2020/07/14 特集

「今、行きたい店」になる! 感染予防、情報発信、メニューの磨き込み―。足元を見つめ直し、活気を取り戻す!(2ページ目)

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財務において、重要なことは?

資金繰り表の作成は必須。ロスの削減にも着手を

 前ページで紹介した、消費者ニーズの変化に対応する店づくり。それを進める上での大前提として、まず考えなければいけないのが財務の管理と分析だ。「財務状況を把握できていなければ、集客の対策を打てないどころか、店の存続にもかかわります。『資金繰り表』を作成し、出金と入金を明確にすることが第一歩です。その上で、削減できる経費がないかなどを検討しましょう」と三ツ井氏。どんぶり勘定でコロナショックを乗り越えることは難しい。ぜひ精緻な資金繰り表を作成したい。

 加えて、今考えたいのが、出金比率の高い人件費や家賃などの支払いについてだ。「これらは店内営業ができなくても発生するコストです。今後、営業自粛を要請される可能性もゼロではありません(取材は6月中旬に実施)。今後、また店内営業ができなくなる事態も想定し、できれば3カ月分の運転資金は確保しておきたいです」と三ツ井氏は指摘する。

 とはいえ、資金に余裕がある店ばかりではない。現在、多くの飲食店が政府や自治体の助成金を活用しているのではないだろうか。三ツ井氏も「返済義務のない助成金をフル活用し、営業外収入として資金繰り表の収支にも組み込んでください」と語る。一方で、銀行などから融資を受ける場合は、1~2年後に返済が始まるということを忘れてはいけない。「当座の資金繰りばかりに気を取られて今後の成長戦略をしっかり描いていないと、結果的に返済に窮してしまうことになります」と、警鐘を鳴らす。

 加えて、ロスの削減によるコストカットにも着手したい。例えば、食材ロスを減らすためのメニュー改変も1つの方法。1つの食材をできるだけ多くのメニューに使ってロスを出しにくくするなど、これまでも行われてきた対策のさらなる徹底が必要になる。また、複数名で店内営業をしている店は、シフトの組み方次第で人件費のロスが出てしまうので要注意。「コロナの影響で集客も不安定で、状況も日々変わります。ざっくりしたシフトではなく、日ごと、週ごとの来店数の増減を管理・分析して、無駄なく人を配置したい」と三ツ井氏。こうした対策をしっかり講じた上で、集客や売上を上げるための戦略を練っていくことが重要だ。

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