2020/07/14 特集

「今、行きたい店」になる! 感染予防、情報発信、メニューの磨き込み―。足元を見つめ直し、活気を取り戻す!

新型コロナの影響を受け、消費者の生活スタイルは大きく変化している。今、行きたい店になるために、飲食店にはどんな対策が必要なのか。アンケート結果を踏まえつつ、飲食店コンサルタントにポイントを聞いた。

URLコピー
株式会社スリーウェルマネジメント 代表取締役社長 経営コンサルタント 三ツ井創太郎 氏
大学卒業後、飲食企業に就職。最年少で飲食部門統括責任者に昇進。多店舗化に向けた組織構築や業態開発などを10年以上経験した後、株式会社船井総合研究所に入社。入社2年で飲食部門のチームリーダーとなり、多数の飲食企業の支援を行う。2016年、株式会社スリーウェルマネジメントを設立。海外を含む個人店から大手外食企業まで幅広くサポートする。著書に「飲食店経営“人の問題”を解決する33の法則」(同文舘出版)がある。2020年6月からは東京都より中小企業活動補助事業「Buy TOKYO」プロジェクトにおいて専門家アドバイザーに任命され、アフターコロナで苦しむ飲食店等の支援活動も行う。

消費者の外食への意識や行動はどう変わる?

勤務形態の変更などにより店を選ぶ基準も変化

 新型コロナウイルス感染拡大により、飲食業界に限らず社会全体が大きな影響を受けている。「人々の生活スタイルも大きく変わったため、これから飲食店に求められるものは以前と全く違うものになると考えたほうがいいでしょう」と指摘するのは、飲食店コンサルタントの三ツ井創太郎氏。では、実際に消費者は外食に対して現在どんなニーズを持っているのか、以下のアンケート(6月第2週に調査・集計)を基に見ていこう。

※データは2020 年6 月ぐるなび調べ。 n =回答者

 まず、現在、外食に行きたいかを聞いたQ1では、「(積極的に・どちらかといえば)行きたい」と答えた人が約6割に。「外出自粛などの反動で、外食のニーズは高まっています。一方で残りの4割の人の中には感染リスクを回避したいと考えている人も多いはず」と三ツ井氏は分析する。外食に行きたい理由(Q2)については、「家では味わえない料理や酒」のほか、「気分転換」や「コミュニケーション」を求める声も多く集まった。これも自粛で人と会えない時間が続いたことが影響していると考えられる。次にQ3「現在、行きたい業種・業態」では、寿司店と焼肉店に次いで居酒屋が上位に入った。「上位2つはおそらく『食べたいもの』のニーズですが、居酒屋は『人とのコミュニケーション』へのニーズの表れとも考えられます」と、三ツ井氏は推察する。

 一方で、「どんな立地の店に最も行きたいか」(Q4)では、「自宅近く」が約5割を占めた。「おそらく以前は、繁華街を選ぶ人がもっと多かったはず。今回のコロナの騒動で、人混みを避ける意識が強まっていると考えられます」(三ツ井氏)。さらに、今後の勤務形態の希望を聞いたQ5を見ると、通常勤務ではなく、できれば時差出勤や在宅勤務を希望する人が増えていることがわかる。「在宅勤務が増えれば、当然家の近くで飲食店を探す機会も増えるので、Q4の結果が示すような自宅近くでの外食ニーズの高まりは、今後も続くでしょう」と三ツ井氏は予測する。

 また、利用シーンについて聞いたQ6では、感染リスクを考慮してか、「大人数の飲み会が減りそう」と答えた人が約6割だった。「一方で、記念日利用は『変わらない』と答えている人が一番多いことに注目したいです。飲食店にとって、今後お客様の誕生日などにターゲットを絞って、来店を促す取り組みをするのも有効かもしれません」と、三ツ井氏は指摘する。最後に、コロナショックを経て以前よりも重要視するようになったこと(Q7)では、「テイクアウトやデリバリー対応」「清潔感・衛生意識」がほかの項目に比べて「元々重要視していなかったが、重要視するようになった」と答えた人の割合が多かった。今後店を選ぶ基準の中にこれらが加わることを意識して、店づくりを進める必要がありそうだ。

 では、こうした消費者の傾向を踏まえて、どんな対策を講じていけばいいか。テーマ別に三ツ井氏に解説してもらう。

全5ページ