですからね。

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