牧場直営の絶対的価値を東京へ。世界を見据えた新たな挑戦
バクログループを率いる代表取締役社長の尾崎 司 氏は、黒毛和牛の繁殖、肥育から出荷までを一気通貫で行う尾崎牧場創業者・尾崎 功 氏の次男。兄の透氏が牛の生産ラインを取り仕切り、弟の司氏が飲食店経営を担う――。この兄弟タッグの原点は、牧場の牛たちがいかに多くの時間をかけ、多くの人々の手によって大切に育てられているかを間近に見て育ち、その比類なき価値を誰よりも深く心に刻んできたことにある。
だからこそ、目指す焼き肉は「究極のスタンダード」。「小難しい細工はしません。どの部位も、完璧な一品を提供します」と語る尾崎氏に、繁盛の秘密、東京出店の狙いと展望を聞いた。
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店の奥には4人用テーブルが4卓 -
ファミリー向けの6人用ボックス席は3卓
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個室の入り口。牛と牛飼いが個室利用の客をお出迎え -
商談や接待にも利用できる6人の完全個室(使用料3,000円)
やきにくのバクロ 西荻窪店
業態:焼き肉
座席:40席(テーブル、個室)
客単価:6,000~8,000円
客層:20~40代、グループ、ファミリー、男女比5:5
アクセス:JR中央線西荻窪駅より徒歩4分
営業時間:17:00~24:00
定休日 :水曜日
支払い方法:完全キャッシュレス(現金不可)
https://www.instagram.com/bakuro.nishiogikubo/
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繁盛へと導いた、3つのポイント
目次
【POINT1】一頭の牛を使い切るブランドライン
【POINT2】東京でも”地域一番の焼肉店”を目指す
【POINT3】牛の命に報いるために。バクロが磨く「目と腕」
【POINT1】一頭の牛を使い切るブランドライン
尾崎兄弟が高級焼き肉店「黒毛和牛 BAKURO 薬院本店」(以下、「BAKURO」)をオープンしたのは2009年のこと。「尾崎牧場の牛の価値を知る僕たちが、その本当のおいしさを直接消費者に届けたい」という強い思いからのスタートだった。
「BAKURO」の客単価は約1万円。それぞれの個体や部位の肉質を見極め、最良の方法で少量ずつ提供するスタイルだ。一頭買いだからこそ実現する多彩な部位の魅力に多くの支持が集まったが、リーマンショック直後の経済状況の中、苦戦を強いられた。
そこで数年後に開発したブランドが、客単価約6,000円クラスの「やきにくのバクロ」(以下、「バクロ」)だった。「より多くの人に食べてもらうためには、20〜40代を中心にファミリーにも喜ばれる大衆的な店が必要」と考えたからだ。高級店レベルの品質を維持しながらリーズナブルに提供するため、カットや提供方法の研究を重ねた。
この試みが見事に功を奏し、瞬く間に幅広い層の支持を獲得した。高級店(福岡1店、鹿児島1店)、大衆店(福岡2店、今回初の東京1店)、さらにはホルモン専門店「ジャストミート」(福岡1店)、精肉店「バクロミート」(福岡2店)(※)と、あらゆる部位を最適に届ける販売チャネルを整備したことで、一頭の牛を余すことなく使い切る理想的な循環が完成し、人々の胃袋をがっちりとつかんでいる。
(※)出店数は2026年6月現在
【POINT2】東京でも“地域一番の焼肉店”を目指す
飲食店激戦区の福岡・博多で信頼を積み重ね、成功を収めてきた尾崎氏は、2026年5月、東京・西荻窪に九州以外では初となる出店を果たした。銀座でも渋谷でもなく西荻窪を選んだのは、「その街で最初に思い出してもらえる“地域一番店”になる」という創業以来のコンセプトを貫くためだ。
「福岡では、子どもの頃に家族で来てくれた子が、大人になってアルバイトに応募してくれることもあるんです」と尾崎氏。それぞれの地域で培った“信頼の集積”にバクログループの未来を見据え、「地域一番店」を東京・荻窪から全国へ広げることを展望している。
西荻窪店のメニューは、福岡で支持されている自慢のラインナップだ。まず、「サーロインの焼きすき」で“甘みが強くて脂ぎれが良く、霜降りでもくどくない”という尾崎牧場の特質に舌鼓を打ち、「特選部位盛り合わせ」で赤身や霜降りの味のバラエティーを堪能。さらに「和牛ユッケ」や「ミックスホルモン」で多彩な肉質を味わう。アルコールにも目配りし、鹿児島が誇る芋焼酎の名品を常備して、東京での浸透を目指す。
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刺身より「和牛ユッケ」(1,760円)。濃厚な卵の黄身が肉の味わいを引き立てる -
「ミックスホルモン」(1,500円)。さまざまなホルモンを塩ダレ、みそダレ、辛味ダレの3つの味付けで楽しませる
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【POINT3】牛の命に報いるために。バクロが磨く「目と腕」
尾崎牧場の黒毛和牛は、温暖な南国の大自然のもと、細やかな体調管理と快適な飼育環境の中で育てられている。尾崎氏はその優位性に絶対の自信を持つとともに、牛たちの命にも思いを馳せる。子どもの頃に見た屠殺場の光景も脳裏にあり、「だからこそ、僕らにはこの牛たちを余すところなく、おいしくする責任がある」と語る。
命に報いるためにも、研究と研修を重ねた。スタッフは全員、尾崎牧場で研修を受け、命の現場も見学。牛への熱い思いを共有し、知識と技術を磨いている。「牛も人間と同じで十頭十色。同じ部位でも個体によって味が違います。すべてを最もおいしく提供できる目と腕を持つのが、当社のスタッフです」と尾崎氏は胸を張る。
買い付けは、数万頭の牛と枝肉を知る兄・透氏とともに選りすぐりの牛を選定している。一方で、数多くの焼き肉店へも自ら足を運び、市場のリサーチを欠かさない。 確かな経験値とトレンドの視点を掛け合わせている。
オープンからまもなく2カ月になる西荻窪店は、すでに週末を中心に予約で2回転する手応え。「一度来店してもらえれば、価値は伝わる」と自信をのぞかせ、「知名度を高めて、東京でも福岡と同様に複数の“地域一番店”を実現します」と語る。
その先に見るのは、全国展開と世界だ。尾崎牧場の牛とバクログループのスキルで勝負する”究極のスタンダード”で、和牛文化の世界発信を目指す。
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